第百話 新技
「っ! あぶな!」
後方から放たれた炎が頬を掠め、すぐ目の前に落ちる。
落ちた箇所にはちょっとしたクレーターができており、いまだにメラメラと燃えている。
「ちょっ! 当たったらどうするんですか!」
「では止まれ、痛みがないよう一瞬で……」
「絶対嫌だ!」
……この召喚獣、魔力探知で僕の行動を把握しているのかな。
魔法に当たらないよう、無規則に左右しながら走っているのに、正確に狙ってくる。
僕も魔力を探知してギリギリのところで避けているけど、このままだと集中力が切れたところで当たってしまうだろう。
「次のは避けられんぞ、どうする」
直径2メートルはあろう大きい火球が放たれる。
読み通り僕の魔力を探知しながら打ってくるのであれば、道満さんの言う通り、左右に飛びつくだけでは避けることができない。
「ヒヨコ!」
『ピヨ!』
ガシッとヒヨコを野球ボールのように掴む。
そして、思いっきり前方目掛け投げる。
『ピョォーーー』
まるで鏑矢のように飛んでいくヒヨコ
そして、失速したところでパタパタと羽を動かし、扉の中に入る。
「……召喚獣を逃したか……。だが召喚士であるお前が倒れては意味がないだろう」
「……どうでしょうね!」
目を閉じ、精神を集中させる。
真っ暗な視界の中、周囲の魔力に全神経を集中させる。
そして、空気中に漂う魔力を押し返す、黒い魔力を感じる。
この黒い魔力は……あいつの召喚獣の魔力‼︎
「捉えた!」
火球が僕に当たる瞬間、僕は技を使った。
魔力消費量が大きく、僕の魔力量では、召喚獣を対象にした場合、1.2回しか使用できない技。
好実に技を聞いたところ、この技を使えるのは僕だけらしい。
つまり、ぼくオリジナルの魔法。
経験豊富だからこそ、相手の行動を読むことに長けているからそこ、この技には引っかかる。
技名は…瞬間移転術ver2!
対象は、僕と……お前の隣にいる召喚獣だ!
瞬間、僕と道満の召喚獣の位置が入れ替わる。
『…………ッ‼︎』
僕と入れ替わったことで火球が直撃し、数メートルほど吹っ飛ばされた。
「……ガキがぁ!!」
道満はすぐ隣に現れた僕目掛け、拳を振り下ろす。
『ピヨ!』
その瞬間、道満の姿は消え、代わりヒヨコが現れた。
瞬間移転術ver2をヒヨコと道満を対象に使用した。
『……ざけるなぁ!!』
遠くから彼の怒号が聞こえている。
「いこう、目的の場所はすぐそこだよ」
『ピヨ!』




