11『PANDORA-NET』
Welcome to PANDORA-NET.
************************************************************
ここに辿り着いたということは、あなたも「あっち側」の人間ですね。
当サイトの目的は、大きく分けて3つあります。
【01/互助】訳あり魔法少女の「互助会」
魔法少女になってしまったけれど、政府の犬にはなりたくない。……そう考えるのは、あなただけではありません。
目の前で怪物が暴れているのを黙って見過ごすのは寝覚めが悪い。あるいは、この奇跡の力を個人的な目的のために使いたい。
理由はなんだって構いません。
ここでは、選ばれた者たちが自らの経験から編み出した「トレーニング方法」を共有しています。
政府が独占しているような科学的なお墨付きはありませんが、野良で生き残るための知恵なら、いくらでも転がっていますよ。
強くなりたいと願うあなたに、どうか有意義な光が見つかりますように。
【02/媒介】謎の組織『プロメテウス』の窓口
白状しておくと、このサイトは私――ノクシアが、ある組織に依頼して作ってもらった掲示板です。
そのため、サイト内では『プロメテウス』という組織からの勧誘が頻繁に行われます。もちろん私は彼らの回し者ではありません。
興味がなければ、無視して断ってしまって大丈夫です。
もしも勧誘を断ったことで脅迫などのトラブルに巻き込まれたら、すぐに私へご連絡を。必ずあなたの力になります。
――ただし、ご自身の意志で彼らの仕事を受け、そこでトラブルが起きた場合は……申し訳ありませんが、自己責任でお願いしますね。
【03/共犯】孤独な者同士の「友達作り」
最後の目的は、少し意外に思えるかもしれません。「友達作り」です。
野良の魔法少女として生きるということは、誰にも言えない秘密を抱え、孤独の闇を歩むということ。
誰かにすべてを吐き出したくなる夜もあるでしょう。そんなとき、同じ背中を持つ友が一人いるだけで、世界は少しだけ生きやすくなるものです。
噂の『カミィ』とやらは、どうにも癖のある人間――いえ、人間以外も好むようです。
人智を超えた知性を持つ猫、おばあちゃん、あるいは、他人に言えない酷く凄惨な過去を持つ者。
孤独はタバコよりも人を蝕むと言います。
このパンドラ・ネットなら、あなたと同じ傷を持った、未来の友人が見つかるかもしれません。
************************************************************
【尊死】野良の百合魔法少女について語るスレ【エレナ×シルバ】
102:名無しの野良魔女
ちょっとお姉様方、一昨日上がってた画像見た!?
新顔の百合魔法少女コンビ、マジでてぇてぇが過ぎるんだけど!!
103:クロウ・ベリー
見た。黒セーラー中学生風のエレナちゃんが、ワイヤーおへそ露出黒ずくめのシルバちゃんをお姫様抱っこしてるやつでしょ?
あれは完全に「公式が最大手」のやつ。
104:ディープ・アビス
シルバちゃん、顔にワイヤー巻いてるの最高にクールでヘキに刺さる。
エレナちゃん、ガサツそうだけどシルバちゃんを抱っこするときの仕草が優しすぎてギャップ萌えで死んだ。
105:ルナ・フラクチャー
それな!! シルバちゃん、抱っこされた瞬間ちょっと顔赤くしてエレナちゃんの胸元に顔埋めてなかった?
あの初々しさ、確実に「ガチ」のやつだよ……。
106:名無しの野良魔女
【重要】ちょっと待って、これって「例の件」じゃない?
でもさ……うちら全員カミィの被害者(笑)じゃん?
あの容姿、カミィが勝手に用意した「ガワ」なわけじゃん?
107:咎人ちゃん
あ。察した。
108:マギ・サバイバー
やめろ、それ以上はいけない(笑)
カミィの趣味を思い出すんだ。あいつ、人智を超えた猫とかおばあちゃんとか、とにかく「訳あり」が大好きだからな?
109:クロウ・ベリー
【悲報】エレナ(中学生美少女)とシルバ(へそ出しクール美少女)の正体予想
パターンA:おじいちゃん × おばあちゃん(超熟年カップル)
パターンB:ゴリゴリの男 × ロリ(犯罪の極み)
パターンC:限界男子高校生 × 現役サラリーマンおじさん(現実は非情)
110:ディープ・アビス
パターンCに1000パンドラポイント賭けるわ。
現実で死にそうな顔してるおじさんが、夜な夜なへそ出し美少女になって男子高校生(中学生美少女)にお姫様抱っこされるとか、業が深すぎて逆にエロい。
111:ルナ・フラクチャー
やめてwwww脳内再生されたwwww
てかカミィは基本的に女子にしか力を与えないから百合確定でしょ。
************************************************************
「無理……もう見れない……」
「羞恥プレイにもほどがあります……!」
カミィにプロメテウスが運営する掲示板を教わってから一週間。
プライバシー特化型OSを購入するなどダークウェブにアクセスする準備を整え、ついにパンドラ・ネットにアクセスした。
その結果、ファストフード店の壁際で、ポテトをつまむ男子高校生とスーツ姿のおっさん二人が顔を赤らめることになった。
周りから見れば、ただの奇妙な年の差コンビがピリついているようにしか見えないだろう。だが、俺たちの脳内は完全にパニックだった。
「七瀬さん。顔赤くして胸元に埋めてたってほんと?」
「ちっ、違います! 落ちないようしがみついていただけです!」
七瀬さんがゆでだこのように真っ赤になって否定する。
「そっ、それにしてもっ! パターンC、偶然とは思いますが当たってるじゃないですか!?」
「いや、多分偶然だから! 本気で信じてはいないと思う」
カミィが最初に言っていた通り、彼は女の子以外に力を与えることは稀なのだ。
「女の子以外」に猫やおばあさんまで含まれるのであれば、男の数はもっと少ないだろう。
「変身前は猫の魔法少女なんているんですね……」
「な。会ってみたい」
心臓の高鳴りもだいぶ落ち着いていき、ようやく冷静になってきた。
これ以上俺たちのことが取り上げられたスレを読んでも精神へのダメージが酷くなるだけだ。そろそろ本題へと移ろう。
サイト上部にある検索バーをクリックして、キーボードを叩く。
「……魔力の扱い方っと」




