第八話 「会いに来た」
「頭領〜朝からどこ行くの〜?」
飛瑛が聞く。
「恋人の所!」
凛が言う。
「違う!」
そのまま拠点を出た。
(渡海屋…渡海屋…)
桜乃助はいつもより早歩きだった。
「ねぇ…あの人…!」
「すごい…かっこいい…」
町娘達は桜乃助に夢中。
しかし当の本人は八千代のことばかり。
(渡海屋…どこだ…)
そうして歩いてゆくうちに、たどり着いた。
(渡海屋…あった…)
桜乃助は暖簾をくぐった。
「いらっしゃいま…あ!」
八千代はダッシュで駆け寄った。
「桜乃助様!」
「来た…」
「遊びましょう!」
「店は。」
「親に頼みます!」
「…」
桜乃助と八千代は街に出た。
「またお団子食べましょう!」
「わかった…」
並んで歩いて、団子屋へ向かう。
しかし、輩というものは何処にでもいる。
「おい!そこの嬢ちゃんよこしな!」
「何だ…」
「痛い目見たくなかったら早くよこせ!」
「…下がってろ」
「はい…」
八千代を下げて、刀に手をかける。
「やれ!」
合図とともに三人が一斉に襲いかかる。
「フン…!」
ひらりと躱し、峰打ちの構えを取る。
「小癪な!」
躱して行き、打撃を加える。
「もうやめておけ。無駄だ。」
桜乃助が静止する。
「気取りやがって!」
突撃する二人を躱し、もう一人と相対する。
「えぇい!」
峰で受け流し、後ろを警戒する。
「流石に…一対三はな…」
桜乃助が刀を力なくふらふらと握る。
「隙だらけだぞ!」
後ろから刃が襲いかかり、背中を切る。
「ぐぅ…!」
間一髪で避けるが、着物と肌が少し切れる。
そして、顕になった背中に何かが見えた。
刺青だ。
桜の刺青。
「あぁ…出てしまったか…」
桜乃助は体制を整え、輩を睨む。
「時間はあまり取りたくないぞ…」
思い切り首に峰打ちを叩き込む。
そこから二人目には胴。
三人目は足からの首。
「ふぅ……」
「桜乃助様〜!!」
涙目の八千代が猛ダッシュで駆け寄る。
「そんなに急がなくても逃げないぞ…」
「だってぇ!だってぇ!」
「わかったわかった…!」
そのまま渡海屋に戻る。
「これ、修復できるか?」
「はい!できます!」
自らの着物を渡す。
「そういえば…あの刺青…」
「あぁ…親父に連れて行かれてな…去年入れた…」
「へぇ〜」
「薄いな、反応。」
「似合ってますから!」
「そうか…」
桜乃助は少し顔を赤くする。
そして、八千代は奥から着物を取り出す。
「これ着てください!」
黒の着物を渡す。
「ありがとう…」
「きっと似合います!」
「…修復が終わったら返す…」
「えぇ?!何で?!」
「…」
桜乃助は頭を抱えた。
第八話 「会いに来た」 完




