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正義悪か悪正義なのか  作者: みけ猫 ミイミ
第二章

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勇者の躊躇

翌日バンヘルトはルシファーナに言われ広間へとくるが……。

 久々にお腹いっぱい食べたバンヘルトは眠くなったので部屋に戻り寝ることにする。その後、部屋にくるなりベッドに倒れ込むように寝てしまった。


 ……――翌日になり、バンヘルトは部屋でダラダラ過ごそうと思っていた。しかしルシファーナが迎えに来て広間にくる。


「今日は広間か……なんか嫌な予感しかしない」

「まだ王になる決心つかないのか?」

「そうだな……」


 魔王となることをバンヘルトは躊躇っていた。それは当然といえば、そうなのだろう。

 勇者として魔王ガイモンを倒した自分が、その代わりになる。

 そんな私利私欲のために魔王を殺した訳じゃないから余計にだ。


「なんでオレはここに来たんだろうな。他を探すことだってできたはずだし……」

「ボクが誘ったからだけど……決めたのはバンだ」

「そうだな。だが王になれば自由はなくなるんだろ?」


 そう言いバンヘルトは無作為に遠くをみつめる。


「それはバンが決めることだよ。人間族の王がどんなだったか分からない。でもここは魔族……多種族が住み分けして暮らしているんだ」

「自由に冒険もできるのか?」

「できるけど……今はここからでない方がいい」


 心配に思いルシファーナはバンヘルトをみた。


「この魔族区域なら可能なのか?」

「それなら大丈夫だけど……揉めごとは起こすなよ」

「それはないと思う、が。まあそれはいいとして、やっぱオレが魔王になるのって変じゃないか? 人間だし寿命が短い」


 バンヘルトはどうにかして魔王になることを回避したいらしい。


「そういえばそうだなぁ。まあ……人間をやめる気があるなら寿命を伸ばすことはできるぞ」

「どういう事だ?」

「何処にあるか不明だけど……【レヒテヒンヤマブミ】って云うのがあるらしいんだ」


 魔族用語でも特殊な言語で言われバンヘルトは解読できず混乱した。


「言葉が理解できない」

「あー……これって特殊語だったのかぁ。【生命の盃】って云えば分かる?」

「……」


 その言葉を聞きバンヘルトは絶句する。


「どうしたんだ?」

「それって……オーパーツとされてる遺物だよな?」

「そうみたいだな。って……知ってたのか?」


 コクッと頷きバンヘルトは異空間から虹色に輝く盃を取り出した。


「これのことか?」


 そう言いバンヘルトはルシファーナに盃をみせた。


「どうだろう? 実物をみたことないからなぁ……って、なんでバンが持ってる?」


 聞かれてバンヘルトは理由を説明する。


「そうか……仲間からもらったけど使い方が分からなかったってことか」


 どうやらバンヘルトは一部嘘をついたようだ。


「そうなる。だが……本物かは分からない」

「でも、どうやって【生命の盃】って分かったんだ?」

「この盃に書かれている古代文字をリンナが解読した」


 そう言いバンヘルトは盃に書かれている小さな文字を指差した。


「古代文字?? その文字って魔族が使う特殊語だよ」

「じゃあリンナは今まで特殊な魔族語を解読してたのか」

「そうなるね。お父さまから聞いた話だと。遥か昔は人間と共存してたって言ってたから」


 そう、かつては魔族と人間族はお互い助け合い共存していたのだ。

 だが人間族は魔族の長い寿命と脅威的な能力に対し恐れて排除しようと考える。それらは今も尚続いていた。

 そのため魔王ガイモンは人間族からの干渉を避けるべくこの島に魔族の楽園を作ったのだ。


「そんな時代があったんだな。じゃあ、この盃に書かれている文字って読めるのか?」

「うん、その盃に書かれている文字は【転換の盃】だよ」

「転換の盃? じゃあ、リンナは間違えて解読したのか」


 そう言いバンヘルトは持っている盃へ視線を向ける。


「多分な……でも、この杯って激レアだよ」

「そうなのか?」

「書物でしか読んだことないけど……生きたまま、なりたいものに生まれ変われるんだって」


 バンヘルトは持っている盃を床に目掛け投げつけ破壊しようとする。

 それをみてルシファーナは慌ててバンヘルトの持つ【転換の盃】を取り抱えた。


「なんのつもりか知らないけど……ハァハァハァ……これ壊したら激レアどころか幻のアイテムになっちゃうよ」

「そんなもん必要ない。生きたまま変れたとして、どうなるって云うんだ!」

「そんなの分からない。だけど、やっていいことと悪いことぐらい分かるよ」


 そう言われバンヘルトは俯き自分の手のひらをみる。


「確かに……そうだな。どうかしていたみたいだ」

「そういえば変身できたらって言ってたよな!」

「何が言いたい?」


 そう応えバンヘルトは首を傾げた。


「その盃を使ってみたらって思ったんだ」

「見た目も変わるのか?」

「分からないけど……思ったものに生まれ変われる」


 それを聞きバンヘルトは、どんな種族になれば今より強くなるんだろうと思いルシファーナが持つ【転換の盃】へ視線を向ける。


「強い種族……今よりも………」

「今よりも強くなってどうするんだ? 誰も近づけなくなると思うぞ」

「オレが強い? それなら、なんでリンナやシオンを助けられなかった」


 思い出してしまいバンヘルトは心の中で泣いた。


「それって、バンが悪い訳じゃないだろ」

「直接じゃないにしろ……オレのせいなのは変わりない」

「いい加減自分を責めるのはやめた方がいい。そうじゃないと余計に病んじゃうよ」


 心配に思いルシファーナは、バンヘルトをみつめる。


「いっその事……病んで死んだ方がいい!!」

「それって本心? ただ自暴自棄になってるだけだろ!」

「そうなのかもな。だとしても二人のために何もできないのがツラいんだ」


 そう言いバンヘルトは無作為に一点をみつめた。


「何もできないんじゃなくて、ただやらないだけじゃないのか?」

「やるって何をすればいい?」

「決まってる! 敵をうてばいい」


 なるほどと頷きバンヘルトは納得する。


「その通りだ。だが今は、そんな気力なんてない」

「そうだとしても何れは、そのつもりなんだろ?」

「ああ……気持ちの整理がついたらな」


 それを聞きルシファーナは安心した。そう、まだ完全に病んでいないと思ったからだ。


「それならよかった。あー……そろそろかな」


 周囲を見渡しルシファーナは入口の方へ視線を向ける。


「誰がくるんだ?」

「各種族の代表者たちだ」

「やっぱ……部屋に戻る」


 そう言いバンヘルトは入口の方へ向かおうとした。


「駄目だよ……いい加減に覚悟を決めて!」

「だからオレは王になどならないって言ってるだろ!」

「フリでもいいからさ」


 言ってる意味が理解できずバンヘルトは困惑する。


「何を言ってるのか理解不能だ。なんでそこまでしてオレを王にしたい?」

「その方がバンのためでもある。もしバンが王にならなかったら……多分、魔族側は敵とみなすよ。そうなったらバンは、どうする?」

「本当の理由は、そっちか。そうなれば戦うまでだと言いたいが……両方から追われる身となるのは流石にキツイ」


 ハァーっと溜息をつきバンヘルトは、ルシファーナの方を向いた。


「それに……ここに居る方が安全そうだ」

「全てにおいて安全って訳じゃない。前にも言ったと思うけど反対派もいるからな」

「それでも……人間区域を放浪しているよりはマシだろ」


 コクッと頷きルシファーナは笑みを浮かべる。


「じゃあ王になってくれるんだな」

「仕方ない……だが、どうなっても知らないぞ」

「サポートするから心配しないでよ」


 それを聞きバンヘルトは頷いた。

 そうこうしているうちに続々と各種族の代表の者たちが広間に入ってくる。

 それをみてバンヘルトは、ゴクリと唾をのみ込み腹を括った。

読んで頂きありがとうございます(*^ω^*)


では次話もよろしくお願いします(^^)/

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