勇者魔王の協議と後悔
執務室に幹部の五人を呼びバンヘルトはルシファーナと共に話をし……。
バンヘルトとルシファーナは改めて幹部を交え協議しようという事になり執務室に来ていた。
椅子に座りバンヘルトは(今じゃなくても明日だっていいんじゃないか)と不貞腐れている。相変わらず無表情だ。
バンヘルトの目の前には、ハンセス、ナミシア、ダイゼン、ライナネ、タウリグセ、五人の幹部が椅子に腰掛けていた。
勿論ルシファーナは、バンヘルトの隣の椅子に座っている。
そして集まってもらった理由をバンヘルトは説明していた。
「……――という訳で、みんなの意見も聞きたい」
「おお! 武道大会か……オレも出れるのか?」
「勿論!! 幹部も出てもらうつもりだ」
そう言いバンヘルトは目の前の五人を順にみる。
「もしや再編成を考えているのか?」
「それは、まだ決めかねてる。だが場合によっては、そうなるだろう」
「面白そう〜!」
そう言いナミシアは、ワクワクし目を輝かせた。
「我も久々に筋トレでもしようかのう」
「種族混合でやるのでしょうか?」
「いや同種族でと思ってる。その方が平等だしな」
それを聞いた幹部の五人は頷き笑みを浮かべる。
「それでだ! 場所や開催日を決めたい」
「各種族の集落にて行ってはどうだろうか」
「それだと、みんなで観戦できない。できれば中立区域で行いたいんだ」
そう言いバンヘルトは目の前の五人を見据えた。
「そうなると可能な所を探した方が良いですね」
「場所を探しにオレも行くつもり……」
「待って! バンは城から出ない方がいい」
なぜ止めるのか理解できずバンヘルトは小首を傾げる。
「なぜ止める? 各集落や、この魔族区域をみて把握しておきたい」
「気持ちは分かる。だけど今は城から出ない方がいい」
「ルシファーナ様の言う通りでございます。今日……全ての種族が集まった訳ではございません。命でも狙われたらどうするのですか」
そう言われバンヘルトは無表情のまま心の中で残念と思った。
「無理か……だが、お前たちだけで大丈夫か?」
「この五人は前王に仕えていた者たちだ。少しは信用してあげてほしい」
「そうだな、すまない。但し状況把握だけはしたい。それと候補をピックアップして報告してくれないか」
コクッと頷き幹部の五人はバンヘルトを見据える。
「それではそのように配下の者にも指示を出しておきたいと思います」
「ああ、よろしく頼む。それと各種族ごとの人数把握もな。これは各種族の代表たち全てにお願いしてある」
そう言いバンヘルトは目の前の五人を順にみた。
「その取り纏めは我にやらせてもらえぬか?」
「ライナネ……大臣であるお前なら適任かもな。そうしてくれると助かる」
「承知いたしましたのじゃぞえ」
そう言ってもらえてライナネは口調が変になるほどに喜んでいる。
「あとは、オレから言う事はない」
「それでは役割を分担して行動に移したいと思います」
そうタウリグセが言うと他の四人は頷いた。
その後、解散しバンヘルトはルシファーナと共に退室する。
それを確認するとライナネ、タウリグセ、ハンセス、ダイゼン、ナミシアの五人は話し合っていた。
★★★★★
通路を歩きバンヘルトは考えごとをしている。
「黙ってるけど、どうしたんだ?」
「自分が王だなんて……実感がわかなくて夢なんじゃないのかと自問自答していた」
「夢なんかじゃない。バンは王になったんだ! もう少し自信を持ってくれよ」
そう言われるもバンヘルトは頷けなかった。
「そもそもオレは騎士になるため……王に認められたかったから勇者になったんだ。それなのに、なんで…………」
ツラさのあまり両手で顔を覆いバンヘルトは心の中で泣いている。
「だけどさぁ。なんでアルベガ国は、バンが魔王に乗っ取られたなんて嘘をついたんだ?」
「知る訳ないだろ! だから余計に訳が分からなくて混乱してるんじゃないか」
「もしかして嫌われてたとかじゃないよな?」
それを聞きバンヘルトは首を横に振った。
「嫌ってたら……勇者の証を手に入れて魔王の討伐なんて重大な任務をさせると思うか?」
「どうだろう……もしバンが勇者の証を一生得られず魔王も討伐できなかったら?」
「それはあり得ないことじゃない。だけどオレは必死で勇者の証を手に入れて魔王を倒した」
そう言いバンヘルトは両手をみつめる。
「それは結果論だ。それと勇者って、そもそも人間だけがなれるものなのかな。ボクは違うと思うんだ」
「あの試練は人間じゃキツい……ルナの言う通り魔族が適任だと思う。オレは何度も死にかけた。それでも名声を欲しいがために必死で試練を乗り越えたんだ」
「それを知っててバンに命じたとしたら?」
そうルシファーナに言われてバンヘルトは、そんなはずがないと思った。
だがあり得ないことではないと脳裏に浮かび、それを何度も掻き消そうとする。
「そんなはずはない。なんでオレが嫌われるんだ?」
「そこまでは分からない。でも……そうじゃないと辻褄が合わないんだ」
「もしそうだとして……なんで直接オレに言わない?」
そもそも国王が騎士にしたくないとバンヘルトへ直接いえば良かったことなのだ。
まあそれはそれで凹むだろうが、こんな状況にならなかったと思われる。
「じゃあ…… クロッキー国の王と王妃は、なぜ殺された? オレとは無関係だぞ」
「バンを陥れるためと……あとは恐らくなんらかのトラブルじゃないかな?」
「じゃあオレのせいで罪もないクロッキー国の王と王妃が殺されたっていうのか?」
真剣な面持ちでルシファーナは頷いた。
「全てオレのせい……勇者になんてならずに諦めていれば誰も傷付かずにすんだ」
「それは違う! バンは悪くない。もしボクの推測が正しければバンは、アルベガ国王の勝手なワガママのせいで犠牲になっただけだ」
「推測……そうだな。今は誰も恨むつもりはない。オレが諦めていればルナの父親を殺さずにすんだのも事実だ」
無表情ながらも落ち込んでいるのが分かりルシファーナはバンヘルトの手を取り握る。
「お父さまがボクに残してくれた最後の言葉。勇者を恨むな……我は勇者によって倒され死ぬだろう――勇者は再びこの地に戻る。人間とは愚かな生き物だからな、と言っていた」
「予知してたのか……こうなることを」
「自分の経験だと思う」
なるほどとバンヘルトは納得した。
「それと勇者が人間族に虐げられていたなら、この魔族区域に迎え入れろとも言ってたんだ」
「ガイモンは温厚なヤツだったんだな……それをオレは」
手のひらをみつめバンヘルトは後悔し自分を責める。
「そうだね……だけどバンは、そうするしかなかったんだろ?」
「ああ、そうだが……今になって後悔してるよ!」
「後悔してるなら責任を取ってよ」
意地悪気味に言いルシファーナは笑みを浮かべた。
「死ねってことか? それなら何時でもルナに殺される覚悟はできてるぞ」
「ハァー……そんな気はないって言ってるだろ! 責任を取るっていうのは、ちゃんと王として……それとボクを王妃に……モギョモギョ――……」
恥ずかしくなりルシファーナはモギョモギョと言い始める。
「王になることは承諾しているが。ルナを…………そうだな……寿命も違うし」
「そんなのは関係ない! 好きなら種族をも超えるのだ!!」
「ルナのことは好きだが。あくまでも友人としてだ」
それを聞きルシファーナは肩を落とした。
「まあいい……友人から、そのうち恋人の好きに変えてみせる!」
それを聞きバンヘルトは、ヤレヤレと心の中で思っている。
その後も二人は話しながらバンヘルトの部屋へと向かっていた。
読んで頂きありがとうございます(o^^o)
では次話もよろしくお願いしますヽ(^o^)




