紗月の司法取引 第二章 冷たい廊下
**矯正施設 食堂での公開処刑**
「ほらお嬢様、お召し上がり下さいな」
鉄格子越しに不良グループのリーダー・桜木が嗤う。
配膳トレーの上で蠢く虫を見て胃液が逆流した。
「ゴキちゃんのご褒美デザートよ~」
他の受刑者が爆笑する中スプーンで虫を掬う。
「吐いたらどうなるかわかってるよね?」
無理やり口の中に押し込まれ、朝食の食パンとヨーグルトが胃液と混ざり合った黄色い粘液状の液体が勢いよく逆流する。
鼻水と涙で顔はぐしゃぐしゃ。
それを見てさらに大笑いする桜木たち。
ヨシオさんに謝り続ける夢を見て眠れない夜が過ぎていく。
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**消灯後の密告**
枕元の窓枠にメモが挟まっていた。
《次は便器掃除だぞ》
壁際で泣き腫らす紗月に隣の独房から声がかかる。
「耐えろ……ここで潰れるな」
振り返れば傷跡だらけの看守が壁越しに励ましていた。
かつての被害者を思い出させる眼差しだった。
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**反省室の閃き**
「財閥なんか捨てればよかった……」
独房の薄暗がりで自問する日々。
ある晩鍵穴から滴る水を見つめ思わず呟いた。
「私が守るべきものは……」
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**変化の兆し**
三ヶ月後。桜木に呼び止められた。
「おい」
拳を握りしめる紗月に彼女が投げつけるのはティッシュケース。
「鼻血を拭けよ……殴られてばっかりじゃねえか」
驚いて見上げれば頬に殴られた痕があった。
仲間内の抗争で犠牲になったのだと悟る。
「礼なら要らない」背を向ける姿に複雑な感情が湧いた。




