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しかし、旅にトラブルは付き物で④


 無頼が集落に帰ってきたのは、出発してから一時間と少しが経過した頃であった。

 夜半に叩き起こされた役人四人は簡単な説明を受けていたものの半信半疑、嫌々と同行していた。灯りを持たずに真っ暗な森を突っ切って馬を走らせた男の話など、笑い飛ばして追い返すのが常である。


「手柄が欲しくないのか?」


 だが、その言葉と共に渡された白い粉の詰まった袋を見て、役人の一人が立ち上がる。

 無頼の言葉が示しているのは巷で話題になっている売春集落の存在――ネブラスカとの国境近い森に存在すると巷で噂の、カンザス公国内で禁止されている麻薬と人身売買の中継地だと気付いたのである。


「エリック、念の為にオレーサの駐留騎士団を呼んで来い!」

「はっ、はいっ!」


 そして役人と共に無頼が帰還して早々、一人は反転して本格的な応援を呼びに戻る。

 男たちは全員等しくミロシュの魔道術で意識を奪われていた。しかしその数は膨大で、無頼たちに痛めつけられているとはいえ荒事を生業にしてきた相手、四人だけでは心許ないと判断したのである。


「おかえり」

「姫さんは?」

「見ての通り、疲れてぐっすり寝てます」


 男たちから離れた家屋の傍、ベロニカとミロシュが座っていた。

 役人を集落の入り口に留めて二人の元へ向かうと、気付いたミロシュに出迎えられる。ベロニカはフードを目深に被ったままミロシュの肩に体を預けて寝息を立てていた。


「俺が姫さんを抱えてバックパックを取りに行く。ミロシュは厩から馬を一頭連れて来てくれ。姫さんとバックパック、両方担いで歩くのは流石の俺でも辛い」

「……それはいいんですが、本当に残らなくて大丈夫ですか? 追われたりしませんか?」

「姫さんの素性が知られるよりはマシだ。猶予は多めに見積もっても二時間しかない。手早く逃げるぞ」


 ベロニカを片手で抱き上げた無頼は、座るミロシュを引っ張り起こす。

 その強引とも取れる場の運び方にミロシュはムッとする。しかし行動を共にして数日、この集落の男たちのような邪念を持たず、その片鱗すら見せない無頼にミロシュは一定の信頼を置いていた。

 パンパンとローブに付いた土を払い、ミロシュは無頼の背中を追う。


「厩舎はこっちにはないぞ」

「どうせ私は乗れないんですから、一頭いれば充分です。無頼さんが使った馬を取りに行きます」

「ならいいが」

「それと、訊きたいこともありますし」

「訊きたいこと?」


 無頼は隣を歩くミロシュに顔を向ける。

 同世代の女性に比べて体力には自信のあると豪語していたミロシュも、流石に連続して魔道術を使い続けた所為もあり、端正な顔に疲労の色が見て取れる。足取りはしっかりとしているが、流石に限界が近づいているのが分かる。

 少しだけ歩調を抑え、無頼は続きを待つ。


「真面目な疑問です。笑わず、怒らず、真剣に答えてください」


 執拗な念押しを経て、ミロシュは口を開く。



「あなたは何故、ローニャに手を貸すんですか?」

「魔剣を手放したくないからだ」



 無頼は即答し、突風が森の木々を揺らす。

 ある程度の答えを想定し、用意したミロシュの二の句を封じ、月明かりに映える無頼の黒曜の瞳が冗談ではないと教えていた。

 カラカラに乾いていく口内を何とか唾で濡らし、ミロシュは言葉を紡ごうとする。けれど隣の無頼が急に打算的な人間に思え、ミロシュは何も話せはしなかった。


「失望したか? だがこれが俺の、真面目な答えだ」

「……」

「魔剣が姫さんの所有物である以上、俺は姫さんを……ローニャを決して見捨てない。相手が誰であれ、例え姫さんが死にたいと望んでも、俺は絶対に生かす。姫さんを殺させない。他に訊きたいことは?」


 そう言い切ると無頼はミロシュを置いて歩き出す。

 しんと静まる森に囲まれた集落、その自分たちしかいない場所で、ミロシュと無頼の距離は次第に離れていく。

 無頼はミロシュにそれ以上の弁明は加えない。ミロシュは無頼の意図――魔剣を口実に使っているだけなのか、全て本心なのかが分からず動けない。

 無頼だけではない。唐突に一変するベロニカも、前触れもなく旅に出ろと告げたサクラメントも、言われた通り魔道術を使うだけの自分ですらも。

 ミロシュは誰がどうしたいのか、何を考えているのかが分からなくなっていた。


「ああ、もう……っ!」


 ミロシュは走り出す。

 他人のことを気にするのは、自分を御せるようになってから。

 ならば今は、自分の意思で二人に付いていこう。

 疲れて重い身体にそう言い聞かせ、ミロシュは無頼の背中を追い掛けた。





 無頼が独りで進むのは、これで二度目だ。

 ベロニカとミロシュが同行しているので一人ではないが、ベロニカは背中で、ミロシュは馬の背に乗せたバックパックに体を預けて寝息を立てている。手綱を引かれる馬はゆっくりと従順に足を前に動かし、夜通し歩かせる無頼の少し後ろを付いていく。

 話し相手が居ない、独りの夜だ。

 どれだけベロニカが軽いとはいえ、長い間背負って歩き続けるのは精神的にも、肉体的にも負担が大きい。一般的に年若い少年少女は体温が高く、ベロニカもその例に漏れず無頼の背中を温めていた。

 汗ばむ背中のじっとりとした不快感も、ベロニカが寝息を立てている今は解消できない。幸せそうな寝息を聞いていると、投げ捨てたい衝動すら湧き上がらない。


 それでも今日は楽に歩けている方だ、と無頼は自分に言い聞かせる。

 以前と違う点があるとするなら、無頼が歩いているのは森の中ではなく皇帝街道に沿って広がる平野だ。雲一つない晴れた夜空には星が鏤められ、無頼の知識に存在する世界との相違点――大中小三つの月が付かず離れず、輝きを放っている。

 この世界の夜は明るい。

 暗い夜しか知識にない無頼にとって、明るい夜空は有難かった。気付かない間に、真っ暗闇はガリガリと精神を削り取っていく。

 人間は獣ではない。

 闇夜の中で真昼の明るさに適応した目は役に立たず、耳も鼻も、周囲を探るには力不足だ。寧ろ唐突に現れる物音や異臭こそ、闇夜で人を惑わし蝕む要因になり得る。


 けれどここは平野で今は三つの月が夜空に留まる時刻。

 人間がまだ、視力を頼りに出来る環境だ。


「……五月蠅い、分かっている」


 無頼はカタカタと揺れる『亡霊挽歌』を鞘の中に押し返す。

 足を止めて手綱を引くとミロシュを乗せた馬が鼻息を鳴らし、抗議の目を向けてくる。

 無頼は逃げるように視線を背中のミロシュに逸らし、その頬を軽く叩く。ペチペチと続けること数秒、覚束ない目で無頼を見つめるミロシュは、何事もなかったかのように目を閉じる。


「ミロシュ、起きろ」


 ミロシュの仕草に無頼は既視感(デジャヴ)を誘われる。頭の中の空白部分がチクチクと自己主張を始め、それを誤魔化そうと再びミロシュを起こそうと試みる。

 叩く揺するを数回繰り返した無頼は、僅かに点ったミロシュの意識が再び夢の世界に戻らないようにがっちりと捕まえる。

 寝惚けているのか、ぼんやりと不機嫌を織り交ぜた表情を浮かべるミロシュに無頼は告げ、懐から取り出したスコープを渡す。


「いい加減に目を覚ませ、妙な連中がいるぞ」


 無頼に言われた通り、眠気眼のミロシュはスコープを覗き込む。

 無頼が示した場所は平原と森の境目、ここからそれ程距離も離れていない。木々の影響もあって薄暗いが、何かの生物が蠢いているのは確かである。その動きは無造作でなく、目的を秘めた行動だとミロシュにも感じ取れた。


「野獣、魔獣、野盗の類……、ううん、環境マナに妙な乱れが……」


 完全に目を覚ましたミロシュは眉間に皺を寄せて数百メートル先を観察する。

 腰の『亡霊挽歌』が再びカタカタと笑い始め、空気が歪む。


「おい、まさか――――」


 環境マナの捻じれを感覚した無頼が眉根を寄せ、ミロシュが叫ぶ。


「魔道術っ……?! この、《我は器。底無しの大喰らい》」


 ミロシュが短詠唱を終えた直後、突風が馬上のミロシュを襲う。

 咄嗟に"対魔道"魔道術を繰り出したが相殺し切れず、ミロシュとバックパックは派手に馬上から放り出された。

 蠢く影は境目を破り平原に飛び込み、ぐんぐんと距離を縮め始める。

 無頼は放り出されたミロシュを受け止め、嘶き走り出そうとする馬を寸前の所で引き止め落ち着かせる。背中で寝息を立てていたベロニカも流石に目を覚まし、それに気づいた無頼はベロニカを支えていた手を離して背中から追い出す。


「ローニャ、馬は?!」

「乗れる……あ、乗れたけど、今は分かんない」

「ミロシュと乗れ! ついでに感覚を教えてやれ」


 一足先に馬に跨ったミロシュにベロニカを手渡す。

 詠唱を続けるミロシュは驚きを浮かべるも詠唱を中断する訳にもいかずにベロニカを自分の前に座らせ、その傍ら相手の魔道術に向けて魔道術を放ち相殺する。

 蠢く影は次第に迫り、その姿は月明かりの元で顕わになる。

 人型――獣人、人間、エルフ、小人族(パルム)

 軽鎧を纏った七人の種族混成部隊だ。


「ベロニカ、街道を走れ! 馬の速度なら追いつかれん!」

「――――ッ、無頼は?!」


 無頼は二人を乗せた馬を嗾け走らせ、街道に乗るまで自身も並走する。


「足止めだ!」


 そして蹄が石畳を叩き始めると、無頼は振り向き放たれた矢を切り落とす。

 何本もの矢が一度に切り落とされ、そのお返しとばかりにミロシュが放った魔道術の竜巻が派手に草原の一部を土ごと巻き上げる。


「馬鹿なこと言わないで、援護は!」

「俺が援護し切れないから、先に行けと言ったんだ! 邪魔だ!」

「――――なっ!!」


 態々相手に聞こえるように無頼は叫ぶ。

 目に見える敵の武装は弓と剣と魔道術。

 魔道術の相手は厄介だが、囲まれている間に二人が狙い撃ちされるよりはマシだと無頼は感じたのである。


「集合地点は次の街(オレーサ)、――俺も片付けたらすぐ追い掛ける!」


 相手は走り出した馬を追うことを諦めて無頼ただ一人に狙いを定める。二人の兵士が剣を手に、降り注ぐ土砂の豪雨に飛び込む。

 無頼もまたサクラメントから渡された髑髏マスクを身に着けると、高所の優位を捨てて土砂の中に飛び込む。

 視界を遮る土砂と雨音ならぬ土音の中、無頼は自身の勘と反射神経だけを信じて魔剣を一閃させる。


 シャン……と、土砂降りが割れ、鮮血が噴き出す。


 魔剣は鎖帷子ごと敵の腹部を食い破り、鮮血と月光を浴び妖艶な紫の輝きを放つ。

 連携攻撃を仕掛けようと近づいたもう一人は崩れ落ちる相方の姿に驚く。しかし魔剣を振り抜いた直後に生まれた隙の大きさを目にし、懐へ飛び込まずにはいられなかった。


「女……、獣人か?」

「ちぃ……っ!」


 獣人の女性兵士は強く握った剣を無頼に向けて振り抜くが、がら空きの胴体を狙った斬撃は意図せず魔剣の鞘に弾き返される。

 本来鞘に使われる素材は木材や皮が主流である。全体を金属で製造する試みもかつて存在したが逆に切れ味が落ち、結果として金属は補強程度の役割しか与えられないのが一般の鞘である。

 故に鞘ごと――、と繰り出した彼女の狙いは空振りに終わった。


 そして右上から左に、無頼の袈裟切りが獣人女を襲う。


 一瞬受けようと剣を構えた獣人女は、目と鼻の先で鎖帷子ごとバックリと腹を切り裂かれた相方を思い出し、慌てて回避行動を選ぶ。斬撃は頭擦れ擦れを通り過ぎ、逃げ遅れた髪の毛が宙を舞う。

 当たれば死ぬ。

 今の状態では、受け止めることすら適わない。

 これまで経験したどの戦場よりも死の気配が明確に伝わり、脳内物質が齎す興奮作用が恐怖を掻き消していく。

 相手は敵対するカンザス公国正規軍ではなく妙な長刀を振るう巨躯の男――黒髪黒目、浅い顔の彫りは中原ではなく東方の皇国出身者に多い顔立ちだ。斬撃は鋭いが、得物が長刀の所為もあるのか攻撃の回転速度はそれ程ではない。活身魔道術を仕込めば反応は容易い。

 回避を重ね、次に見せた隙を突く! と獣人女は意気込み、ほくそ笑む。


「笑う余裕があるのか?」


 ピリッと背筋に悪寒が走る。声の出所、無頼の表情を確かめる為に顔を上げ――。

 その顔に無頼の拳が突き刺さる。

 無頼は両手で振り下ろした袈裟切りの"振り抜き"を左腕一本に任せ、右腕は避けた相手への追撃に温存していた。

 裏拳からの蹴り――獣人女がそれに気付いた時には既に無頼の体は遠のき始め、鼻血と折れた前歯が彼女に追随する。

 袈裟切りの重心移動をそのまま流用した打撃の威力は凄まじく、体格差も相成って獣人女は風に飛ばされた紙細工のように草原を跳ね転がる。


「…………」


 獣人女は意識を失い倒れ、無頼は充分に距離を取った残りの五人を見定める。

 耳の長いエルフの男女、弓矢を番えた小人族の女と人間の男、他の四人より重厚な鎧を着込み剣を持った獣人の男――無頼が彼らを順に見回し、誰の処理を優先した方がいいか決め兼ねていたその時。


 カタカタカタ、と。


 魔剣が震え始める。無頼は咄嗟に何が来るかを悟り身を屈めて顔の上半分を腕で覆う。

 案の定、数秒後にお決まりの魔道術――風槌が無頼を襲う。

 予め身構えていた無頼は難なく踏み止まり、魔道術を放ったエルフ男を睨む。

 魔道術の突風は不意を突かずとも大の男を吹き飛ばすくらいの攻撃力を秘めている。しかしラグビー選手のタックルも受け切れる無頼のような恵まれた体格が前提条件となるが、来ると分かっているなら重心を意識して受け切れる。ミロシュが放つ足元からズタズタに切り刻む竜巻に比べれば、直接的な傷を負うこともなく対処は遥かに簡単だ。


「ギギ……ただの旅人でも巡視兵でもない……近接戦闘特化、こけおどしではない巨体……気付かれたとしても、手を出すべきでは無かったか……」


 無頼は平然と立ち上がり、一歩を踏み出す。


「得物は魔剣ですね、隊長。見たことない色、形状……、年代物(わざもの)の可能性があります」

「正直、相手にしたくない。彼、活身魔道術、使っていない」

「僕たちは斥候部隊、隊長は間違っていません。気付かれたら消さないと」


 隊長の獣人男が目を細め、弓の弦を引く人間男は無頼の持つ魔剣を見て目を輝かせる。早々に詠唱を終えたエルフ女が不気味さを煽る無頼の髑髏マスクを見て震え、小人女は牽制とばかりに弓を放つ。

 弓矢は一直線に無頼の脳天に向かって空を切るが簡単に切り落とされ、逆にその一射を切欠とばかりに無頼の足の回転が速まり、いつしか紫の大太刀の尖端で草原を裂きながら五人の元へ向かっていた。

 矢のような速さで迫る無頼を見ても獣人男は慌てず、冷静に隣に立つエルフ女に指示を出す。


「バゼット、やれ」

「《夜の帳の始まり》」


 エルフ女――バゼットの身体から魔力が迸り広がったかと思うと、星空は瞬く間に闇色に染まり、煌々と存在を示していた月明かりは嘘のように掻き消された。

 頼りの月明かりが消えた。

 驚きはしたが、無頼は速度を緩めない。微かな物音と憶測を交えて相手の移動距離を割り出し、魔剣を振り下ろす。

 狙いはエルフ女――魔道術が厄介なのは言うまでもなく、何より魔道術を発動した後で反撃の危険性が少ない。


「ギギ……、やらせない!」

「邪魔をっ……!」


 無頼の斬撃は獣人男に止められる。

 鍔迫り合いの最中、爛々たる『亡霊挽歌』の刀身に照らされる無頼と獣人男。

 互いに力を緩めず、睨み合いを続ける。


「っ!!」


 そしてふと、自分が如何に危険な状況下にいるかに無頼は気付く。

 慌てて獣人男を振り払い距離を取った時には既に遅く、横合いから放たれた風槌で吹き飛ばされる。幸い落下地点はミロシュが派手に耕した草原地帯だ。柔らかな地面に落下した体に目立った外傷はなく、少々体の節々が痛む程度で収まっている。


「俺は間抜けか……!」


 無頼は迫る弓矢を切り落とし、魔剣を鞘に収める。

 辺り一帯を照らしていた月明かりが消え、闇が全てを包み込んでいる現状、煌々と紫の輝きを放つ魔剣の存在は足を引っ張るだけだ。自身の存在を知らせ、狙い撃ちしてくれと相手に頼んでいるようなものだ。

 逃げる迫るどちらにしても、位置が知られたら主導権(イニシアチブ)を握られるに決まっている。

 魔剣の輝きを抑えた無頼は数歩移動すると体を低く、息を潜める。

 草の絨毯を踏み締める足音は五人分――誰もが無頼から離れていき、暫くすると草陰を掻き分ける音に変わる。


「くそっ!!」


 月明かりを覆っていた闇が晴れ、五人の姿は綺麗さっぱり消えていた。夢や幻でない証拠に魔道術の攻防跡や無頼が斬殺した奴らの仲間、そして気絶したまま置いて行かれた獣人女が草原に点在していた。

 無頼は懐中時計を取り出し、時刻を確認する。


「ああ、朝までに着けると良いが」


 馬に乗って進む二人と違い、無頼は当初の予定通り街道沿いを徒歩で進まなければならなかった。バックパックと眠気眼のベロニカを抱える必要はないが、その代わりに気を失い仲間に見捨てられた獣人女を運ばなければならない。

 無頼にとって彼女は襲撃者の正体を知る手掛かりである。

 襲撃者がベロニカを狙うのならば、先手を打ってでも排除しなければならない相手だ。


「また今日も徹夜か……」


 重たい躰に鞭打って、ベロニカより重い獣人女性を運ぶ無頼は、とぼとぼと一人街道沿いを歩き始めた。

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