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異世界転生ワイ ~ワイの魔力が異常って、低すぎって意味よな?~  作者: 下北ゴリラ


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第3話 魔法の授業

魔法学校に入学して、最初の実技授業。


教室の床には、丸い魔法陣がいくつも描かれていた。


教師「今日はまず、簡単な魔法を出してもらう。結果を見て、実習のグループを分けるぞ」


ワイ「ほーん」


ついに来たか。


ワイの魔法が世界に轟く時が。


教師「手のひらに、小さな光を出す。それだけでいい」


生徒たちが順番に前へ出る。


生徒A「……えいっ」


ぽっ。


小さな光が灯った。


教師「よし。安定してるな」


生徒B「こうですか?」


ぽわっ。


こちらも成功。


生徒Cは一度失敗したが、二回目で光を出した。


なるほど。


思ったより普通の授業やな。


ワイ「まあ、肩慣らしやろ」


教師「次、レオン」


レオン「はい」


レオンが手を掲げる。


光が灯った。


……いや、灯ったというか。


部屋が昼になった。


教師「おお……!」


レオンの手のひらに、澄んだ光が浮かんでいる。

大きさも、明るさも、揺らぎのなさも、さっきまでの生徒とは別物だった。


教師「そのまま維持してみろ」


レオン「はい」


光は微動だにしない。


教師「では、少し形を変えてみてくれ」


光が細長く伸び、鳥の形になった。


生徒「すげえ……」


レオン「こんな感じでしょうか」


教師「十分だ。いや、十分どころじゃないな」


レオンは少し照れたように笑った。


ワイ「授業参観で将来の夢を発表する小学生みたいな流れやな」


誰にも聞こえていなかった。


次は、ミナという生徒だった。


ミナ「……っ」


手のひらに意識を集中する。


何も起きない。


教師「焦らなくていい。もう一度やってみよう」


ミナはうなずき、もう一度試した。


やっぱり、光は出なかった。


教師は測定用の小さな石板を確認する。


教師「魔力はかなり弱いけど、反応はあるな。通常のやり方だと、発現まで届かないみたいだ」


ミナ「はい……」


落ち込んではいるが、投げ出す様子はない。


教師「あとで補助器具を使ってみよう。次、ワイ」


ワイ「はいよ」


ワイは手のひらを前に出した。


フンッ。


何も起きない。


教師「力を入れすぎなくていいぞ」


ワイ「はい」


すう……。


フンッ。


無。


教師は石板を見た。


教師「……魔力、ゼロか」


ワイ「せやな」


教師「じゃあ、ミナと一緒に補助器具を使うグループに入ってくれ」


ワイ「了解や」


まあ、補助器具があるなら何とかなるやろ。


授業の後半。


教師が、手のひらに収まる小さな器具を机に並べた。

金属の輪に、透明な石がはめ込まれている。


教師「これは魔力を出してくれる道具じゃない。自分の魔力を、扱いやすくするための補助器具だ。使いたい人には貸し出してるから、あとで希望を出してくれ」


ワイ「魔力を出してくれる道具じゃないんかい」


教師「それができたら、授業そのものが変わるな」


たしかに。


ミナが器具を手に取る。


教師「握り込まず、石に指を添える感じで。魔力を流そうとするより、光を作ることを意識してみて」


ミナ「はい」


一回目。


何も起きない。


二回目。


石が、ほんの少しだけ光った。


ミナ「……あっ」


光はすぐ消えた。


教師「今、反応したな。もう一度」


三回目。


ぽっ。


針の先ほどの光が、ミナの手のひらに浮かんだ。


ふらふら揺れて、今にも消えそうだ。


それでも、光っていた。


ミナ「出た……!」


教師「よし、今のは発現できたね。小さくても、ちゃんと成功だ」


ミナは何度も手のひらを見た。


その顔は、さっきまでより少し明るかった。


ワイ「おお、やるやん」


魔力がほとんどないミナでも、出せた。


ほんならワイにも出せるはずやろ。


ワイは器具を受け取った。


指を添える。


意識を集中する。


光を作る。


フンッ。


出ない。


教師「力を抜いてみよう」


ワイ「はい」


ふう……。


出ない。


教師「石の位置を少し変えてみて」


ワイ「こうですか」


出ない。


持ち方を変えた。


目を閉じた。


目を開けた。


説明をもう一度聞いた。


出ない。


一ミリも出ない。


隣ではミナが、さっきの小さな光をもう一度出そうとしている。

今度は失敗したが、石はかすかに反応していた。


ワイの器具は、うんともすんとも言わない。


教師は器具を確認した。


教師「道具の反応は正常だな。今日はここまでにしよう。希望者は借りて帰って練習してもいいぞ」


ワイ「借ります」


即答だった。


このまま終われるか。


魔力がほとんどないミナでもできたんや。


ワイにできん道理はない。


――その日の寮。


ワイは机の上に補助器具を置いた。


説明書を読む。


一回目。


出ない。


二回目。


出ない。


三回目。


やっぱり出ない。


持ち方を変える。


角度を変える。


石を撫でる。


なんかこう、いい感じにする。


出ない。


ワイ「これ絶対壊れとるやろ……!」


レオン「壊れたのかい?」


隣で本を読んでいたレオンが顔を上げた。


ワイ「いや、たぶんやけどな。授業からずっと試しとるのに、一回も反応せえへん」


レオン「ちょっと見てもいい?」


ワイ「ええで。ほら」


ワイが器具を渡す。


レオンは受け取ると、説明書をちらりと見た。


レオン「こうかな」


器具に魔力を流す。


バチッ。


小さな火花。


次の瞬間。


閃光が部屋中を照らした。


パキン。


石にひびが入り、金属の輪が二つに割れた。


レオン「あっ……」


沈黙。


…………。


………………。


ワイとレオンは、机の上の壊れた器具を見つめた。


レオン「……はは、故障じゃなかったね」


ワイ「今壊れたけどな」


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