第三話 「悩み」
桜乃助は拠点に帰った。
何故拠点かというと、桜乃助は、頭領であった。
室町時代から続く義賊、「紅」の頭領。
悪徳商人の屋敷に侵入し、金品を盗んでばら撒く。
そんなことをしていた。
隊員は五十人程度。
この長屋の地下は幹部らが集まる。
一般隊員はまた少し遠くの長屋の地下。
前々代の頭領が長屋の土地の地主と親しく、地下を作った。
そして、今に至る。
「頭領〜また女に絡まれたんですか〜?」
「…まぁな…」
長屋の地下で、桜乃助は自室に向かった。
「……ふぅ…」
桜乃助は頭を抱えた。
「なんなんだアイツは…」
顔を赤くして、寝転がった。
「何やってんの頭領〜」
寝転がった桜乃助を起こす。
紅の数少ない女性隊員、凛だ。
「やめろ…寝させろ…」
「起きろ〜!」
無理矢理持ち上げる。
「寝かせて…」
「頭領が浮かない顔なんて珍しい〜」
「…」
もう一回寝ようとする。
「聞かせろ〜!」
「やめろ…!」
再び持ち上げる。
「頭領が五歳の時から居るんだからわかる!浮かない顔の頭領は見たことない!」
「もうお前は二十五だろ…」
「関係ない!聞かせろ!」
「わかった…」
座り込む。
「最近…とある娘がグイグイ来るんだ…」
「なんだ、いつものことじゃん…!」
「違う…」
「えぇ?いつも娘からモテモテなのに〜?」
「モテてない…!」
顔を赤くする。
「ホント頭領モテるのに関わらないから照れ屋なんだよな〜…いつもはそっけないのに。」
「おい…」
少し俯く。
「んで、どんな子?名前は?」
「八千代…」
「へぇ…」
「珍しい髪色だ…白くてな…」
「へぇ!」
「んで…少しズレている…」
「天然なんだ〜…!」
「多分な…」
凛が桜乃助の肩を叩く。
「いい子そうじゃん!」
「困ってるんだ…!」
「そう…じゃあ!アタシが会いに行ってくる!」
「やめろ!」
そのまま凛は拠点を飛び出した。
「どこにいるのかな〜…!」
走り回って、呉服屋に辿り着く。
「いらっしゃいませ〜!」
元気な声が響く。
「あ!」
そこには、白髪の少女。
「もしかして…八千代ちゃん?」
「はい!」
「可愛いいいいいいいいい!」
「えへへぇへぇ…!」
変な笑い方をする。
「何歳?」
「十五です!」
「へぇ…同じ…」
「同い年?」
「いや…知り合いと同い年。アタシは二十五。」
「お姉ちゃん!」
「可愛い…」
そして。
凛は昼前に出たはずが、夕方に帰ってきた。
「どうした…それ…」
「買っちゃった!」
反物を抱えている凛を見て、桜乃助は呆れていた。
「あの八千代ちゃんのとこの店のヤツ!」
「店…?」
「そう!呉服屋!」
「そうか…」
桜乃助は自室に向かった。
「あーもっと聞いて!」
「寝る!」
そのまま寝た。
第三話 「悩み」 完




