第十八話 「女好きの畜生」
一同吉原に向かい、楼に入る。
「あぁ、今日はよろしくお願いしますね。」
楼主が出迎える。
「よろしく頼む。」
八千代が辺りを見渡す。
「凛達はもう外で待機しておけ。」
「は〜い!」
桜乃助と行楽、相楽、扇、が残った。
「全員、楼主が報告にくるから。報告があったら近くの部屋で待機。」
「了解〜」
相楽が刀の鞘を眺めながら答える。
「相楽…!ちゃんとしろ…!」
行楽が頭を抱える。
「まぁ連絡しますので、それまでよろしくお願いしますね。」
楼主が茶を出す。
「では、着替えましょうか。」
楼主と女将が奥の部屋へ桜乃助を導き、入ってゆく。
「…扇さん戦えるんですか?」
行楽が聞く。
「舐めないでよ。」
「戦ってるの見たことないから…」
「私の短刀捌き見てなさい…!」
その頃、桜乃助。
「似合ってるのか…?」
「似合ってますよ!」
髢を使い、花魁の髪を再現する。
化粧をすれば見分けがつかなかった。
「はい!着物!」
紫の着物。
桜乃助は花魁になった。
「では、私がおびき寄せますので。」
楼主が外に出る。
(皆さんいますね。)
待機組と同心の場所を確認し、対象を待つ。
その時だった。
「また来てやったぞ!」
対象が現れた。
娘攫い、人身売買の商人がやってきた。
「いやぁようこそおいで下さいました…!」
「今回は籬からではなく…」
「何だ?」
「上物がございます!」
「最近なったのか?」
「はい…!」
「案内しろ!」
楼主は桜乃助が待つ部屋へ案内する。
「ようこそおいででありんす…」
「中々じゃないか…!」
護衛と共に入ってくる。
桜乃助はこう思った。
(くぅ…もう酒が入っている…!)
「商人様とお見受けいたしんすが、誠でありんすか?」
「あぁ!まぁまぁ稼いでいるぞ!」
桜乃助は吐くのを我慢しながら接客を続けた。
その頃、行楽らは楼主に隣の部屋に案内された。
「三回壁が叩かれたら、突撃…いい?」
「了解。」
三人は壁に耳をつけた。
「お前らも飲め!」
護衛達に酒を飲ませる。
桜乃助は酒を飲むフリをして、好機を伺っていた。
(もう…いいか…な…)
壁を三回叩き、対象の後ろに回る。
「合図だ…!」
三人は部屋を出た。
「娘攫いは本当か?」
一気に低くなった声に商人は驚いた。
「な?!」
その時、相楽が襖を蹴破って入ってくる。
「お前らは護衛を!」
桜乃助は隠していた縄を商人に巻いた。
「ぐぅ!離せ!」
桜乃助は襲いかかってきた護衛を跳ね飛ばした。
「頭領!任せとけ!」
相楽が体勢を崩した護衛の首に峰打ちを叩き込み、腕を縄で縛る。
扇は短刀を使い、護衛の刀を弾き返し、捕縛した。
行楽は二本の刀で護衛二人を相対する。
その時、外に向かって護衛が叫んだ。
「お前ら!ここだ!」
鳴谷はいち早く護衛に近づき、足・胴・頭と連続して打撃を叩き込み、峰打ちでとどめを刺す。
凛は八千代を少し離れさせ、護衛の懐に入り込み、投げ飛ばす。
飛瑛は鎖鎌で刀を奪い取り、降伏させる。
辰三は猛スピードで突撃し、転んだ護衛の腕に縄を縛る。
行楽は一瞬の隙を見逃さず、降りかかる躱し、同時に胴を打つ。
「これで終わり…かな…」
桜乃助が外を覗くと、同心に護衛を明け渡す幹部がいた。
「頭領〜!」
凛が吉原に入る。
すぐ、凛達は桜乃助のいる部屋に入った。
「お手柄だね〜」
「同心は。」
「もう奉行所に向かったよ。」
「コイツらは俺が運ぶ。」
「アタシも手伝うよ〜」
凛、辰三、行楽、相楽が護衛を抱える。
桜乃助は商人を抱えた。
「わぁ…」
八千代は髪を解いた桜乃助に見惚れていた。
「八千代ちゃんは…鳴谷と帰ってて!」
「はい!」
「わかった。」
鳴谷と共に八千代は帰った。
「頭領とはいつ出会った…?」
「大体一ヶ月前です!」
「思ったより短かった…」
そんな会話をしていた。
その頃、桜乃助達は奉行所へ向かっていた。
道中だった。
「桜乃助!」
九郎と同心がやってきた。
「同心の人数が足りなかっただろう、渡してくれ。」
商人らを渡し、桜乃助は拠点に帰る。
「この着物…使っていいらしい…」
桜乃助は袖を見つめた。
第十八話 「女好きの畜生」 完




