③師匠は有名らしいね
無謀企画実行中!
《ハミング夫妻視点》
野営地を決めて準備をする。
普段はテントなどを設営しない。
魔物や盗賊の襲撃があった場合は動きがワンテンポ遅れるからだ。
俺達は夫婦2人のチームだから、これが命取りになりかねない。
今回は愛弟子スローに教える意味もあるので、テント設置や食事の準備を教える為にした。
今までは泊まり込みの特訓など出来なかった。
スローのステータスを上げる目的で鍛えていたからだ。
いつもしないから手間取ったのに気が付かれないと良いのだが師匠の威厳に拘る。
食事は流石、料理屋の息子大変美味しくナナは素直に絶賛していたが「まぁまぁだ」としか言えない自分の師匠キャラが辛い(T_T)
食事が終わり見張りのために3時間交代と決めて、スローを最初に寝かした。
メラメラと燃える焚き火の前でナナと2人
「ねえ、スローを私達のパーティに入れましょうよ」
「何度も話し合ったろ、スローが冒険者の道を望んでいない以上は無理強いはできん」
「パーティは色々な役割があるわ、弱くてレベルが上がらなくてもスローは理解ある私達が一緒なら高みに行けるわよ」
少し薪を足しながら
「それはわかってる、でもまだ若いスローに無理強いは成長を妨げる恐れもある。
今は知識を与え、スローに考える時間を与えるべきだ。
あの子が高みに行く気になったら支えてやろう。その時誘っても遅くはない。」
「⋯⋯私はあの子を息子みたいに想っているの離れたくない。」
将来息子に譲ると最初に手にしたアイテムバッグを渡したから、その気持ちは理解していた。
「⋯⋯近い将来、スローと俺達は大冒険することになる!」
「【閃き】?」
「それもあるが半分は願望だよ(笑)」
その後もスローの話で交代まで話は尽きなかった。
★
《スロー視点》
アレから数日、師匠達に色々教わりながら【ロブ】に到着する。
この時点でお別れになる。
【ハミングバード】は有名な冒険者だそうで、一緒にいるとやっかみなどでボクの仕事を邪魔して来る可能性があるそうだ。
どうして有名なの?と尋ねても教えてくれなかった。
ギルドに顔を出す師匠達と別れて、キャンプ地の場所を取ることになった。
「ここでお別れだが、お前なら1年もあれば目標額を稼げると信じているぞ!」
「スロー頑張るのよ!1年後また来るから成長した姿を見せてね」
2人に乱暴に頭を撫でられ門の前で別れた。
もし【ハミングバード】に誘われたら夢を捨てたかも知れないな⋯⋯そう思いながら門にはいる2人を見送った。
少し遅れて門に入ると受付をすることになる。
ステイサム子爵の正式な旅行許可証をみせる。
冒険者ならその手の手続きは不要だけど一般人は、手続きをしないと面倒らしい。
「書類に不備はなし、滞在目的は?」
「出稼ぎに【雑用冒険者】をしにきました。」
「なるほどね、目的がそうならこの紙にサイン貰って門に届けてくれるかな?」
「はい、わかりました!」
「元気いいな(笑)、キミは【ハミングバード】と話していたけど知り合いなのかい?」
「来る途中で、話しかけられて一緒に来ただけですよ。有名な方なんですか?」
咄嗟に嘘をついてしまった。
「有名な冒険者だ。説明してやりたいが順番待ちされているからな、気になるなら冒険者ギルドで聞くがいいよ。」
「はい、ありがとうございました。」
ボクは頭を下げると出口に向う。
「キミ待って!」
振り返ると
「領都【ロブ】へ、ようこそ!」
こういうのは共通なんだなと納得した。
なぜかは分からないけど(笑)
受付から出ると、ここにも兵がいて目的地を聞かれたので「キャンプ地です」と答えると
「最近は身分証明を見せるシステムに変わったから、冒険者ギルド登録がまだならそちらを先にしたほうが良いぞ」
と教えられ道も教えてくれた。
すぐ行くと師匠達とニアミスしそうなので市場の場所を聞いて寄り道することにした。
★
《トレント視点》
私の名前はトレント、この冒険者ギルドの副ギルドマスター。
ヴァンダム侯爵領が人材育成に力を入れた為に、ギルドが若手を育てるイメージが強くなり、何も学ばず冒険者になる若者が急増したので、若手トラブルが多い。
その防止の為に午前中はロビーに注意を払っていた。
ここの若手は見慣れない冒険者を見つけると何も考えず、絡む習性がある。
他の街ではベテランが若手に絡む傾向が強いのに真逆である。
後者は若手の篩をかける面で見逃す点もあるが、前者はギルドの評判も傷つける事になりかねない。
今日も明らかにベテランの二人組が入ってくる。
穏やかそうなオーラを纏、うちの若手が絡みそうと判断し声を掛ける。
「失礼します、私は副ギルドマスターのトレントと申します。高名な冒険者様と思いますが何かご用でしょうか?」
男性は瞬時に私を観察するとギルドカードを私に見せた。
息を呑む!本当に高名な【ハミングバード】の2人だったからだ。
「ご要件は個室で伺います」と個室に案内する。
うちの若手は高名な冒険者を嗅ぎ分ける才能があるのが、カウンターでの対応をすれば必ず絡んでくる。
その場合、確実に返り討ちに遭い冒険者を辞めるものが多いのに見ていても学習しない。
個室に入り、改めて自己紹介し要件を尋ねる。
「私用で訪れ1泊したら帰る予定だ。冒険者は例え1泊でも知らせる義務があるから知らせに来た。」
「急で悪いけど、ステイサムへの護衛依頼があるか調べてもらえると助かるわ。」
ベテランであっても1泊だけ立ち寄るのにギルドに知らせに来る人は少ない、噂通り真面目で高潔なのだろう。
「失礼ながら御依頼で寄られたのではないのですね?」
「私用と言っただろ、答える必要あるか?」
興味本位の言葉に睨まれ叱咤された。
「あなた、この人副ギルドマスターだし話した方が良いんじゃない?」
そして、二人から弟子のスローくんの話を聞く、【不殺】スキルのこと彼の目的地。
うちの若手には格好のおもちゃだ. 目を光らせなければと考える。
「依怙贔屓はしませんが気を配るように致します。」
「それでよい、ヨロシク頼む、オススメの宿を教えてもらえるか?
何かあればそこに訪ねてくれ」
少し時間を貰い退室して、依頼と宿を調べてから個室に戻り伝える。
絡まれる危険性を考慮して裏口へ案内し見送る。
永遠のレベル1とは言え【ハミングバード】に愛される弟子に強く興味を持った。
お読み頂きありがとうございます!
少しでも多くの人に読んでもらいたいのでアホな企画を実行中!




