始まり
「どうしたの?ボーッとして」
「思い出したんだ。俺の魔法と生前の記憶の一部が」
「本当に?」
疑っていると言うより期待している様子だ。
「今から証明する。あそこにある枝を見ろ」
そう言って自分の位置から5メートル先にある木の枝を指す。
「〇〇○」
「え?すごっ、瞬間移動?」
メグは一瞬で木の枝を持った俺が目の前にいることに困惑していた。
「時間停止。俺の魔法は時間を止めることができる。」
「無敵じゃないそれって。」
「ところがそうでもないんだ。今の俺の魔力量じゃ1日に5回が限界だし、運動能力も落ちてるから時間停止中に動ける範囲も狭い。」
リベラ・ベゴニアの魔法、時間停止。発動までの動作はなく一瞬で発動できるが魔力の消費も大きく一回の発動で止められる時間は5秒。また一度発動すると次の発動まで1分もかかってしまう。生前のリベラだったら魔力切れを起こすと発動できなくなるだけだったが今のリベラは傀儡。5回以上魔法を使ってしまうと体の動きが停止する。
「なるほど、、魔力量ばっかりはどうしようもないわね。一時的に魔力を回復する薬とかでなんとかやりくりするしかないわね。」
「まあそう言うこと。もう一つは、、」
「別にいいわよ言わなくて。言いたくないんでしょ」
「、、助かる。」
「とにかくこれでやっと冒険に行けるわね。色々説明するから一旦部屋に戻るわよ。」
「東の魔女ネクレアに会いにいく冒険において、注意してほしいことは2つ。1つ目は教会の人間。教会の奴らは私たちがネクロマンサーと分かれば殺しにくるから、私を守ってね。」
「どうして、俺たちは人間じゃないか。いや俺は違うけど。」
「教会の人間は不純なものを嫌う。アイツらからしたら私は人間じゃないの。死体を操る魔法を使うなんて吸血鬼や魔族と大差ないわけ。」
呟くようにメグは言った。
「そうか、、。俺は傀儡ってバレたらどうなるんだ?」
「火炙りよ火炙り。傀儡って火が弱点だから。ちなみに私も捕まったら火炙りだよ。その場で殺されるか公開処刑だね。」
「そんな残酷な、、」
メグは話を続ける。
「二つ目は吸血鬼について。低級吸血鬼は大丈夫と思うけど、上級吸血鬼と対峙したら逃げる一択だからね。」
吸血鬼は人の血を吸って生きる。異形型のようなものも居れば、喋れて魔法が使える個体もおり多種多様。基本群れずに単独行動を好む。
「俺って吸血鬼の餌になりうるのか?」
「ならないと思うけど、私は餌だから対峙したら私を逃してねってこと。」
「ああ、そう言うことね。」
とことん俺は使い倒されるらしい。
「じゃあ準備するわよ。アンタは特に持ち物もないだろうし、外でナイフ投げでもしてていいわよ」
「この家はどうするんだ?」
「そのままよ。ここは人が寄りつかないし、5年くらいの冒険の予定だけど帰る場所だから。親友との思い出の家だから。」
「一緒に住んでたのか」
「そうよ、本当に色々あったわ」
メグは下を向いた。
「、、、そうか」
なぜ親友が死んでいるのか。俺は聞かなかった。聞かれたくないことが人には一つや二つあるもんだから。それを教えてくれた人のことが頭によぎったから。
「さっ、早く外に出なさい。私もすぐ用意して外に出るから。」
「はいはい」
数分後、かなり古い見た目のトランクケースを持って出てきた。
「出発するわよ。」
「まずはどこへ向かうんだ?」
「ここから二日くらいで街に行きます。そこで装備とか揃えましょう。」
「教会連中は大丈夫なのか?バレたらまずいんじゃ、」
「あの辺の街は大丈夫。さぁ行くよ」
こうして俺たちは歩き出した。




