第十九話 「逃走」
桜乃助は出かけていた。
「……行くか……」
桜乃助は渡海屋へ向かった。
「いらっしゃいま…あ!」
八千代は嬉しそうに駆け寄った。
「桜乃助様!」
「暇だったから…」
桜乃助は八千代の隣に座った。
「拠点は今…酒盛りでうるさいから…寝れないんだ…」
「酒盛り?」
「宴会だ。寝たいがうるさくて仕方ない。」
「じゃあここで寝ていきます?」
「は?」
「奥の部屋あるので!」
店の奥の少し広い部屋に案内する。
「ここならいいでしょう!」
「ありがとう。」
桜乃助は横になって寝た。
暑がりなので、まだ皐月だが障子は開けて寝た。
夕方、桜乃助は起きた。
寝ぼけながら、煙管を吸う。
着物は寝相で片方だけはだけていた。
「これとかどうですか?」
八千代は接客をしていた。
ただ客は八千代目当てだった。
そんな客は少なくなかった。
ただ、奥の部屋を見てしまった。
刺青が入った男が背を向けて煙管を吸っていた。
「きょ…今日はこのくらいで…」
客は尻尾を巻いて逃げた。
「桜乃助様〜!起きましたね!」
「あぁ。」
桜乃助は辺りを見渡した。
「親はどこだ?」
「今は出かけてます!」
「そうか、帰る。」
「なんでぇ!」
「バレたらマズいだろう。」
「紹介します!」
桜乃助は急いで帰った。
拠点の扉を開けると、まだ酒盛りしていた。
「頭〜領〜!」
顔を真っ赤にした凛が駆け寄る。
「…」
桜乃助は自室に籠った。
枕を耳に当てながら。
第十九話 「逃走」 完




