15話
続きです。
三人がその開けた場所にに入った瞬間、中ボスのブラックドックが現れた。
中ボスLv5 ブラックドック
グロオオオオ!!!
「来たな!魔物!」
「ちゅ、中ボス!?初めて見る魔物だ」
「関係ねえ!雪姫ちゃんは後ろに下がってな!癪だが、このいけ好かない奴とまた協力することになるがな」
「そうだな…ここも協力して倒すしかないか」
粟田は中村と先ほどの戦いと同じように共闘する方針に切り替えた。
「頑張ってー」
雪姫は棒読みでそう言った。
その頃─── 輝はボス戦の疲労と負傷により、しばらく気絶していたが、体力がある程度回復してきたため、意識がはっきりとしてきたため、次第に目を開いた。それと同じに、野鳥のさえずりが聞こえてきた。輝はゆっくりと、身体を起こし周りを見ると、地面があちこち削れていた。輝が無意識に暴走したという証がその風景として表れていた。
「これは俺がやったんだよな…」
輝は自分にこんな力があるという驚きと同時に、無意識とはいえ、天川を傷つけてしまったことに罪悪感を抱いていた。
「すー、すー、むにゃ、むにゃ」
輝は近くで、寝息が聞こえ、そちらを見ると、初めて会ったとき思い出すような光景で、天川が寝ていた。
俺を止めるのに相当、苦労したんだろうな…。本当に良いパーティ仲間に恵まれたな。
しばらくしないうちに、天川が目を覚ました。そして、ゆっくり輝の方を見た。
「はっ!夜宮!大丈夫か!?」
「あ、ああ…俺は何とか大丈夫だ」
「よかった。正気に戻って」
「ごめんな。天川、無意識に暴走したとはいえ、迷惑をかけてしまって」
「いや、そんなの、僕が力不足だっただけだよ。あの時、フォレストヴォルフを倒せるほどの実力には僕にはなかった。これを言ったらなんだけど、君の暴走がなければ、全滅していたよ」
「不幸中の幸いってやつか」
「まあそんなところだね」
「俺もあの狼に何もできなかった。Lv1でここまで苦戦するなんて思いもしなかった」
「僕もだね。師匠にはこの程度クリアできなければ、攻略者はやめた方がいいって言われたからね。いけるとは思ったけど、死にかけるとはね。まあ、僕も修行が足りないってことかな」
「天川…」
「そういえば、クリア報酬は見た?」
「クリア報酬…ああ、そういえば、まだ見ていなかったな」
「僕は戦闘に全然参加できなかったから報酬はないけど、倒した君ならみれるはず」
輝はリザルト画面を開いてみると、フォレストヴォルフを倒した報酬が表示されていた。
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Result
魔石×10
獲得ポイント 30
獲得賞金 3500パール
アイテム 原初の牙、青鈍の毛皮
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「すごいな…こんなもらえるなんて。それに今回アイテムっていう項目が追加されている」
「それはボスモンスターを撃破した後にもらえる報酬だよ。中ボスや通常モンスターとは異なり、ボスモンスターはアイテムをドロップする。そのドロップアイテム武器を強化するアイテムであったり、スキルを覚える書物であったり、換金できるアイテムだったりするね」
「なるほど」
輝はアイテムの項目をタップすると、アイテムの説明が表示された。
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原初の牙: 始まりの森の主、フォレストヴォルフの牙。最初に生まれた捕食者の口から抜け落ちたとされる牙である。(強化素材/武器作成素材)
青鈍の毛皮: 冷光を帯びた鈍い青色が特徴の毛皮。(強化素材/防具作成素材)
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「どっちも強化素材として使えそうだな」
「武器屋、防具屋によればその素材と強化したい武器、防具を提示すれば、強化してもらえるよ」
「分かった」
次に、輝はスキルポイントをどのように振り分けるかを考えた。
今回のボスモンスターは素早さ、攻撃力共に各段に俺より強かった。今後もあの狼よりも強い奴が出るのは明白。なら、スピードと防御に多めに振った方がいいか。だが、攻撃もスキル技でようやく、ダメージを与えられたから。
輝は攻撃に7、防御に12、Speedに11振った。
───振り終わると、脳内に前に聞いたような音声案内が流れてきた。
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習得したポイントの魔物が強敵であったため、ステータスにボーナスポイントが入ります
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すると、ステータス画面が急にまぶしいくらいに光り始めた。
「なんだ!?まぶしっ!」
「これはまさか」
輝は咄嗟にステータス画面から差し込むまぶしい光を腕で、目を覆った。次第に光が収まり、輝は目を腕から離していくと、画面に驚くことに先ほどの振ったポイントに対して、さらにポイントがプラスされていた。
「えぇ!?いきなりこんなステータスにプラスされるものなのか」
夜宮輝 16歳 ♂
Element 光
Skill 聖光斬
Attack 31(+14) (45)
Defense 32(+12) (44)
Speed 29(+13) (42)
Total 131
Equipment
Attack +5
Defense +4
Speed +3
輝は自分のステータスの数値が一気に上がったことに驚きが隠せなかった。
「それはステータスの進化だね」
「ステータスの進化…それって何なんだ」
「僕たちが魔物を倒すと、ステータスポイントがもらえるのを知っているよね」
「ああ」
「その時、魔物の強さが自分よりも圧倒的に強かった場合はその魔物を倒したとき、ステータスに進化をもたらす。それによりボーナスポイントと呼ばれるポイントで自動的にAttack、Defense、Speedに多くのポイントが付与される。これがステータスの進化だ」
「そんなのもあるのか。確かに前よりかなり強くなった実感がするな。そういえば、天川はボス戦参加したのに、ポイントとかアイテムには入手できないのか」
「ああ、僕は戦闘には参加したけど、参加した時間が短かったから入手できないんだ。途中、吹っ飛ばされたし」
「そっか…」
「アイテムとかポイントを取れなかったのは残念だけど、これで入りたいパーティの募集要項は満たした」
「それはよかった」
「夜宮もさ、俺の入りたいパーティに入ってみないか。君とパーティを組んでみて合いそうな気がしてきたからさ」
「ああ…ごめん、今のところはパーティに関しては考えていないんだ」
「そっか…まあ、人にはそれ相応の理由があるしな。そこは聞かないでおくよ」
「悪いな」
「いやいや大丈夫だよ。さあ、ここから早く出よう」
天川と輝は始まりの森の出口へと向かていった。
その頃─────
「はあ、はあ、かはっ!」
「なん…なんだ…。強すぎる…」
粟田と中村は全身を負傷しながら、ブラックドックに苦戦していた。二人がかりでも倒せないなんて今までの魔物とは格段に強さが違うのを実感していた。
「おいっ!おいらに…合わせろや」
「何を言ってんですか!?そんなヘロヘロで、僕に合わせてくださいよ!」
「うるせえ…おいらに合わせてろ…。待っててくれよ。雪姫ちゃん、ここはおいらが倒すからよ」
中村がそう言うと、雪姫は二人の前へと出た。
「お、おいっ!雪姫ちゃん!あぶねえぞ!」
「そうですよ!ここは僕たちに任せて」
「はあ…もういいです…あなた方の実力は完全に理解しました。はっきり申し上げますと、あなた方ではこのダンジョンをクリアできませんね。それどころか死んでしまいますね」
「へ?」
「そ、そんな!雪姫さん!まだ始まったばかりですし」
すると、背後からブラックドックが雪姫に襲いかかった。
「雪姫ちゃん!後ろ!」
雪姫は後ろを見ずに素早く剣を抜き、ブラックドックの攻撃を防いだ。雪姫の持っていた剣はレイピアの形状に見えたが、実際にはブロードソードのように切断に特化した剣であり、刀身
「全くこんな弱い犬に苦戦してるようじゃ話になりませんね」
剣で防いだ!?しかも片手だけで!
雪姫は一度、剣ブラックドックから剣を離し、一気に斬撃を入れた。
ズシャァァァ!!
ギャウウンッ!!
ブラックドックは雪姫の斬撃に怯み、倒れ込んだ。さらに、雪姫は隙を逃さず、斬撃を入れる。
ズシャァァァァンッ!!!
ブラックドックは大量の血しぶきを吹き出しながら、倒れていき、消滅していった。
「まじか…」
「つ、強い…僕ら二人がかりでも苦戦していた相手を一瞬で倒した…」
「ここからは私一人で戦いますので、あなた方は見ているだけで結構です」
雪姫は先頭に立って、先へと進んでいった。中村と粟田は雪姫の強さに愕然としており、自分達が非力なことで、恥を知った。
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