朝の風景(高専時代/同期四人)/寝起き(高専時代/同期四人)/目覚まし時計(現在/玲、清治)
朝の風景(高専時代/同期四人)
・楽の場合
7:00 起床 「うーん、よく寝た!!今日も頑張る!」
7:30 準備 「今日のカーディガンどうしよっかな〜!」
8:00 朝食 「今日は和食かな!」
8:30 登校 「今日も楽しい日にするぞ〜!」
・清治の場合
7:30 起床 「……うう、朝つらい……。」
8:00 準備 「待って牡丹、その本は今日は要らないよ!」
8:30 朝食 「朝はパン……パン美味しい。」
8:45 登校 「今日も一日頑張ろう。」
・彰良の場合
6:00 起床 「……よし。」
6:30 訓練 「今日は素振り300回だな。」
7:30 シャワー&準備 「昨日の宿題は……後で清治に聞くか。」
8:00 朝食 「楽、お前も朝結構早いんだな。」
8:30 登校 「今日も頑張るか。」
・玲の場合
6:00 就寝中 「……。」
7:00 就寝中 「……。」
8:00 就寝中 「……。」
8:30 就寝中 「……。」
→8:30 強制起床 「おいバカ起きろ!!!遅刻するぞ!!」
8:45 準備 「……あきらも……ねよ……。」「おい引っ張るなバカ!寝るな!おい!!」
9:00 ギリギリ登校 「……。」「起きろ!!!」
◇◇◇
寝起き(高専時代/同期四人)
休日の午後、彰良たちは玲の部屋の前で難しい顔をしていた。
それもそのはず、休日だからと起こしに行かなかったら、一向に玲が部屋から出てこないのだ。
見かけないだけかと思ったが、楽も清治も全く見ていないらしい。
そこで三人で部屋に来たのだが、本当に起こすべきか迷っていた。
ーー玲は睡眠でしか回復できないからな……。
食事が苦手な玲は体力の回復を主に睡眠でカバーしている。そのせいで夜更かししなくとも朝起きられないことが多い。
休日くらいはゆっくり眠らせてやりたいのが本音だ。
しかしひと口も何も食べないのも恐ろしい。
という事で、彰良は楽と清治と顔を見合わせると玲の部屋のドアを開けた。
案の定そこには、ベッドの中で丸くなってすやすやと眠っている玲がいた。
「玲……本当に起こさないと起きないんだね……。」
清治が困ったように眉を下げる。この体質ばかりは彰良たちでもどうにも出来ない。
玲の身体の問題は魂に由来するからだ。
楽は気落ちしている清治の肩を軽く叩くと、玲の横に座り込んだ。
「れーい。起きれる?一回ご飯食べよーよ。そしたらまた寝ていいからさ。」
楽が軽く玲を揺する。
そうすると思ったよりも簡単に玲は目を開けた。
「……らく?」
「そうだよ、玲。起きれる?」
「ふふ、らくだぁ。」
「え、玲?ちょ、ちょっと……!」
玲は寝起きのふわふわとした雰囲気のまま笑うと、楽の手を取って軽く握る。そして、そのまままた眠ってしまった。
慌てる楽とは対照的に、穏やかな寝息が聞こえる。
楽は困ったという風に彰良と清治を振り返った。手はもう離れている。
清治は楽に頷くと、先程の楽よりも少し強めに玲を揺すった。
「玲。玲、起きようよ。一日中寝てるのは身体に悪いよ。」
その呼びかけにも、玲は素直に目を開ける。
そして、
「きよはる……ふふ、かーわい。」
「れ、玲……!」
くしゃくしゃと清治の頭を撫でると、玲はまたすやすやと眠ってしまった。
撫でられた清治は顔が真っ赤だ。
その顔のまま、彰良を振り返る。
彰良は息を吐き出すと、玲の隣に膝をついて、あまり大きくならないように気をつけながら声を出した。
「起きろ、玲。……そろそろ起きる時間だ。」
その言葉に、玲の目蓋が震えてゆっくりと薄青の瞳が覗く。
玲は彰良の姿を瞳にうつすと、ふにゃりと微笑んだ。
「……あきらも、いっしょにねよ……。」
玲の手が彰良の頭に伸びる。
そのまま玲は彰良を引っ張ると、ぎゅっと抱きついてきた。そしてまた玲の目蓋が閉じられる。
すやすやと穏やかな寝息が耳元で聞こえて、彰良はそこでもう、心臓が爆発した。
オーバーヒートだ。
そこからはもう、覚えていない。
意識が戻った時には、楽と清治が心配そうな、どこか呆れたような顔をして覗き込んでいた。
そして玲は、いまだにベッドで気持ちよさそうに寝ていたのだった。
「……いい加減起きろバカ!!!」
◇◇◇
目覚まし時計(現在/玲、清治)
「そういえば玲、朝どうやって起きてるの?」
清治が書類を整理しながらふと尋ねれば、眼鏡の奥の玲の瞳が真剣な光を帯びた。
「目覚まし十個かけてる。」
「十個。」
「そう。それで毎月三個買い替えてる。」
「買い替えてる。」
「そう。投げたりしてないのに、気づいたら鳴らなくなってるんだよね。」
「なるほど……摩耗してるんだね。」
「頑張ってくれてるからね。」
玲が得意そうに頷いた。
清治は取り敢えずそれに頷いて、手元の書類に集中することにした。
清治(玲、頑張ってるんだね……。)
読んでいただきありがとうございます。
ハグレモノ短編第41話はいかがでしたか?
今回は玲の睡眠事情にまつわる、三本の短いお話をまとめてみました。
今でも朝は苦手なようで、目覚まし時計が必要以上に酷使されています。
楽しんで読んでいただけたら嬉しいです!
次回は土曜日19:30頃に本編投稿予定です。
よろしくお願いします!




