第十七話 「夜を待つ」
桜乃助は結局石を持って帰った。
八重が持って帰れとうるさかったからだ。
「おかえりなさい!」
「??????」
桜乃助はまた頭を抱えた。
「何故普通にいる。」
「えへへ!」
「……凛か。」
「違いますよぉ…自分から来てましたぁ…」
禅が呟く。
「…」
桜乃助は拠点から出ようとした。
「あ〜!」
八千代は桜乃助の着物を掴んで離さない。
「わかった…」
桜乃助は奥の部屋へ行った。
「その石どうしたんですか?」
「これは…」
「説明の必要はないぞ!」
石から八重が出てくる。
「ひゃあ!」
驚いた八千代が転んでしまう。
「小娘、何者じゃ?」
「俺の…友達だ…」
「ほぅ…お主の女か…」
「違う!」
「そうかそうか!」
少し笑って八千代の顔を覗き込む。
「幾つじゃ?」
「十五です!」
「主は?」
「十五だ。」
「同い年か…お主は十五に見えんがな。」
桜乃助の頬を突く。
「その耳…被り物ですか?」
「違うぞ。」
「へ?」
八千代が耳を触る。
「本物だ…」
「フン!」
凛がやってくる。
「誰?」
「八重じゃ!」
「幾つ?」
「百四十二歳じゃ!」
「ババア…」
「うるさい!」
八重が凛の頭を引っ叩く。
「おばあちゃん!」
八千代が目をキラキラさせて言う。
「…それならいいじゃろう…」
少し俯いた。
「婆さん、もう封じ込めるぞ。」
「うるさいうるさいうるさい〜!」
桜乃助は無言で封じ込めた。
「何処で拾ったんですか?」
「知らん。」
そのまま箪笥の上に置いて、席に座った。
幹部が全員自然に座る。
八千代は慌てて桜乃助の隣に座った。
「吉原潜入は今夜。準備は出来てるな。」
「勿論。」
行楽が刀を取り出す。
「我々は外で待機。そこの護衛を抑え込む。いいな?」
鳴谷が凛、飛瑛、辰三に確認する。
「わかってる〜」
飛瑛は飾りを弄りながら答える。
「外には同心が五人待機している。俺が対象を確保して受け渡す。護衛との戦闘も手伝うだろう。」
「わかったよ〜!」
凛がさっきから飲んでいた酒を飲み干して答える。
「今から吉原に向かうぞ。」
「了解。」
一同、立ち上がる。
朝は会議、そして八千代と散歩。
昼は奉行所へ。そして八重を拾う。
今は夕方。ついに決行だ。
桜乃助らは吉原へ向かった。
「凛についておけ。逃げる時は逃げろ。」
桜乃助は八千代へ話しかけた。
「はい!」
「親には言ったか?」
「言いました!」
「そうか。」
第十七話 「夜を待つ」 完




