14話
続きになります。
輝は倒す対象がいなくなると、何もないところを無差別にスキル技を放ちまくっていた。それを見ていた天川は隙を伺っていたが、全く隙が見えなかった。
隙が見えない…下手に突っ込んだら、確実に死ぬ…。だが、ちんたら様子を見ている時間はない。時間が経過すれば、するほど正気に戻すのが困難になる。これは師匠の修行以来の正念場だな。
天川は自慢のスピードを活かせるようにいつでも出れる準備をする。輝はところ構わず、スキルを放つ。すると、スキルを打つのを止めると、再びどこかへと歩き出した。
その瞬間───天川はその隙を逃さず、剣を抜き、全身全霊で剣の峰で後頭部を狙う。
キィィィン!!!
しかし、そううまくはいかず、輝は何も見ずに剣で防いだ。
くそっ!防がれたか…!
「敵…敵…敵…敵…敵…敵…殺さなきゃ…殺さなきゃ…殺さなきゃ…殺さなきゃ…殺さなきゃ…」
「落ち着いて!僕は敵じゃない!」
天川はダメ押しで敵でないことを言うが、暴走状態の輝は声が届いておらず、天川に斬りかかる。
速いっ!
天川は咄嗟の動きで何とか輝の剣を防ぐ。
「敵は殺さなきゃ…皆守らなきゃ…」
輝は天川の首元の5cmまで押し込んだ。
まずい…!このままじゃ僕の首が…!こうなったら…
天川は全力で一旦退き、抜刀の態勢に入り、スキルを使用する。
『烈風閃』
しかし、スキルを使用した瞬間、意識が朦朧とし、その場で膝をつき、地面を剣で突き刺して何とか意識を保とうとする。
「うっ…はぁ…はぁ…はぁ…」
さっきの全力で加速したのがかなり自分の身体に応えているな…。
しかし、当然待ってくれるはずもなく、輝は剣を振り上げ、スキル技を使う素振りを見せた。
くそっ!動け!身体!
『聖光斬』
輝がスキル技を使い、剣を振り下ろす。その攻撃によって、砂埃が宙を舞った。
──やがて、砂埃が収まっていくと、そこには天川の姿はいなかった。
輝は急にいなくなった天川を探していた。その瞬間───
ズドンッッ!!!
何か巨大な鉄の塊が輝の後頭部を叩きつけた。
「ごめん夜宮、あとでいくらでも怒られてやるから。今は正気に戻って休め」
危なかった…最後の力で、何とか躱せて空中に回避できたのは幸運だった…。
天川は輝のスキル技を空中でなんとか躱し、飛び上がり、空中から一気に剣の峰で、後頭部を叩きつけたたのだ。内心驚いており、ここまで動けるなんて思いもしなかった。
天川は最後の力を使い切り、そのまま空中から地面に落ちた。
もう動けねぇ…。
天川はそのまま目を閉じる。しかし、また強力な気配を感じた瞬間───
「嘘だろ…」
天川は目を見開き、気配を感じた方向を見ると、そこには気絶させたはずの輝がそこにいた。
後頭部をかなり強く打ったはずなのに…これもステータスの暴走の影響か…。
天川は自分の死を悟り、そのまま目を閉じた。輝は天川に近づき、スキル技を放つ。
その時───
『もうやめて!輝君』
その声が聞こえた瞬間、天川への攻撃を止めた。
『誰だ…敵…』
『もう忘れちゃったの?思い出して輝君』
輝は最初誰かはわからなかったが、その声をよく聞くとどこか懐かしい声であり、次第に意識がはっきりしてきた。
『まさか…北里…真花ちゃん』
『そうだよ。夜宮輝君』
輝は姿を見て、声を聞き、涙を流し始めた。その少女の姿は小学生くらいの背丈で、黒髪のロングであった。
『あ…ああ…本当に真花ちゃん…』
『う~ん正確には私は本当の私じゃないんだけどね。輝君の記憶の奥底からきたって感じかな』
『記憶の奥底か…』
『輝君、もう十分だよ。君はもう勝ったんだよ!』
『いや…俺はまだ敵を殺さなきゃいけないんだ』
『よく見てよ!君が殺そうとしているのは味方だよ!』
『味方…そんなはずは!?』
輝は改めて見ると、そこには倒れている天川の姿があった。
『天川…なんで』
『輝君は悪くない。暴走していた輝君を必死に止めようとしてくれたのよ』
『そっか…また迷惑かけちゃったな』
すると、輝から出ている赤いオーラは次第に収まり、消滅していった。消滅するのと同時に、疲労と傷の痛みが一気に感じ、そのまま倒れ込んだ。
『これで大丈夫ね。あとは少し休めば、全快とはいかないけど、動けるようになるから。それじゃあまたね。輝君』
すると、輝の記憶の北里は次第に消えていった。
『真花ちゃん、また会えるといいな…』
次第に、輝の意識は朦朧としていき、目の前が真っ暗となった。
赤いオーラが消えた…いったい何が原因で…うっ…だめだ…考えるだけで意識が遠のいて…い…く…
天川は次第に意識が朦朧としていき、目の前が真っ暗となった。
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Lv1 始まりの森 Clear
Result
魔石×10
獲得ポイント 30
獲得賞金 3500パール
アイテム 原初の牙、青鈍の毛皮
All Result
総獲得魔法石×22
総獲得ポイント 78
総獲得賞金 9500パール
アイテム 原初の牙、青鈍の毛皮
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その頃、三人の攻略者が同じ始まりの森を進んでいた。一人目はぱっとしないような容姿の男で、簡素な皮の防具に、腰には特にこれといった特徴のない剣を身に付けていた。二人目は一人目よりは容姿はイケメンで、簡素な鉄の防具に、腰には一人目と同じ剣を身につけていた。三人目は男なら誰が見ても一目惚れしそうな容姿で、メイド服の装備に、腰にはレイピアの形状をした剣を身につけていた。
おいらの名は中村太郎、南にある村の出身だ。故郷が嫌いすぎたのと、彼女が欲しすぎて家を飛び出してここまで来た者だ。北の方に無限に続くダンジョンがあると噂を聞き、長い旅路の末たどり着き、今こうして攻略者として初のダンジョン攻略に挑んでいる。そして、運がよく受付に俺の目当ての彼女候補を見つけた。雪姫奏、まさしく俺の彼女にふさわしい。容姿端麗で、何よりメイド!!おいらは憧れを抱いていたメイドの装備を着た子とあんなことやこんなことをしたい!!というのがおいらが攻略者になった理由である。
「雪姫ちゃん…おいらが守ってやるからよ。おいらの後ろにいな」
「は、はぁ…ありがとうございます…」
「ずるいぞ!中村!雪姫さん!ぼ、僕があなたをお守りしますから!」
「ど、どうも…」
僕の名前は粟田鉱、東の都市から攻略者になるためにここへ来た。僕は故郷が好きだが、自分の成長のため、ユグニアへと来た。ゆくゆくは仲間を増やして、仲間の女の子と恋に落ちたりなんかしたい。特に雪姫さん、彼女はとても可愛らしい。一目、見ただけで気が狂いそうになるほどである。彼女のハートをいつか掴むのが僕の最初の目標だ。
中村と粟田はそんなことを思いながら、進んでいった。一方、雪姫は───
この二人からくる私への視線は嫌らしい目で見てくる目だ。私のパートナーとしてのご主人様には絶対なれませんね。それにスリム、ホーンラビットの戦闘を見る限り、なんなく戦えていますが、瞬殺してくれるレベルではないと話にはなりませんね。ダンジョンをクリアしたら、この人たちとは一切縁を切りましょう。
雪姫はそう思いながら、二人の後をついていった。
はあ~お母様…ご主人様を探すのは一苦労しそうです。
すると、遠くに開けた場所が見え始めた。
「ほう、また魔物の出現スポットか。雪姫ちゃん、ここも俺がやろう」
「ぼ、僕も戦います!あなたのために!」
「はぁ…よろしくお願いします」
三人は開けた場所に足を踏み入れると、魔法陣が地面に浮かび上がり、そこから全身が真っ黒に染まった巨大な犬が現れた。
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