勇者の不安心
バンヘルトはルシファーナとアークステイ城にくると……。
あれから二人はアークステイ城のみえる場所まできた。
「さっきの話じゃ、オレは歓迎されている。それなのになんでフードで顔を隠す?」
「バンをよく思っていない勢力がいる」
「それなら……抜け出すヤツもいるんじゃ?」
そう問いかけるとルシファーナは首を横に振る。
「人間嫌いだから、ここから出たいと思わない」
「そういう事か……じゃあオレが人間だって分かったらどうなる?」
「ボクがいるから大丈夫なんだ」
そう言いルシファーナは笑みを浮かべた。
「意味が理解できない」
「ボクは魔族側だよ。人間じゃない。そのボクが一緒だから人間でも襲ってこない」
「そんな単純な理由なのか? どうも理解できない」
理解できずバンヘルトは困惑する。
そうこう話をしているとアークステイ城の門前まで来ていた。
「門を新しくしたのか?」
「これでも、ここまで修復したんだ……壊されたからな」
「前よりも黒が目立つな。かなりダークさが増してるぞ」
門をみたあとバンヘルトはルシファーナへ視線を向ける。
「この方がカッコいいだろ?」
「オレは黒が嫌いなんだ」
「じゃあ今着てるのも嫌いなのか?」
コクッと頷きバンヘルトはローブを掴み嫌だと思った。
「あの時……パンツ一枚で草原に放り出されたから仕方なく、ある物を装備しただけだ」
「似合ってるのに……それに、その方が魔王っぽいぞ」
嫌だと思いバンヘルトは脱ごうとする。
「こんな所で脱ぐな!」
ジト目でバンヘルトをみた。
「あっ……それもそうだな」
脱ぎかけのローブを再び着る。
その後二人は門を開けて城の中へ入った。
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城の中に入ると紫の絨毯が敷かれている通路をバンヘルトは嫌だと思い先へ進んだ。
その隣でルシファーナは、ニコニコしながら歩いている。
「城の中も雰囲気が変わったな」
「あれだけ破壊してくれたおかげで、ボクの好きな色や雰囲気に変えることができた」
「そんな権限があるのか?」
そう問われてルシファーナは、コクッと頷いた。
「元魔王の娘だからなのか?」
「ううん……違う。バンを連れてくるって言ったからだよ」
「そんな理由で周りが言う事を聞くのか?」
バンヘルトが自分の力量を過小評価していることに対してルシファーナは呆れるを通り越し大丈夫なのかと心配になる。
「これはルシファーナ様……成果はあげてこれたのですか?」
スッと目の前に青白い顔をしている男が現れ嫌み含みで言い放った。
この男は、タウリグセ・バヒロア。種族はみての通りのバンパイアだ。
「タウ……勿論だ。まあ運もよかったけどな」
「ほう、では勇者バンヘルトに逢えるのですな」
「……」
自分がそうだとバンヘルトは言おうとする。
サッと素早くバンヘルトに手を伸ばし声を発するのを遮りルシファーナはタウリグセを睨んだ。
「そうだな。その前に様を付けたらどうだ」
「ふん……まだ魔王にもなっていない者を崇める訳もない」
「まあいい……それよりも執務室に幹部を集めてくれ」
コクッと頷きタウリグセは、スッと二人の前から消えた。
「まだ城の者たちと会話を交わさない方がいい」
「そうする……今はお前の言う通りにしていた方がよさそうだ」
「そうしてくれ……まあ、その理由はあとで分かると思うけどな」
それを聞きバンヘルトは嫌な予感がして通路を振りかえる。
「引き返したくなったぞ」
「今更か?」
「それもそうか。それはそうと、なんでオレを目の前にしても何も言ってこなかった?」
本当に不思議である。フードを被っていたとしても人間だと認識できてたはずなのだ。
「人間に興味がないのさ。高位魔族の血を好むからな」
それを聞きバンヘルトは納得する。
「じゃあ行くよ」
二人は再び通路を歩き始めた。
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二階の北側にある立派な扉の前で二人は立ちどまる。そして「入るよ」とルシファーナが言い扉を開けて部屋の中へ入った。
そのあとをバンヘルトは追いかける。
部屋の中に入りバンヘルトは更に帰りたくなった。
「金ぴかで悪趣味な部屋。もしかして」
「お父さまの部屋だ。好き勝手に変えてもいいぞ」
「オレの部屋ってことか」
コクッと頷きルシファーナは笑みを浮かべる。
「じゃあ着替えてね」
「このままじゃ駄目か?」
「その服嫌いじゃないのか?」
そう言いルシファーナは、ジト目でバンヘルトをみた。
「んー……なんか、ずっと着てると愛着がわいてな」
「それなら、そのままでもいい」
「それで、これからどうするんだ?」
そう聞いたもののバンヘルトは、さっき通路で【執務室】と言っていたことを思い出し不安になる。
「執務室に行くから必要な荷物以外は置いてって。ただ装備は外すな」
「やっぱ何かありそうだ。まあ、ここに来て何もない方がおかしいか」
装備以外の荷物をバンヘルトは、その辺の床に無造作におく。
それに対しルシファーナは「ちゃんとした所に置け!」とバンヘルトを叱った。
注意されバンヘルトは棚の上にバッグをのせる。
その後バンヘルトは、ルシファーナと部屋を出て執務室へ向かった。
読んで頂きありがとうございます(*^^*)
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