第九話 「衣替え」
桜はまだ満開。
八千代は街に出かけていた。
いつも通り団子屋へ。
「最近物価が高くなりましたね…!」
「そうねぇ…税がまた重くなって…将軍様は少し加減してほしいねぇ…」
ここでの将軍は大川家当主。
江戸幕府四代目将軍大川慶次郎のことだ。
ここでは徳川ではなく大川が幕府を開いた。
「はぁ…もっと食べたいなぁ〜…」
八千代は代金を支払った後、ふらふら歩いていった。
そこで、凛に遭遇した。
「あ!」
「八千代ちゃあああん!」
「えへぇへへぇへ…」
また変な笑い方。
「最近好きな人とはどう〜?」
「その…上手く行ってます…!」
「よかったね〜!」
凛はこう思った。
(頭領初恋人くるか?!)
桜乃助はモテる。
モテるがそっけない。
それでも寄ってくる。
それでもそっけない。
八千代もモテる。
モテるが無自覚。
グイグイ行って無自覚で好きにさせる。
そういう二人だ。
「アタシ用事あるからまたね!」
「は〜い!」
八千代は渡海屋に戻った。
そして、凛は拠点に戻った。
「頭領〜!」
「なんだ。」
「女装!して!」
「何故だ。」
「いいじゃんいいじゃん!」
「やめろ!」
凛が桜乃助をズルズルと引きずる。
「はい!化粧!」
「しない!」
「するよ!」
そのまま化粧させられる。
「はい髪も整える!」
「何故だ…!」
「いいから!」
そのまま髪を整え、拠点を出る。
「何処にいくんだ?!」
「秘密〜!」
そのまま、何処かへ向かう。
「はい!連れてきたよ!」
「何処だよ!」
「吉原!」
「吉原?!」
「最近、吉原に身売り商人が来るらしいんだ。」
「昨日話したな…」
「頭領の美貌だったらイケるでしょ!」
「やめろ!」
「もうここの人に話はついてるから!下見!」
「無理だ!」
「なんで〜?」
「………」
「教えて〜?」
「八千代に……会う予定だ……!」
「!!!!!!!」
凛はニヤニヤした。
「好きなんだ〜!」
「違う!絶対に違う!」
そのままズルズルと引き込まれた。
そのころ、八千代はというと。
「はぁ〜桜乃助様〜…」
惚気ていた。
「ヘクション!」
くしゃみ。
「誰か私のこと話してるのかなぁ〜…」
そこに、母の絹江がやってくる。
「八千代、最近ソワソワしてるけど、何かあったの?」
「へ……?」
「おでかけも増えたわよね?」
「………言っていい?」
「いいよ。」
「…好きな人が…できたの…」
「あら、いいじゃない。」
「すっごい綺麗で…かっこよくて…」
「…もしかして、あの修復依頼の着物ってその人の?」
「ギク…」
「なぁんだ、そうだったんだ。まぁ、恋愛頑張ってね。」
「は〜い…」
八千代は桜乃助のことを思って、声にならない声を出した。
第九話 「衣替え」 完




