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正義悪か悪正義なのか  作者: みけ猫 ミイミ
第一章

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10/22

勇者の無表情

バンヘルトは剣の能力に抗っていたが抵抗をやめ吸収することにして……。

 ひたすら耐えバンヘルトは剣から流れてくるエネルギーを制御しようとしていた。

 禍々しいエネルギーのようなものは、バンヘルトが抗えば尚も威力を増してくる。


(クッ……待てよ。この剣を扱えるようになれば……最強になれるかもしれないぞ)


 これ以上強い力を得てどうするのだろうか。余計に人間離れしてしまうと思うのだが。


(まあ、それはいいとして……この剣を手懐けたい)


 そう考えていると、ふとあることに気づき思考を巡らせる。


(抵抗しなかったらどうなる? この剣に乗っ取られるのか……いや、この力を得られるのかもしれない)


 無謀な考えかもしれない。だが試す価値はあると思い剣から流れてくる禍々しいエネルギーを受け入れることにした。そのため力を抜き身を任せる。

 ただ身を任せるだけではなく、その禍々しいエネルギーの力を読み取り自我を保つため意識を集中させた。


(これは……なるほど……)


 集中していないと剣の能力に乗っ取られそうになる。そのため必死に気持ちが逸れないように体内に流れくる禍々しいエネルギーを分析した。


(あと少し……だがキツい)


 剣の能力を吸収しているせいかバンヘルトの全身から禍々しい漆黒のオーラが発せられている。それは徐々に色濃くなっていった。


(そろそろか?)


 脳内に言葉が浮かんだ。


 《覚醒 漆黒の魔剣 ダークバンシオンソード!!》


 そう叫び剣先を上にし天を貫くように掲げた。すると雷鳴と共に漆黒のイナズマが剣身に落ちる。

 剣を覆う黒い電気は次第に弱くなり消えた。

 それを確認したかのように剣を持ち直し目の前に移動させる。


「剣身の色が銀から黒く焼け焦げたように染まっている。それに何も感じなくなった」


 じっくりと剣先からグリップまでみた。


(漆黒の魔剣……ダークバンシオンソード、って! オレとシオンの名前をつけただけかよ)


 心の中で突っ込みを入れる。


「この剣をどうする? もう普通に持っていても大丈夫そうだ」


 箱の中にある鞘を取り剣をおさめた。鞘には紐が付いていたので首から肩にかける。そして腰の位置に剣がくるように紐を調節した。


(これからどうする?)


 そう考えているとバンヘルトの目の前にルシファーナが舞い降り地面に着地する。


「何が起きたのかと思ったらバンか」

「ルナ、どうした? 城に戻ったんじゃないのか」

「そうなんだけど……禍々しいものを感じて引き返してきたんだ。そしたらバンがいたってわけ」


 なるほどと頷きバンヘルトはルシファーナをみた。


「魔剣を手に入れた。仲間だったシオンが、オレのためにつくってくれた最高の剣だ」


 そう言いバンヘルトは剣を持ちルシファーナにみせる。


「ヒエェェエエエー!!」


 そう叫びルシファーナは、サッとバンヘルトから遠ざかった。


「なんで逃げる?」

「その剣からお父さまと似た禍々しいものを感じた」


 そう言いながらルシファーナは恐る恐るバンヘルトへと近よる。


「そういう事か……恐らくシオンは、それに匹敵する何かを剣に付与したんだろうな」

「そっかぁ……そういえば、バン。雰囲気が変わった? なんか感情が伝わってこない」

「そうか? オレは何時も通りだぞ」


 それを聞きルシファーナは怪訝な表情を浮かべた。


「もしかして何かあったのか?」

「そうだな……仲間のシオンが死んだ」


 何が起きたのかをバンヘルトは、ルシファーナに心の中で泣きながら説明する。


「悲しくないのか?」

「ツラいに決まってるだろ!」

「なんで涙を流さない……前のバンだったら泣いてるはずだ」


 そう言われてバンヘルトは自分の目尻を触った。


「涙が出てない!」

「ずっと表情も変わってないよ」

「そうなのか?」


 そう聞かれルシファーナは頷きバンヘルトをみる。


「何時からなんだ?」

「シオンの死を看取った時は泣いていたはずだ。そういえば……シオンの家に行った時は涙を流していなかったかもしれない」

「そうなると……シオンって人が死んだあとから感情を表に出せなくなったんだな」


 両手へ視線を向けバンヘルトは頷いたあとルシファーナをみた。


「余程ツラかったんだな。やっぱり無理に引きずってでも」

「それは結果論だ。後悔していない。逢っていなくても恐らくシオンは死んでただろう。それを思うと逢って話ができただけでもよかった」

「そうかもしれないな。その剣だって逢っていなければ完成してなかっただろうから」


 そう言いルシファーナは魔剣をみたあとバンヘルトへ視線を向ける。


「ああ、そういう事だ」

「このあとどうするんだ。他の仲間の所へ行くのか?」

「いや……行くなと、シオンに言われたからな」


 それを聞きルシファーナは、ホッと胸を撫で下ろし笑みを浮かべた。


「もし行く宛がなければ、アークステイ城にこないか?」

「そうするか……そうなると長旅になりそうだ」

「寂しいならボクも一緒について行く」


 その後バンヘルトとルシファーナは一旦コテージに行き建物の中で話をする。

 そして翌日になり二人はコテージを出てアークステイ城を目指して歩き出した。

読んで頂きありがとうございますo(^▽^)o


第一章はここまでです! 次話から第二章がスタート!


では次話もよろしくお願いします(*^▽^*)

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