短剣とナイフ
杖家のすぐ隣が鍛冶屋だったので流れるように店内に入った。
剣から弓まで武器という武器が幅広く売られていて俺は店内を見て回ることにした。お金はほどほどに渡されて、これで買える分だけ買おうと思う。
大剣とかも売ってるのか、これは強そうだけど筋力が低下してる俺には厳しそうだ。短剣かナイフが欲しいな。
この世界では魔力を使って武器の耐久度や魔法を乗せることができる。ただし、安物の武器の場合武器が魔力に耐えきれずに武器が崩壊する。
今の自分は軽い武器をたくさん持つのが多分いいな。時間を止めてグサリでもいいし、投げて飽和攻撃もできる。短剣一つだけ買って他はナイフを買おう。
ナイフ売り場を見ていると店主が近づいてきた。
「よお、にいちゃん。随分とそこにいるけど何が欲しいんだい?」
ガタイのいい店主だ。傷だらけのこの腕は鍛冶屋にふさわしい。
「あ、ああ。手頃なナイフが10本ほど欲しい」
「ナイフね、ちょっと待ってろ」
そういうと店主は店の奥に行き、カゴを持ってきた。
「最近買い取ったナイフなんだが、ちょうど10本だしどうだい?」
そう言って店主が見せてきたのは変わったナイフだった。
そのナイフは持ち手まで金属でいかにも投擲用。まさしく欲しかったものだ。
手にとって重さも確認したが軽い。投げやすそうだしこれにしよう。
「いいなこれ、買うよ。いくらだい?」
「おっ、助かるよ〜。値段はナイフ10本だし800フランでどうだい?」
「ん〜少し負けてくれないか?これから短剣も買わないといけないんだ」
「じゃあしょうがない。500フランに負けてやるよ」
「助かるよ。」
「そういえば知ってるか?ここ最近墓が荒らされるのが多発してて、吸血鬼が出たかもしれないんだと。」
店主はお金をポッケにしまいながらそう言った。
「そうなのか。」
墓荒らしか、、。心当たりがあるなーと思いつつ口にはしなかった。
「あんたも冒険者なら気をつけろよ。あと短剣売り場はあっちの棚だ。」
そう言って店主は店の奥に消えていった。
その後、しばらく短剣売り場でガサゴソしていたら肩をポンと叩かれた。
「あんたいつまで見てんのよ」
不機嫌な顔のメグが立っている。もうそんなに経っていたのか。つい夢中で見てしまった。でもこれはしょうがない。男性冒険者はついつい武器売り場にワクワクして子供のようにはしゃいでしまうものだ。
「悪い悪い。ついうっかり。」
「で、決まったの?」
「今から買いまーす」
そう言ってこれにしようと思っていた使い勝手の良さそうな短剣一本を買った。
店の外に出て余ったお金をメグに返した時に買ったものを確認された。
「何買ったの?」
「短剣とナイフ。1番使いやすい」
「ふ〜ん、じゃあ次は本屋に行くわよ」
「本屋?何買うんだ」
「魔法書は本屋に売ってるのよ。そんなことも知らないの?」
「あのなあ、俺の生きてる時はそこまで魔法が普及してなかったんだよ。」
「へー」
興味なさそうな返事をしてメグはスタスタと歩いて行ったので俺は慌てて追いかけた。
道を歩いているとかなりの頻度で冒険者らしき人達とすれ違う。
「なんか冒険者が多くないか?」
「日が暮れてきたから街の外にいた冒険者が街に戻ってきてるんじゃない?」
「あーーなるほどね」
確かに日も暮れてきていた。人もますます増えていく。今すれ違った剣士とか今にも人を殴りそうな目をしている。早く寝た方がいい。
するとメグは立ち止まって、周りをもう一度見渡したあと、少し考えてこちらを見た。
「思ったより人が多いし、今日は早めに宿を取ることにするわ。お金はできるだけ使いたくないから安いとこを一部屋借りるからね。」
「メグがいいならいいけど」
「別にいいわよ。あんた寝ないんだし。」
それもそうだ。ネクロマンサー魔法のレベルが上がったら俺は寝れたりするんだろうか。人間だった頃が恋しい。
夜遅く、俺はメグに借りた魔法書を読んでいた。元々持っていたものらしく、小さな魔法が乗ってるから読んでおけと釘を刺されていた。そこまで複雑じゃなくて案外簡単だななんて思っていた。
そんな時だった。
コンコン
夜遅くにドアを叩かれた。こんな遅くに誰だろうとドアに近寄った。魔力を感じる。五人?こんな遅くに。嫌な予感がした次の瞬間ドアを蹴破り中に入ってきた。
「すいませんね夜遅く。ここにネクロマンサーがいることは分かっている。大人しく捕まってくれないかい?」
「断る」
瞬時に魔法を発動した。時が進むまであと5秒。
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