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第壱話 不正アクセス/ERROR:INTRUDER 中編

前回の話を読んでないと損するぜ!

「さて、どっから話したもんかな…」

一口齧った食料らしきものをため息混じりでそこら辺に投げつけ、前屈みになりながら説明を始めた。

「まずは『俺がなんでこんなクソくらいなどこにいるのか』ってとこから話すか」

右手から半透明のパネルを出して、こちらに向ける。

「このパネルにも映ってるように俺は元々スラム一般人だ。なんの才能も与えられもしてねぇ、どこにでもいる奴だった。だが俺はな、お偉いさん方の身代わりとして使われたんだよ。

ある日上流階級のお綺麗な貴族様が、『大量殺人』っつうデカいグリッチをやらかした。で、そのクソどもは自分の手を汚さずに罪を消すために、俺のIDにそのログを全部上書きしやがったんだ。

システム判定は一発で『有罪・データ消去』さ。

だけど、あいつらは粋な演出がお好きでね。即死じゃなく、絶望して光の粒子になって消えていく様を見て楽しむために、俺をこの監獄へ捨てたわけだ。

……だが、あいつらは致命的なミスをした。

俺に『時間』を与えすぎたんだ。


この監獄にはバグが大量に放置されている。バグってのはお前の世界だったらゲームとかの不具合だろ?

だがこっちでは世界自体の不具合の事をバグっていう。

これを俺は数万いや、数億回も脳が焼けるギリギリまで弄り続けてバグについて徹底的に研究した。

公式のハックが使えないなら、仕様の隙間をこじ開けるまでだ。

才能がない? はっ、笑わせるな。

『才能のある俺』に自分で修正すれば、そんなもん関係ねえんだよ。

ついでにこの世界についても教えてやるよ。わからねえモノだらけだろ?

まずはさっきまでいたとこが『原点サーバー』だ。

サーバーってのはお前からしたら世界っていう意味だ。

そしてこのサーバーは最初の方に言った通り、傷を負えばすぐに治る、極上の料理が無限に出る……イージーモードの幸福洗脳プログラムが施されてる。

それに、あそこは特権階級を贔屓するシステムが組まれてて、あいつらの攻撃は『確定クリティカル』、敵の攻撃は『自動回避』。


世界の理(ルール)そのものが、最初からあいつらの味方をしてるんだ。

そしてこのサーバーの奴らは当たり前にハックを使うことができる。ハックってのは魔法とほぼ同じと思っててもらっていいぞ。

ハックについてもうちょい説明しとくか。重要なとこだから覚えとけよ。

ハックには三つの種類がある。

戦闘用ハック(タクティカルハック)

生活用ハック(ライフハック)

汎用型ハック(マルチハック)


一部のヒトはタクティカルハックのことを、攻撃文字列(ペイロード)っていうやつもいるぜ。このせいで剣とかを使わずハックで戦うやつのことを、ペイローダーって呼ぶ。まあ、いろいろ制約があってハックを主軸にして戦うペイローダーは少ないんだけどな。剣士でも肉体強化ハック使えたりするし。

ハックを使うには通常文字列(ストリング)っていう、いわば詠唱をして発動をするんだが俺は不正文字列(グリッチストリング)とバグを使って詠唱を端折れるんだ。すげえだろ?


そしてこのハックには五つの階級(ランク)がある。

一番上から、最上級、上級、中級、初級、基礎だ。

俺は中級までだったら詠唱を全て端折ってハックネームを言うだけで即時発動できるんだ。ハックネームっつうのは魔法の名前的なやつな。上級はちと難しくてな三分の一にすんのが限界だ。最上級は流石に全て詠唱しないと発動できない代物で、世界の理を書き換えることだってできるぜ。

そしてこのハックを使うには、一人一人サーバーから決められたDP(データポイント)をつかって発動する。

一部俺を含めDPが無限のやつがいて、俺に限っちゃDPよりももっと大事なことがある。バグを使って発動するハックは、頭ん中に全ての情報が流れてくるせいで頭がパンクしちまって最悪俺は死ぬ。こんなやべえ制約があるのを覚えておいてほしい。俺がヤバくなった時止めてくれんのはお前しかいねえからな。

あとハックには一つ絶対的な壁がある。『ヒトに直接ハックをすることはできない』ってことだ。

これがペイローダーが極端に少ない原因だ。どういうことかっていうと、基礎鑑定ハックで相手の記録(ログ)が見れねえし、バフ、デバフを直接与えれないって感じだ。まあ空間にハックして遅延させたりとかはできるけど。

ああ、でもな死体にだったら直接干渉できるぜ。鑑定した死体の死ぬまでに何をしたかとか見れるから、そいつの本性が剝き出しになる。...おもしれえシステムだろ?

まあこの世界についてはこんなもんかな」


ソカが椅子から跳ねるように立ち上がり、部屋の隅で禍々しくもきらびやかに光る二振りの刀のもとへと歩み寄る。

「最後に一つ。俺がなぜわざわざ時間を巻き戻して、ここに戻ってきたかわかるか?さっきのサーバー接続(アクセス)はただの実験だ。」

二振りの刀のうち消滅の能力を持つ【果鏡落着(カキョウラクチャク)・歪刃(マガイ)】を振り上げる。

「ここからが本番さ。さあ、ショウタイムといこうか【境界進撃(サーバー・チェイス)!】」

どうもこんちゃニンジンです。

前回よりも長く書けて私的には大満足です。

ほんとは不正アクセス/ERROR:INTRUDERは前編と後編で書き切るつもりだったんですが、細かい説明するのに時間かかりすぎちゃいまして中編とさせてもらいました。

一応次回予告として、次はやっと時間が追い付いてソカの初戦闘がお披露目されます!張り切って書くのでお楽しみに。

それではまた次回で和えることの期待してます!さいいならー

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