㉝動き出す
《ロブ街》
先駆けてロブに到着したケーラは、スローの手紙を関係者に配達するのに、若手の冒険者に依頼した。
※そういう依頼待ちの冒険者がいます。
その後、冒険者ギルドに行き緊急の報告があるとギルドマスターに面会を求めた。
事情を説明すると事が大き過ぎるため、領主に話合いを含め主要ギルドマスターとの話し合いが必要あると判断した。
スローがオットーや薬師ギルドと魔法ギルド、鍛冶ギルドにも手紙を出していたのでスムーズに集まった。
それでも話し合いは難航する。伝説の魔獣が安全と証明されても王国や他領の貴族が介入し大騒動は確実!
スローは事前に話を通せばスムーズと考えていたが想像以上に大騒動に。
★
《ロブ街郊外・奇人貴族ブライアン》
元貴族として、ヴァンダム領の未来と未曾有の危機に立ち上がらねばと、見晴らしの良い丘の上でティータイムと洒落込んでおる。
「旦那様、あの馬車のようです。」
「そうか、彼と会うのは二度目だが覚えてくれると良いのだがな。」
「旦那様と会って忘れる御仁は居ないと思われます。」
セバスの物言いに含みがあるが、自覚があるのでスルーする。
「どうなさるおつもりですか?」
「当初の予定通り【道化師の食卓】の後ろ盾になるさ、事が事だけに裏ではなく表になるがね。」
「多くの障害が立ちはだかりますぞ。」
「地位は息子に譲ったが余を想う者は数多く、敵対すれば傷つくのは向こうだな。」
ティーカップの紅茶を飲み干すと余は立ち上がりセバスが場所を止める。
「その馬車に【道化師の食卓】のスロー殿がいらっしゃるのなら止まってくだされ!
我が主【奇人貴族】ブライアン様からお話がございます。」
馬車は停止しスロー少年が降りてくる。
「少年、久しいな会うのは二度目だが余を覚えているだろうか?」
「もちろんです。強烈な出会いでしたから忘れられるはずはありません。」
「それは良かった。単刀直入に話すが【彼女】の事で上層部の話が纏まりきれておらん、なので余が安全性を見極める役を買って出た。」
「そうなんですか?彼女、ライカは危害を加えなければ何もしないと誓ってますよ?」
「少年も信用されているからこそ、余が出張ることになったのだ。ロブの街で少年の評判は良いが、対外的には誰それなのでな。
余は家督は譲ったが名の通った貴族であったから、この役目を引き受けたのだ。」
「旦那様は元ヴァンダム侯爵なのでご安心を⋯⋯一旦信じて頂けると。」
これもスルーする。あの出会いでは安心はできまいて。
「スローよ、そいつは信じてよいとライカは思うぞ。」
しゃがれた声だが気品と知性の宿る声、これが雷獣ヌエか!
「ライカが言うなら一旦は、信じますが彼女や仲間たちに危害を加えるならボクは他国に行く事も考えますよ。」
「そうならない用に信頼を勝ち取りたいと考える。街には向かえないので領兵の駐屯地へ移動をお願いしたい。
安心して欲しい、領兵でライカ殿をどうにかするつもりはない。確実に負ける故意味もない。」
少年が承諾すると同じ馬車に乗り込もうとする。
「え?この馬車に乗るんですか?後ろの馬車の方が立派ですよ。」
「ライカ殿の安全を見定める為には同行するのが一番!色々と語り合おうぞ!」
御本人の許可もあった事でスムーズに進むことができた。
ヴァンダム領の未来、王国の未来の為に老骨にムチを打つかな(笑)
「旦那様が楽しみたいだけでしょ。」
セバスのつぶやきが聞こえたがスルーする。
そんな当たり前のこと肯定できるか!(笑)




