紗月の司法取引 第一章 判決の刻
「判決が出ます」
検察官の低い声が耳朶に届いた瞬間、私の手から冷たく濡れたハンカチが床に落ちた。拭えない汗粒のように。
「量刑は……」
息が止まる。
一年前あの日を境に私の世界は音を失った。ヨシオさんを銃撃した瞬間から。
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**回想 半年前 国立競技場**
「護衛!あの男を捕らえて!」
私の命令に従い黒服が発砲してしまった。
**パァンッ!**
鈍い銃声の後ヨシオさんが崩れ落ちる。
「そ、そんな……わ、わたし、ヨシオさんを傷つけるつもりなんて……」
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**現在 控室**
「判決は未成年の為矯正施設送り六カ月が妥当……」
(甘い……私にとっては天国のような罰だ)
**回想 地裁傍聴席**
「被告人は幼少期から愛情に飢えていた」
弁護士の陳述がむなしく響く。被告席でうつむく紗月の唇が震えた。
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**現在 目的地へ移動中**
送迎バスの窓に映る自分の顔は知らない女みたいだった。
(花音さんなら笑い飛ばすだろう)
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**エピローグ:償いの始まり**
門の前で見慣れた後ろ姿。
「よお」と声をかけられる。
ヨシオさんだ。
「なんで……ここに?」
「俺も一応被害者だからさ」彼が苦笑した。
「お前の成長ぶりを見に来たんだ。それとお土産も」
ヨシオが拳銃を構える。
黒光りした鉄の塊から閃光が走る。
バァン!
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ハッと目を覚ます。
(夢?)
どうやら護送バスのなかで寝てしまっていたようだ。
外に出ると寒風が頬を刺す。この痛みこそ本当の贖罪なのかもしれない。




