第十二話 「あれ?」
八千代が聞く。
「あれ…?禅さんは?」
「禅…一応幹部だがな…」
「どうかしたんですか?」
桜乃助が口を開く。
「アイツは幹部になってからあまり任務に参加せず、何かしている。個人の住居でだ。」
「へぇ…」
「だから脱退も視野に入る。」
「ほへぇ…」
「説明するまでもないヤツだ。何かこっちに得になるような事をしていたら、報告はするだろうし。」
辰三が瓢箪を取って呟く。
「元々休みがちだったからな…任務に参加すればなかなか腕は立つが…」
そこに、誰かが入ってくる。
「久しぶりですねぇ…」
痩せた男。
ただ紅の服を持っている。
「禅?!」
「え?!あれが禅さん?!」
禅は桜乃助と向かい合って座った。
「心配させたく無くて言ってなかったけどねぇ…実はねぇ…昔からだけどぉ…病気にかかってねぇ…ずっと参加出来なかったんだよぉ…」
「本当か?」
「本当ですよぉ…痩せたでしょう…?ろくに飯も食えなくてねぇ…」
「それで、症状が良くなって来たのか?」
「まぁそうですねぇ…だけどねぇ…もう任務に同行する力はないねぇ…」
「…どうする。」
「そこでぇ…少しお願いがあるんですよぉ…」
「何だ。」
「裏方に回りたいんですねぇ…」
「裏方…何をするんだ。」
「傷ついた制服の修理…料理…奉行所へ情報提供やぁ…逆に貰ったりとかをねぇ…」
「それは大体下っ端にやらせていたがな…まだ活動はしたいか…?」
「やりたいですよぉ…」
「そうか。考えよう。ただ、病気は報告しろ、俺らの心配などいい。」
「すみませんねぇ…」
禅は紅の制服を置く。
「早速、奉行所行ってきますねぇ…」
そのまま拠点を出た。
「そういえば、奉行所に行って大丈夫なんですか?」
八千代が聞く。
「大丈夫だ。紅は奉行所公認組織だ。」
「へぇ…!」
「禅…アイツは元々体力があったんだがな…」
辰三が呟く。
「そうだな…少し寂しい気もするがな。病弱だったな…」
「報告はしてほしいな。」
辰三が酒を飲み干し、呟く。
「もう少しで夜になるだろうな。」
凛が口を開く。
「八千代ちゃん、時間大丈夫?」
「もうすぐです帰ります!」
「じゃあ頭領送ってあげて!」
「…」
桜乃助は渋々(嬉しい)八千代と拠点を出た。
第十二話 「あれ?」 完




