映画(現代/玲、楽)
珍しく玲と休みが重なった。
いつもならゆっくり休んで欲しいと思うけれど、こちらも珍しく一緒に過ごしたいと言ってしまった。
なんだろう。
最近、少しだけ疲れていたからかもしれない。
流行りの映画。ラストが泣けるのだというお触れ込み。
恋愛映画も好きな楽の趣味に付き合わせる形で、玲と見に行った。
確かに内容は悪くない。重過ぎず、軽過ぎず。
ラストで、来世の二人が道端ですれ違い、お互いに視線を交わす。
それはとても感動的ではあった。
泣いてる人もたくさんいた。
だけど。
なんだかそのラストに、楽はしっくりこなかったのだ。
近くの喫茶店で映画の感想を言い合う。
玲は楽が話すのを楽しそうに聞いてくれているから、なるべくポジティブな感想を言うことにして、そして、途中で言葉が詰まった。
なんだろう。
やっぱり疲れているんだろうか。
「楽?どうしたの?」
「ううん。……ねえ、玲。映画面白かった?」
「うーん。どうかな。お話としては面白かったと思うよ。」
あ、ちょっと分かる。
そう。話としては面白かったのだ。でもラストが納得いかない。
楽は少しだけ声を潜めながら玲に囁いた。
「ボクはね、玲。なんだかラストがイマイチだった気がするんだ。……なんだろう。来世で結ばれるってさ、あんまり好きじゃないな。来世にまで自分の業を背負わせるなよって思っちゃう。……変かな。」
変だよね。
ボク、相変わらずあんまり普通に馴染めない。
しかし玲は、ひと口だけアイスティーに口をつけると楽の手を取った。暖かい手だ。
「俺も。……あんまり好きなラストじゃなかったな。」
「え?玲も?」
「うん。だって運命とか必然とか……そういうのって、凄く綺麗な言葉だけど、重たいから。それを簡単に扱うのって、少し嫌厭しちゃうよね。……でも、それと同じくらいあのラストは綺麗なんだと思うよ。人間が求めている綺麗さ。だから、何が悪いってわけじゃない。色んな世界があるってだけだよ。」
そう、それだ。
別にあのラストが悪いとか、映画が面白くないわけじゃない。
ただ、ボクが見ているものと、普通が少しだけズレている感覚。
それが分かれば、あのラストの綺麗さも理解できる気がしてきた。
「……玲は、今日楽しかった?」
「ふふ、うん。楽と一緒にいるだけでね。……でも、もう帰っちゃう?まだ、楽の好きな服屋さんとか行ってないよ?」
「……!ううん!行こう!もっと遊ぼう!今日は帰さないからね!」
「帰してもらえないの?」
くすくすと楽しそうに玲が笑う。
楽はすっかり気分が良くなって立ち上がった。
まずは秋物を見に行って、後はアクセサリーも。折角だから玲に似合うものをいっぱい探そう。
待ちきれなくて玲の手を引けば、玲がふわりと花が咲いたように笑った。
おまけ
楽「今日こそピンクのシャツはどう?」
玲「え?えーと……あ、楽。好きそうなカーディガンあるよ。」
楽「え!どこどこ?」
読んでいただきありがとうございます。
ハグレモノ短編第45話はいかがでしたか?
今回は楽と玲のお話にしました。
この二人は感性が似ていて、二人とも刹那主義なところがあるのかな、と思います。
その分、一番仲が良い二人です。
楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。
次回は土曜日19:30頃に本編投稿予定です。
よろしくお願いします!




