第六話 「頬染め」
夕方。
街をふらふら歩いていたら、偶然八千代と会った。
「桜乃助様〜!」
「なんだ…」
「遊びに行きましょう!」
「無理だ。」
「えぇ!行きましょうよ〜!」
「…」
連れて行かれた。
「ここ!父が連れて行ってくれたお花見の隠れたいい場所なんですよ!」
近くの小さな川。
「綺麗だな…」
「桜乃助様の方が綺麗です!」
「…」
顔を真っ赤にして、俯く。
「どうしたんですか?!」
「いや…なんでもない…」
桜の花弁が一枚、八千代の頭に。
「頭…」
「ふぇ?」
桜乃助が手を伸ばして取る。
「あ、ありがとうございます…!」
少し頬を赤くする。
「桜乃助様〜」
「なんだ?」
「趣味は何ですか?」
「趣味…か…」
少し考えた。
趣味などなかった。
ずっと盗んでばっかだった。
「趣味は……ないな…」
「そうなんですか?」
「あぁ…」
「私は散歩です!」
「やけに自慢げだな…」
「えっへん!」
桜乃助の口角が少し上がった。
そうして他愛もない会話をしていた。
そしたら、月が登った。
「もう夜…」
「どうした…?」
「もう遊べない…」
桜乃助はこう思った。
心配して損したと。
「また、会えるだろう…」
「家知らないです…」
「そうだったな…」
月を見上げて、桜乃助は呟く。
「お前…どこに住んでるんだ…?」
「へ?」
「二度も言わせるな…」
顔を赤くする。
「その…渡海屋っていう…呉服屋です…」
桜乃助は知っていた。
その上で聞いた。
「そうか…会いたくなったら向かう…」
「はい!」
凄まじい速度で機嫌が良くなる。
(機嫌良くなるのが早くてよかった…)
桜乃助はホッとした。
互いに別れて、桜乃助は拠点に入った。
そしたら凛がいた。
「頭領〜」
「…」
「八千代ちゃんと遊んだでしょ…!」
「違う。」
「見たよ。」
桜乃助に頭を打ちつけた。
「いつから…」
「ずっとつけてたよ…!」
「凛…!」
桜乃助はまた、ヘソを曲げた。
その頃、渡海屋。
「八千代、遅かったな。」
八千代の父、源蔵だ。
「ずっと遊んでました!」
「そうか、楽しかったか?」
「はい!」
そこに八千代の母、絹江が現れる。
「八千代、あまり遅すぎると危険よ。」
「は〜い!」
八千代はそのまま自室で眠った。
ただ、桜乃助は寝れなかった。
第六話 「頬染め」 完




