⑥ゾンビの頭部を埋めたら綺麗なお花咲くかな?
無謀企画実行中!
《トレント視点》
自分の部屋で書類仕事をしていると、部下の職員が報告に入ってきた。
「副ギルドマスター、例の件ですが……」
「うちの若手共は、どうしてあんなにやっかいな奴らばかりに絡むんだ。……で、被害を受けたスローくんの事情聴取はどうした?」
「警備の冒険者たちも目撃しており、証言も多数揃っています。明白でしたので、スローくんにはそのまま依頼に向かってもらいました」
私はペンを置き、冷ややかな視線を向けた。
「……君は、当事者から直接聞かないと、相手が言い逃れを考える隙を与えてしまうと考えないのか?
そんな悠長な手回しで、よく副ギルドマスターの補佐が務まるものだ」
「いえ、そういう意味では……相手が【脳なし】たちですから(笑)」
「脳なし? なんだ、それは」
部下からその蔑称の由来を聞き、私は思わず椅子から転げ落ちんばかりに大爆笑してしまった。スローくんという少年は、本当に人を食ったようなところがある。
「ああ、腹が痛い。……で、今は隔離室か?」
牢屋は国が持つものだから、一般は隔離室や監視部屋と言う。
「はい。対応はどう致しましょうか」
笑いをおさめ、私はデスクに置かれた筆を走らせる。表情から、先ほどまでの慈愛のような笑みは消えていた。
「他の冒険者たちに聞き込みを行い、余罪をすべて洗い出せ。それから【脳なし】が所属しているクランのマスターを呼び出し、管理責任を問うと伝えろ」
「揉めることになりますよ?」
「うちの若手の問題行動は多すぎる。個人へのペナルティだけでは、この街の評判は守れない。……彼らには、我がギルドの規律を示すための『人身御供』になってもらう」
部下は深く頭を下げて退室した。重苦しい空気が霧散し、静寂が戻る。
「……本当に、面白い子だ」
私は再び微笑みを浮かべ、書類にペンを走らせる。
心なしか、滞っていた仕事が驚くほどスムーズに進む気がした。
★
《影の騎士団本部・クランマスター、ドムドム視点》
「クランマスター、冒険者ギルドの副ギルドマスターから呼び出しです。」
私は書類整理の手を止めて部下を見る。
「また若者が粗相でもしたのか?あいつ一々細かいんだよ。」
「⋯何というか、うちの若手がロビーで犯罪行為して捕まったそうです。」
一瞬意味がわからなかった。
うちは大所帯で末端まで目は行き届かないが、若手の指導をする担当者を用意しているからそこまで、愚かなことをする奴は今までいなかった。
「行かれますか?」
「トレントが読んでいるなら行かない選択肢は無い、そいつらの担当は誰だ?」
「トラビスです。」
「トラビスも連れて行くから呼び出せ!
確かあいつは昨日依頼が終わって酒場にいるはずだ!」
「はい!連れてきます!」
部下は部屋を去って行った。
クランが大きくなり力もましたが問題も増えていく、本当に頭が痛い。
《このあと、ドムドムがさらに頭を痛くする出来事が待っているとは彼は知らない》
★
《ロブから徒歩30分の薬草群生地・スロー視点》
一番近い場所だとギルドの美人受付嬢に、教えてもらってやって来たが、荒れ果てていた。
考えてみたら、先程の様な【脳なし】冒険者ばかりなら考え無しに採取しまくるだろうね。
この事を知ってて黙っていたのか、知らなかったのか、どちらにしろ問題だと思う。
冒険者の姿はいないから、冒険者の情報網で伝わっているんだろうな。
と言うことは復活させれば薬草取り放題?
ボクの考えでは栄養与えれば復活すると思うんだよね。
その鍵はゾンビだと思うんだ。
師匠との旅の中で薬草群生地にゾンビはいたけど群生地の中に埋まる奴はいなかった。
外周部に埋まっていたんだよね。
ゾンビが生命力に惹かれ群生地で埋まり、薬草の栄養になっていた可能性はあるんじゃないかな?
この場所には誰もいないし実験してみよう!
森の中で小さい鐘を鳴らしゾンビを呼び込み群生地で首を跳ね、埋めて栄養にする。それを何回か繰り返す。
ボクの想像通りなら原生地は復活するはずだ!
その合間に薬草を10束採取した。
日も暮れたので街に戻ると薬師ギルドに薬草を届けに行く。
薬師ギルドに行くと薬以外にも食品とかもあり、興味が尽きない。
携帯食ってどうなんだろう?不味いのか?すごく不味いのか?
しばらく商品を見ていると
「まだ来ないのか!」
と声がした。
「イラッついた声がしますけど、何かありました?」
「特殊な薬草を納品を待っているそうなんですよ」
⋯⋯それボクかな?
「多分、ボクだと思います。」
そう伝えると
「ギルドマスター、お待ちの人ここにいます!」
「本当か!?」
ギルドの奥から小柄なエルフの女性が飛び出してきた!
「お前がトレントの言う新人か!?遅いではないか!」
薬草のやりとりは、薬師ギルドでとは言われたけどボクが何の依頼を受けるかで変わってくるし、何で責められる言い方なのだろう?
純粋に薬草採取を評価してくれているってこと?
「スイマセン、薬草群生地が荒れ果てていたので森に入って探していたので時間かかりました。」
「そうなのか?マカよ冒険者ギルドからそんな報告あったのか?」
薬師ギルドマスターは、仕事が出来そうな美人秘書に問いかける。
秘書って意味は分からないけどしっくり来る。
「そんな話は聞いてません、おそらく冒険者ギルドからの叱咤を恐れて冒険者間で伏せているのかと。」
「抗議は必要じゃな!マカよ、悪いがギルドに行ってくれるかの?
あれだ群生地の復活は手間も時間もかかる頭が痛いのう。」
「一応、思いつきで対策はしてきましたけど⋯」
「どうやったのじゃ?」
師匠から教わったゾンビの性質から考えて、薬草とゾンビは共生関係にあると考えて、群生地の周りでゾンビを処理したと説明した。
「ほほぅ、斬新な考えじゃな⋯⋯。
ゾンビがいない地域もあるから正解とも言えないが画期的なアイデアかもしれぬ⋯⋯。
お主、ゾンビの頭はあるのだろ?」
「はい、ありますけど」
「ならコッチに来るのじゃ!」
手を引っ張られギルド裏の畑に連れて行かれる。
「薬草を育てるのは難しいとされておる。
お主の薬草を突破口にはなるのでと期待しておったのじゃ」
だからボクが現れるのを待っていたんだね。
「畑に埋め直したが少し弱っているから何故だと考えていたのじゃ!
お主の共生関係が真実ならゾンビの頭部を受けたら効果が出るはずじゃ!」
何故かボクがやる羽目になる。
「お主、中々の手際じゃな!」
「ボクはスローですよ」
「名はゆっくりなのに、手際のよいスローじゃな覚えたぞ!」
ゾンビの討伐証明を使用した事もちゃんと伝えてくれるし報酬も高く支払ってくれる事になった。
冒険者初日は、クライアントの満足度は高いようだ。
何のことか分からないけどしっくり来る(笑)
お読み頂きありがとうございます
清竜人TOWNに演者として参加してその楽屋で【トモの華麗な推し生活】を思いつきました(笑)




