元魔王の娘は力を示す!
ルシファーナは対戦相手のカーラーに対して警戒し……。
ここは北東側闘技場。鳥人族の男性のバトルは既に終えていた。
一番コンドフェル・タルカVS二番セキベセイ・イルザ。風竜巻でセキベセイを吹き飛ばして、コンドフェルの圧勝。
三番フクリディス・ホーグVS四番オワシゲ・トドス。素早い動きでフクリディスを掴み飛べない状態にしたあと地面に落下させて、オワシゲが勝利する。
五番ハゲシワ・トンデVS六番チイスズ・ピイヒ。大柄の相手に対し小柄の身軽さを活かし逃げまわりながら相手の急所を見事に攻撃したチイスズが勝った。
これは番狂わせだったために皆の歓声が半端なく沸き上がる。
七番タッカン・ノルメVS八番クジャべ・キイレン。白熱のバトルを繰り広げ両者共に傷だらけになりながらも飛べないクジャべの幾重も極めていた早い攻撃が上手だった。
そのため技極めにて、クジャベの勝利となる。
次いで鳥人族の女性たちのバトルだ。
そして現在、建物内の入場門前にはルシファーナが居て会場をみている。
戦っているのは一番フラミルク・ビビカと二番サギリアス・キョウナだ。
(ボクは三番……相手は、カーラー・ステン。曲者だって聞いてるけど……)
相手の情報が少ないため、ルシファーナは作戦を練れずにいた。
(あー……飛べないフラミルクが自爆して負けたか。組み合わせ悪すぎだ)
ハアーッと溜息を漏らし次は自分だと不安感が増してくる。
退場して入場門をくぐり建物の中へと入ってくるなりフラミルクは、ルシファーナのそばで立ち止まって一礼した。
「これはルシファーナ様。ご機嫌麗しゅうございます。ここに居られるという事は出場されるのでしょうか?」
「ご機嫌ようフラミルク。そう、バン……バンヘルトに認めてもらうためにな!」
「クスクス……相変わらずですわね。力こそ正義と思っているのでしょうか? それともバンヘルト様は強い女性が好きなのかしら」
それを聞きルシファーナは首を傾げる。
「そんなことは思っていない。それに好きになってもらうために武道大会に出たんじゃないからな」
「そうなのですね。だけど殿方を射止めるのであれば、あまり全開で戦わない方が良いと思うのです」
「そうだとしても、ボクは手を抜く気はないよ!」
それを聞きフラミルクは顔を逸らせ、チッと聞こえない程度に舌打ちしたあと再びルシファーナの方を向き笑みを浮かべた。
「それでは観覧席へ向かいます。ルシファーナ様が負けるなんてないと思うけれど。ですが、くれぐれも無理をせぬように……。それでは失礼いたします」
そう言いフラミルクは会釈をすると観覧席の方へと向かい歩き始める。
「相変わらずだな……フラミルクは棘のある言い方をする。ボクのことを心配してくれてるのは間違いないけどさ」
そう言い再び入場門へ視線を向けた。
(そろそろだな)
そう思い入場門のそばで待機する。
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会場の整備が整ったのを確認するとナミシアは、ステッキを頭上に翳した。
《爆音 イケエェー!!》
そう言いステッキを一回転させるとステッキから光が放たれる。
――ドーン!!――
大きな音と共に文字が現れて直ぐに消えた。
その合図と共に拡声音響を持つスケルトンの女性がカタカタと音を立てながら口を開く。
「カタカタ……三番ルシファーナ・R・アークステイ様〜!! カタカタ、カタ……四番カーラー・ステン〜!!」
控えめな口調で言い放った。
それを確認するかのようにルシファーナとカーラーが、ほぼ同時に向かい合った入場門から出てくる。
会場へと向かいながらルシファーナはカーラーを睨んでいた。
そんなルシファーナの表情をみてカーラーは察しているのか不適な笑みを浮かべている。
因みにカーラーはカラスのような鳥人らしく身につけている服装までも黒だ。
互いに定位置までくる。
「あら前魔王様の御令嬢がアタシの相手と聞いてたけれど……思ってたよりも弱そうね」
「見た目で判断するなよな。それと……ボクが元魔王の娘だからって手加減するんじゃねえぞ」
「汚い言葉を使うのね。御令嬢だから……もっと上品かと思ったわ」
意地悪気味に言いカーラーは不敵に笑った。
「御令嬢……ボクは、そんな綺麗な育ち方なんてしてないよ」
「でしょうね。それでは殿方……いえバンヘルト様に嫌われてしまうわよ」
「嫌われるもなにも……バンには好きな人がいるんだ。だから、そばにいれる権利さえあれば十分さ」
そう言いルシファーナはカーラーを睨みつける。
「クスッ……そう、それならアタシが振り向かせてみせるわ」
「勝手にするれば! 選ぶのはバンだから、な」
「そうさせてもらうわね」
そう言うもカーラーの顔はひきつっていた。
会話が終えるのを待っていたかのようにナミシアはステッキを頭上に翳し一振りする。
《開始!!》
そう叫ぶと光が放たれて【開始!】と云う大きな文字が空に描かれた。
それを確認したルシファーナとカーラーは互いに警戒し一度後ろに跳び下がる。
(なぜ同じ動きをした?)
そう思いルシファーナは更に警戒して低い体勢で身構えカーラーを睨んだ。
「どうしたのかしら? アタシを警戒してるのかしらねえ」
「それはコッチのセリフだ! なぜ攻めてこない?」
「……」
なぜかカーラーは黙ってしまった。
「なぜ答えない?」
「答える必要のない質問だからよ。そんなことよりも早く対戦しましょう」
あからさまに挑発するカーラー。
その行動に対して、ルシファーナは警戒し過ぎている。
そのせいで依然として動きがなく周囲の者たちはイライラしていた。
今にも観覧席から暴言が聞こえてきてもおかしくない状況だ。
(仕方ない……相手が何を考えているのか分からないけど、やるしかないよね。そうじゃないと進行が遅くなる。ボクのせいでって怒られるのも面倒だし)
と、ルシファーナが手を振り上げた直後それをみたカーラーは今だと思い翼をはばたかせ風を起こし羽をとばす。即座に両手を前へ翳し詠唱する。
《漆黒の羽 黒炎纏い 的を射よ!!》
そう言い放つと羽は黒炎を纏いルシファーナへと勢いを増し向かった。
既にルシファーナはそれに気づき宙に羽ばたき飛び避けている。
だが黒炎を纏った無数の羽は的であるルシファーナへ向きをかえた。
そのことを予測していたのかルシファーナは翼を大きく何度も羽ばたかせ風の渦をつくりだし向いくる黒炎の羽を巻き込んだ。
風の渦に巻き込まれた無数の黒炎の羽は更に燃え盛る。風の渦もまた無数の黒炎の羽を巻き込み威力を増していた。
ルシファーナが何をしようとしているのか瞬時に気づいたカーラーは逃げ場を探すも何処にもない。
《逆炎竜巻!!》
頃合いと思いルシファーナは黒炎を纏った巨大な竜巻をカーラー目掛け放った。
会場内に居る者たちは、この場から既に逃げている。
逃げ場を探す余裕のないカーラーは翼を使い風をおこし悪あがきをした。
だが威力のある黒炎を纏った風の渦はビクともしない。
――ドーン!!――
勢いのまま黒炎を纏った風の渦は、カーラーへと落下する。
それを確認するとルシファーナは会場へと着地した。
上空に逃げていたナミシアは終わったことを確認するとカーラーの下へ降り立ち気絶しているかを調べる。
その後ナミシアは、ステッキを頭上に翳し一振りした。ステッキから光が放たれ上空に【勝者③番】と大きく描かれる。
それをみた観客は歓喜の声で盛大に沸いていた。
勿論ルシファーナも「ヤッター!!」と大喜びし飛び跳ねている。
その後ルシファーナは、スキップしながら笑顔で会場を去っていった。
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