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5・認知度を上げる!

 大変、不服ではあるけれど、マーカスが父の骨董品ーー劇場の資産である骨董品を担保に追加支援してくれたことによって、金銭的に余裕が生まれた。

 いままでその資産を元に、劇場公演をして売り上げを立てる。そして利益から返済する。と言う、いわゆる自転車操業に近しい経営をしている。

 それでは一生、支援を受け続けなくちゃいけないし、最悪ーーマーカスとの結婚である。絶対に避けたい。


「はぁ」


 だから、いままでとは違うことをしなくてはいけない。


「よいしょっと…」


 私はいま、劇場内にある資料室で我が”劇場ブランシェ”の記録を見ていた。

 それなりに経営を続けて来てるので、公演数はある。だけど、我が家には決定的な、あるものがなかった。それはーー認知度である。

 我が劇場は、娘の私が言うのもなんだが”微妙”なのである。


 まず大きさ。

 新人や若手が公演する小劇場より大きく、大御所や人気作品を公演する大劇場よりは小さい。

 つまり、使い勝手があまりよくないのである。

 劇場の大きさに対する正確な決まりはないけれど…前世の感覚で言うと300〜400席ぐらいが小劇場、1000席を超えると大劇場に分けられることが多い。その定義でいくと、地味に2階席がある我が劇場は総席数は700席の中劇場ということになる。


 そして演目。

 劇場といえば、と言う看板作品や劇団公演がない。

 現代で言うと…シアーターキューブ、王国劇場などのミュージカルの聖地と言えばなものも、劇団五季や宝谷歌劇団などの劇団体が所属しているわけでもない劇場。


「この人って、あの有名なオドリ・バーンさん! え、マリリ・モロンさん!? 出演していたんだ! てか、この絵って、ロペラ座の怪人!? 公演してたのっ!?」


 とまぁ、我が劇場で公演している作品や劇団体が売れていない、有名でない、などと言うことではない。華々しくステップアップしている。言い換えれば、踏み台。日本語にすると言い得て妙な気がするけど合っていると思う。

 有名になりつつある、とか、ある程度人気が出てきたと言うくらいなので、人々の記憶に我が”劇場ブランシェ”と名が残っていない。つまり認知度がない。


 それでも劇場経営を続けることができたのは、中劇場ながらの広い空間とお手頃な値段と言うことだろう。くわえてマーカス…オルレアツァ交易とのつながりだと思われる。

 いまは支援してもらっている立場だけど、子供の頃は対等な関係だったような気がする。その中で、オルレアツァ交易が劇場ブランシェを紹介する。劇場ブランシェがオルレアツァ交易を宣伝するという摩擦がない関係。


 それがいまは傾き、オルレアツァ交易に寄りかかっている状態。


 その状況を打破するためには、認知度を上げなくてはいけない。

 人気作を公演するのにも、有名な劇団や花形役者を呼ぶにも認知度、魅力がなければオファーを受けてくれたりはしないだろう。


 劇場に認知度がないのなら、次に魅力。魅力と言えば単純にギャラ、お金になるけれどオルレアツァ交易に支援させてもらっているいまの状態では得策ではない。

 となると、私が考えるべく立て直し計画は、お金をかけずに観客を呼ぶ企画を考える必要がある。


 人気作も、花形役者も呼べないなら、ギャラが安くなっても出たいと思ってもらえるような作品を準備することだ。

 ここで私が前世の推し活で得た、あらゆるエンタメ体験をした知識が使える!

 異世界で実際にやったら奇異なことも、作品というフィクションの中でやれば娯楽に変えることができずはず!


「よぉーし! 頑張るぞー!!」


”小説家になろう”さんのページにも注意書きがありますが…

※現代物や異世界にあるものとして出てくる名称について

すべてフィクション名称であり、実在の人物・団体等とは一切関係ありません。



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