↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
45/46

映画(現代/玲、楽)

 珍しく玲(れい)と休みが重なった。


 いつもならゆっくり休んで欲しいと思うけれど、こちらも珍しく一緒に過ごしたいと言ってしまった。


 なんだろう。

 最近、少しだけ疲れていたからかもしれない。


 流行りの映画。ラストが泣けるのだというお触れ込み。

 恋愛映画も好きな楽(らく)の趣味に付き合わせる形で、玲と見に行った。


 確かに内容は悪くない。重過ぎず、軽過ぎず。

 ラストで、来世の二人が道端ですれ違い、お互いに視線を交わす。

 

 それはとても感動的ではあった。

 泣いてる人もたくさんいた。


 だけど。


 なんだかそのラストに、楽はしっくりこなかったのだ。



 近くの喫茶店で映画の感想を言い合う。


 玲は楽が話すのを楽しそうに聞いてくれているから、なるべくポジティブな感想を言うことにして、そして、途中で言葉が詰まった。


 なんだろう。

 やっぱり疲れているんだろうか。


「楽?どうしたの?」


「ううん。……ねえ、玲。映画面白かった?」


「うーん。どうかな。お話としては面白かったと思うよ。」


 あ、ちょっと分かる。

 そう。話としては面白かったのだ。でもラストが納得いかない。


 楽は少しだけ声を潜めながら玲に囁いた。


「ボクはね、玲。なんだかラストがイマイチだった気がするんだ。……なんだろう。来世で結ばれるってさ、あんまり好きじゃないな。来世にまで自分の業を背負わせるなよって思っちゃう。……変かな。」


 変だよね。

 ボク、相変わらずあんまり普通に馴染めない。


 しかし玲は、ひと口だけアイスティーに口をつけると楽の手を取った。暖かい手だ。


「俺も。……あんまり好きなラストじゃなかったな。」


「え?玲も?」


「うん。だって運命とか必然とか……そういうのって、凄く綺麗な言葉だけど、重たいから。それを簡単に扱うのって、少し嫌厭(けんえん)しちゃうよね。……でも、それと同じくらいあのラストは綺麗なんだと思うよ。人間が求めている綺麗さ。だから、何が悪いってわけじゃない。色んな世界があるってだけだよ。」


 そう、それだ。


 別にあのラストが悪いとか、映画が面白くないわけじゃない。

 ただ、ボクが見ているものと、普通が少しだけズレている感覚。


 それが分かれば、あのラストの綺麗さも理解できる気がしてきた。


「……玲は、今日楽しかった?」


「ふふ、うん。楽と一緒にいるだけでね。……でも、もう帰っちゃう?まだ、楽の好きな服屋さんとか行ってないよ?」


「……!ううん!行こう!もっと遊ぼう!今日は帰さないからね!」


「帰してもらえないの?」


 くすくすと楽しそうに玲が笑う。

 楽はすっかり気分が良くなって立ち上がった。


 まずは秋物を見に行って、後はアクセサリーも。折角だから玲に似合うものをいっぱい探そう。


 待ちきれなくて玲の手を引けば、玲がふわりと花が咲いたように笑った。



おまけ

楽「今日こそピンクのシャツはどう?」

玲「え?えーと……あ、楽。好きそうなカーディガンあるよ。」

楽「え!どこどこ?」


読んでいただきありがとうございます。

ハグレモノ短編第45話はいかがでしたか?


今回は楽と玲のお話にしました。

この二人は感性が似ていて、二人とも刹那主義なところがあるのかな、と思います。

その分、一番仲が良い二人です。


楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。


次回は土曜日19:30頃に本編投稿予定です。

よろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。