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新章㉗Cランク昇格試験

今回から新章となります。

 数ヶ月経過した。

 商業ギルドマスターは領から調査が入り、財産を取り上げられ税を抜かれ商業ギルドに返却後、犯罪奴隷になった。

 関係者も軒並み同様の処分みたい。

 普通はギルドマスターの私腹を肥やした財産は、没収されるけど商業ギルドの弱体化は領の財政にも直結するのでこのようになった。

 現在は領の財政を担当する人が、悪さをできないように【契約魔法】で縛った上で担当している。


 ボク達【道化師の食卓】は、決闘後大人気になりメンバー全員が二つ名って事もあり指名依頼も多く順調だ。

 軒並み好評!でもボクだけは低い(苦笑)

 ボクは色んなヤラカシで冒険者以外の収入もあるしやっかみもあるんだろうな。

 薬草栽培、美味しい携帯食、ピーラー。

 オットーの屋台のプロデュースで屋台どころか屋敷を買える値段が貯まっている。


 ジェイ達、兄妹は若手指導で人気で

「トントンと下がってチラチラしてドンなの!」

「距離をとって観察して隙があったら攻撃。」

 マリーの感覚的な説明にジェイが通訳するのが好評らしい。


 ユアの場合は、ボク達の依頼に魔法ギルドの生え抜きの方が付いてくるようになった。

 未知の【穴掘り師】を調べるためだ。

 同様に職業魔法の調査と研究も盛んになった。


 コルトの活躍でドワーフの冒険者が増えた。

 あと義足どころか義手の研究も盛んになり他領からも注目を浴びている。


 冒険者ランクもGから始まったが今はDランクでCランクの話も出ているが少し揉めている。

 Cランクになると護衛依頼もあるので、盗賊を殺す機会も増える。

 【不殺】のボクはそれができないので問題にされている。


「スローくんの優秀さは証明されているし、特例を与えても良いと判断するが?」(トレント)

「しかし、彼に良くない感情を持つ冒険者も多いので慎重に判断すべきだ!」(冒険者ギルドマスター)


 結局Cランクには適性試験があるので、高位の職員が見定めて判断すると結論になった。

 高位職員が見極めるのは、本来はAランク以上らしい。

 適性試験は【魔物の消えた森】の調査。

 その影響で盗賊も増えたそうだ。



《高位職員バント視点》


 私が鑑定部門の主任であり、元Bランク冒険者でもあるから【道化師の食卓】の調査員に選ばれた。

 彼らとは接触する機会が無かった。

 彼らの依頼の多くは鑑定部門と関係ないものが多いので縁がなかった。

 だから新進気鋭で話題に事欠かない、非常に嬉しいが、検査員として冷静に判断しないといけないから距離感が難しい。


 適性試験当日、待ち合わせの馬車乗り場に行くと【道化師の食卓】のメンバーは揃っていた。

 冒険者は時間にルーズな人が多いのでポイントが高い。

 他には【魔法ギルド】のケーラ、【薬師ギルド】のマカが同行する。

 ケーラは【穴掘り師】の研究の為、マカは行く場所には特殊な薬草があるらしくついでに付いていく事に。

 もちろん2人には適切な距離感を持たせ試験に手を出させない。


「ねえねえスローくん、ドリル魔法で山に穴を開けるって発想スゴイよね?」

「アルデンテギルドマスターがこの間の差し入れのデザートがまた食べたいそうですよ。」

 スローくんと左右から腕を組んで話していた。

 独身である私には羨ましく感じるハーレム感!


「距離感保てよ!同行を許可してあっても彼らの緊張感を削ぐ行為をするなよな!」


「だから緊張感をほぐす為にお話しているんでしょ?」(ケーラ)

「スローくんはいつも通りに接したほうが頑張れる子ですよ?」(マカ)


「各ギルドの要請(圧力)で認めたが彼らを贔屓しているとの声もあるんだ。キミ達の行動が彼らの不利になるんだぞ!」


 この言葉には反省し、謝罪してくれた。

 彼らの試験官より2人の監視人な気がしてきた。


 調査する場所は距離がある為、手前まで馬車での移動になる。それまでは草原を通るので盗賊が襲ってくる危険も無いからだ。

 馬車を降りて森を歩くと盗賊の見張りの気配がするものの襲ってくる気配がない。


「マリーは盗賊にバーンしたいのに逃げていくの。」

「オレたちの名声が届いているんじゃないか?」


 兄妹は呑気に話しているが、事実は違う!

 ケーラとマカの顔を見て恐れ慄いているだけだ。ケーラは風魔法の使い手で新魔法の実験に盗賊を狙っている時期があり【実験師】と恐れられているし、マカは【呪い耐性】の持ち主で呪いの鎧を着てスタンピードを一人で制圧したので【災狂さいきょう】と呼ばれている。

 あくまで耐性なので鎧を着るとバーサーカーに近くなる。

 なので少し知恵のある盗賊には2人は恐怖の象徴だ。

 因みに私は普通のBランクなので二つ名は無い。当時のパーティに行けなくって辞めたので身体は健康。

 そこに触れると試験そっちのけで2人の話題になりかねないのでスルーする。


 森の中くらいに進んでも魔物の気配も鳥の鳴き声もしない。


「鳥も虫も見かけないのは、異常ですよね?」(スロー)


「ダンジョンの種が命を喰らっているのかもしれないわ。」(ユア)


 ダンジョンと地上の魔物は同じ種の魔物が存在するが性質や気性がまるで違う。

 地上の魔物は、比較的賢く連携もとるが、ダンジョンの魔物は兎に角気性が荒く本能的だ。

 一説ではダンジョンの種が多くの虫などの魂を喰らうので、そのような違いになったのではと考えられている。

 流石は、魔法ギルドマスターの孫、知識があるな。


「その線もあるけど、モンスターもいないのは解せない。徐々に大きな魂を喰らう筈だから虫と魔物がいないのは他にも原因があると思う。

決めつけて行動するのは止めよう。」


 流石はリーダーのスローだね。

 単純に推測するだけではなく、多角的に考えて用心する様に伝えている。


「皆、隠れて!絶対声出さないで!」


 そう言うと茂みに隠れる。

 私も他の面々も続く。元Bランクの私やケーラ、マカにも感知出来ない何かを察知したのだろうか?

 息を殺し永遠とも思える時間に耐えていると絶望を覚えた。


 レジェンド級の魔物、雷獣ヌエが現れたからだ。



お読み頂きありがとうございます!

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