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【日記】拘置所のような、取調室のような場所


 八日目


 今日は妙な連中と出くわした。人間、獣耳と尻尾の生えた獣人、耳の長いエルフ、人間の七割ほどの小人……『紅燕の旅団』と相対した時にも思ったが、どちらも種族入り乱れたの混成部隊だ。仲は良さそうだった。知識の中の異世界小説ものに付き物の差別や種族間抗争も、この世界には存在しないのかもしれない。

 いや、そもそも差別や種族間抗争が入り込む隙間がない程に、この世界は争いで満ちているのだろう。

 時折忘れそうになるが、ベロニカは北の方の王国の王族だ。とてもそうに見えないが、戦争に負けて捕えられたのだ。護衛付で運ばれていたからには、それなりの地位があったのだろう。普段は全くそうには見えないが。


 色々と書きたいことはある。全てが新鮮だ。


 ただ集落で女を薬漬けにして管理売春を続ける男たちを前にした時、沸々と湧き上がる怒りを抑える俺の横で、ミロシュとベロニカも似た感情を抱いていると知り、少しだけ安心した。

 怒りが自然に湧き上がるのはその光景に異常さを感じたからだ。記憶がなくても、俺の身体がそう感じるなら、それは俺の居た世界は異常が正常ではない証明になる。この世界もまた然り、……書いてて分からなくなりそうだが、兎に角、飛び抜けた非常識が日常の中に溶け込んでいないと確認出来て安心した。


 さて、今この日記は取調室のような場所で書いている。

 あの獣人女はどうやらネブラスカという隣国の斥候部隊らしく、街道で襲われたと門番に事情を説明したら騒然となっていた。

 カンザス公国とネブラスカは敵対しているらしいが、話を聞く限りはっきりとした国境は決まっていないそうだ。その答えに違和感があるから、俺の世界ではしっかりと国境が定められていたのだろう。まあ、そうじゃないと疑問すら浮かばないか。

 うっかり危険な国に踏み込まないように進路は慎重に決めなければならないな。


 ああ、足音が近づいてきている。そろそろ解放されるかもしれない。

 外に出たら二人を探さないと。

 ……ダメだ、文字を書いていたら眠くなってきた。日記はここで終わり。


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