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正義悪か悪正義なのか  作者: みけ猫 ミイミ
第三章

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21/22

勇者魔王への便利アイテム

三週間が経過しバンヘルトは巨人族の闘技場に来ていて……。

 ……――あれから三週間が経過して武道大会当日である。 

 ここは巨人族の集落。大きな建物が至る所に距離をおきたっていた。

 巨人族にとっては、これでも狭いらしいのだ。

 闘技場は中央と北東側に二ヶ所あり、これらを使い武道大会が行われる。

 選ばれたのも闘技場が二ヶ所あるという理由もあったからだ。

 北東側の闘技場は長年使用していなかったため修理に日数を費やす。昨晩までに仕上げたのは驚異的である。

 作業に携わったのは巨人族の他にドワーフ族、エルフ族、ダークエルフ族、オーガ族、バンパイア族、サキュバス族だ。

 その他の種族も興味本位で手伝ったようである。

 人数も多かったため北東側にある闘技場の修理は約三週間で完遂したのだ。

 その間、中央にある闘技場は手の空いている者たちで整備されたのである。


 現在、中央にある闘技場には各種族の参加者が綺麗に整列されて並んでいた。

 と云うものの一部の種族は「キッチリ並ぶ必要ねえだろ」、「かったりー早く始めろや」、「長い話なら寝てた方がいいか」、などなど適当なことを呟いている。

 バンヘルトはと云うと会場が見渡せる観覧場所にいた。

 身なりは相変わらず黒だが魔王らしい装備をしている。


「高い……ここからだと【望遠筒鏡】を使わないとみえないぞ」


 バンヘルトの隣には、ルシファーナがいた。


「怖い訳じゃないよな?」

「そういう訳じゃない……ただみえないな、と思っただけだ」

「そうか? 良くみえるけど」


 魔族と人間の差なのだろう。


「その目をくれ!」

「あげれる訳ないだろ!!」

「いちゃつくのも、そのぐらいにしていただきませんと……始まってしまいますよ」


 そう言うとタウリグセは、クスッと笑った。


「別にそんなんじゃない!」

「えー……ボクは、そうだと思ってたよ」


 意地悪気味に言いルシファーナは、ジト目でバンヘルトをみる。


「ハァー……まあいいか。それよりも本当にいいのか? ここに居ても」

「バンヘルト様は魔族たちの王。それ故に民衆ともいえる者たちと同じ位置にいてはいけないと思われる」

「ハンセス……そうは言ってもなぁ。ここからだとみえないぞ」


 その言葉を待ってましたとばかりにハンセスは「これを……」と、バンヘルトに紫の箱を渡した。

 紫の箱を受け取りバンヘルトは蓋を開けてみる。


「二つの筒?」

「書物を読み調べて作って参った【双望遠筒鏡】……できは試せぬ故に」


 それを聞きバンヘルトは双望遠筒鏡を覗き会場をみた。


「みえ過ぎだぞ。調節はできないのか?」

「両筒の間に赤と青の魔石がある。青は縮小で赤が拡大……それの何方かに魔力を注げばよい」


 言われた通りにバンヘルトは青い魔石に振れ魔力を注いだ。その後、再び双望遠筒鏡を覗きみる。


「なるほど……魔力の量も関係するのか? かなりみえなくなったぞ」

「恐らくは、そうかと……」


 それを聞きバンヘルトは双望遠筒鏡を覗きながら赤い魔石に少量の魔力を注いだ。


「そういう事か……覚えれば便利な魔道具だ。ハンセス……ありがとう。お前が幹部で良かったよ」

「お褒めの言葉……ありがたきこと。これからも精進いたす」

「ああ、また何か役に立ちそうな物を作ってくれ」


 無表情ながらバンヘルトは、かなり喜んでいるようである。


「承知……また調べ、バンヘルト様にしか使用できないような物を作成いたす所存」


 頭を下げるとハンセスは、これで幹部のままでいれると喜んでいた。


「そうそう……そうでございました」


 そう言いタウリグセは灰色の魔石が先端に付いた棒をバンヘルトへ渡す。


「これはなんだ?」

「これは【拡声音響】と云う魔道具でございます。魔石に軽く触れてから声を発してくださいませ」


 タウリグセに言われた通りバンヘルトは拡声音響の棒の先端に付いてる魔石を軽く触れる。すると魔石が、ピカッと光った。


「これでいいのか?」


 そう発した声は、全域に響き渡る。

 バンヘルトの声を聞いた参加者たちと観覧席に居る者たちは歓声をあげた。

 そのことを知りバンヘルトは再び魔石に触れる。


「こうなることが分かっているなら最初に言ってくれ。そうじゃないと恥をかく」


 顔には出ていないがバンヘルトは恥ずかしかったらしい。


「これは申し訳ありませんでした。即実行されるとは思いませんでしたので」

「まあ……いい」


 あまりにも無表情でバンヘルトが言ったためタウリグセは恐怖した。

 その隣ではハンセスが後ろを向きみえないように口を塞ぎ笑っている。

 バンヘルトの隣ではルシファーナが頭を抱え溜息をついていた。


「ダイゼンとナミシアは会場の方か……そういえばライナネが居ない。どの持ち場に付いたんだ?」

「各々交替できるように役割を分担しております。ですので会場の方にいらっしゃるかと」

「そういう事か……お前たちもでるのか?」


 そう聞かれてハンセスとタウリグセとルシファーナは、コクッと頷き笑みを浮かべる。


「まさか……ルシファーナもでるのか?」

「勿論でるよ」

「そうなのか……そういえば種族はなんだ?」


 そう言われルシファーナは一瞬無言になるも溜息をつき口を開いた。


「ボクは母親の方に似たから鳥人族の方だ」

「なるほどな……それじゃあ、ガイモンの種族って何だったんだ?」

「ボクが半間なのは知ってるよな?」


 そう問われバンヘルトは頷きルシファーナをみる。


「ガイモンも半間だったな」

「うん……お父さまは人間と竜族の半間だよ」

「それでか……あの強さは尋常じゃなかったからな。そうなると、ルシファーナは人間と鳥人と竜族の……」


 複雑すぎてバンヘルトの脳内はパンク寸前だ。


「おい……脳内ショート寸前じゃないのか?」

「ん?……ああ、すまない。考えるのをやめておく」

「脳筋頭で考えても無理だろうしな」


 意地悪気味にルシファーナに言われてバンヘルトは心の中で苦笑している。


「オレもでたいが……人間族はここに居ない」

「そもそも……バンヘルト様相手では人間族が可哀そう過ぎますよ」

「……どうだろうな。大勢だと負けるかもしれないぞ」


 それを聞きタウリグセとルシファーナとハンセスは思いっきり何度も首を横に振った。


「バンは強い……お父さまを倒せるほどの力を持っているんだ。人間族が束になって殺そうとしても死なないと思うぞ」

「そこまで強くない……そんなに強かったなら仲間を救えた」

「それは違う。どんな強者だとて救えない者もいる故に悲観することはないと思われる」


 そう言われバンヘルトは、ゆっくり頷き無作為に遠くをみつめる。


「そろそろ刻限かと」


 タウリグセに言われバンヘルトは会場へ視線を向けた。


(話すことは決まっている。だが……緊張してきたぞ。大丈夫なのか?)


 慣れないことをしようとしているバンヘルトは緊張しすぎて息が荒くなってくる。


「バン……胸でも苦しいのか?」

「緊張しすぎて動悸が酷い」

「なるほど……顔に出てないから分からなかったよ」


 そう言いルシファーナは近くにあるライナネがバンヘルトのために用意していた花束を持った。と瞬時に跳ね花束でバンヘルトの頭を殴る。

 バンヘルトの頭上に閃光が走り花束が弾けて綺麗に舞い上がり会場へ広がり落ちる。

 それをみた参加者たちと観覧席の者たちは喜び拍手が響き渡った。


「綺麗だ……って、なんでいきなり殴る?」

「どう……落ち着いたか?」

「あっ、うん……そうだな。緊張が解けた。ありがとう、ルナ」


 その後バンヘルトは拡声音響を持ち話し始める。


「……――とにかく祭りだと思って楽しんでくれ!!」


 そして、そう開会の言葉を締めた。

 ……――あれから三週間が経過して武道大会当日である。 

 ここは巨人族の集落。大きな建物が至る所に距離をおきたっていた。

 巨人族にとっては、これでも狭いらしいのだ。

 闘技場は中央と北東側に二ヶ所あり、これらを使い武道大会が行われる。

 選ばれたのも闘技場が二ヶ所あるという理由もあったからだ。

 北東側の闘技場は長年使用していなかったため修理に日数を費やす。昨晩までに仕上げたのは驚異的である。

 作業に携わったのは巨人族の他にドワーフ族、エルフ族、ダークエルフ族、オーガ族、バンパイア族、サキュバス族だ。

 その他の種族も興味本位で手伝ったようである。

 人数も多かったため北東側にある闘技場の修理は約三週間で完遂したのだ。

 その間、中央にある闘技場は手の空いている者たちで整備されたのである。


 現在、中央にある闘技場には各種族の参加者が綺麗に整列されて並んでいた。

 と云うものの一部の種族は「キッチリ並ぶ必要ねえだろ」、「かったりー早く始めろや」、「長い話なら寝てた方がいいか」、などなど適当なことを呟いている。

 バンヘルトはと云うと会場が見渡せる観覧場所にいた。

 身なりは相変わらず黒だが魔王らしい装備をしている。


「高い……ここからだと【望遠筒鏡】を使わないとみえないぞ」


 バンヘルトの隣には、ルシファーナがいた。


「怖い訳じゃないよな?」

「そういう訳じゃない……ただみえないな、と思っただけだ」

「そうか? 良くみえるけど」


 魔族と人間の差なのだろう。


「その目をくれ!」

「あげれる訳ないだろ!!」

「いちゃつくのも、そのぐらいにしていただきませんと……始まってしまいますよ」


 そう言うとタウリグセは、クスッと笑った。


「別にそんなんじゃない!」

「えー……ボクは、そうだと思ってたよ」


 意地悪気味に言いルシファーナは、ジト目でバンヘルトをみる。


「ハァー……まあいいか。それよりも本当にいいのか? ここに居ても」

「バンヘルト様は魔族たちの王。それ故に民衆ともいえる者たちと同じ位置にいてはいけないと思われる」

「ハンセス……そうは言ってもなぁ。ここからだとみえないぞ」


 その言葉を待ってましたとばかりにハンセスは「これを……」と、バンヘルトに紫の箱を渡した。

 紫の箱を受け取りバンヘルトは蓋を開けてみる。


「二つの筒?」

「書物を読み調べて作って参った【双望遠筒鏡】……できは試せぬ故に」


 それを聞きバンヘルトは双望遠筒鏡を覗き会場をみた。


「みえ過ぎだぞ。調節はできないのか?」

「両筒の間に赤と青の魔石がある。青は縮小で赤が拡大……それの何方かに魔力を注げばよい」


 言われた通りにバンヘルトは青い魔石に振れ魔力を注いだ。その後、再び双望遠筒鏡を覗きみる。


「なるほど……魔力の量も関係するのか? かなりみえなくなったぞ」

「恐らくは、そうかと……」


 それを聞きバンヘルトは双望遠筒鏡を覗きながら赤い魔石に少量の魔力を注いだ。


「そういう事か……覚えれば便利な魔道具だ。ハンセス……ありがとう。お前が幹部で良かったよ」

「お褒めの言葉……ありがたきこと。これからも精進いたす」

「ああ、また何か役に立ちそうな物を作ってくれ」


 無表情ながらバンヘルトは、かなり喜んでいるようである。


「承知……また調べ、バンヘルト様にしか使用できないような物を作成いたす所存」


 頭を下げるとハンセスは、これで幹部のままでいれると喜んでいた。


「そうそう……そうでございました」


 そう言いタウリグセは灰色の魔石が先端に付いた棒をバンヘルトへ渡す。


「これはなんだ?」

「これは【拡声音響】と云う魔道具でございます。魔石に軽く触れてから声を発してくださいませ」


 タウリグセに言われた通りバンヘルトは拡声音響の棒の先端に付いてる魔石を軽く触れる。すると魔石が、ピカッと光った。


「これでいいのか?」


 そう発した声は、全域に響き渡る。

 バンヘルトの声を聞いた参加者たちと観覧席に居る者たちは歓声をあげた。

 そのことを知りバンヘルトは再び魔石に触れる。


「こうなることが分かっているなら最初に言ってくれ。そうじゃないと恥をかく」


 顔には出ていないがバンヘルトは恥ずかしかったらしい。


「これは申し訳ありませんでした。即実行されるとは思いませんでしたので」

「まあ……いい」


 あまりにも無表情でバンヘルトが言ったためタウリグセは恐怖した。

 その隣ではハンセスが後ろを向きみえないように口を塞ぎ笑っている。

 バンヘルトの隣ではルシファーナが頭を抱え溜息をついていた。


「ダイゼンとナミシアは会場の方か……そういえばライナネが居ない。どの持ち場に付いたんだ?」

「各々交替できるように役割を分担しております。ですので会場の方にいらっしゃるかと」

「そういう事か……お前たちもでるのか?」


 そう聞かれてハンセスとタウリグセとルシファーナは、コクッと頷き笑みを浮かべる。


「まさか……ルシファーナもでるのか?」

「勿論でるよ」

「そうなのか……そういえば種族はなんだ?」


 そう言われルシファーナは一瞬無言になるも溜息をつき口を開いた。


「ボクは母親の方に似たから鳥人族の方だ」

「なるほどな……それじゃあ、ガイモンの種族って何だったんだ?」

「ボクが半間なのは知ってるよな?」


 そう問われバンヘルトは頷きルシファーナをみる。


「ガイモンも半間だったな」

「うん……お父さまは人間と竜族の半間だよ」

「それでか……あの強さは尋常じゃなかったからな。そうなると、ルシファーナは人間と鳥人と竜族の……」


 複雑すぎてバンヘルトの脳内はパンク寸前だ。


「おい……脳内ショート寸前じゃないのか?」

「ん?……ああ、すまない。考えるのをやめておく」

「脳筋頭で考えても無理だろうしな」


 意地悪気味にルシファーナに言われてバンヘルトは心の中で苦笑している。


「オレもでたいが……人間族はここに居ない」

「そもそも……バンヘルト様相手では人間族が可哀そう過ぎますよ」

「……どうだろうな。大勢だと負けるかもしれないぞ」


 それを聞きタウリグセとルシファーナとハンセスは思いっきり何度も首を横に振った。


「バンは強い……お父さまを倒せるほどの力を持っているんだ。人間族が束になって殺そうとしても死なないと思うぞ」

「そこまで強くない……そんなに強かったなら仲間を救えた」

「それは違う。どんな強者だとて救えない者もいる故に悲観することはないと思われる」


 そう言われバンヘルトは、ゆっくり頷き無作為に遠くをみつめる。


「そろそろ刻限かと」


 タウリグセに言われバンヘルトは会場へ視線を向けた。


(話すことは決まっている。だが……緊張してきたぞ。大丈夫なのか?)


 慣れないことをしようとしているバンヘルトは緊張しすぎて息が荒くなってくる。


「バン……胸でも苦しいのか?」

「緊張しすぎて動悸が酷い」

「なるほど……顔に出てないから分からなかったよ」


 そう言いルシファーナは近くにあるライナネがバンヘルトのために用意していた花束を持った。と瞬時に跳ね花束でバンヘルトの頭を殴る。

 バンヘルトの頭上に閃光が走り花束が弾けて綺麗に舞い上がり会場へ広がり落ちる。

 それをみた参加者たちと観覧席の者たちは喜び拍手が響き渡った。


「綺麗だ……って、なんでいきなり殴る?」

「どう……落ち着いたか?」

「あっ、うん……そうだな。緊張が解けた。ありがとう、ルナ」


 その後バンヘルトは拡声音響を持ち話し始める。


「……――とにかく祭りだと思って楽しんでくれ!!」


 そして、そう開会の言葉を締めた。

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