㉒屋台をプロデュースすることになりました。
無謀企画も、もう少し
ルドさんはオットーの執事と言うかお目付け役の様な人だ。
最初に出会ったときは傍若無人な言動の多い彼を止めるどころか、補佐する意味不明な大人だった。
オットーがまともになると、的確に補佐をしているから優秀なんだとは思うが、謎の多い人なのだ。
「さてスロー様、屋台を買いに行きましょうか?」
オットーはトレントさんと後程話し合いがあるとかで、資料の準備とかでこの場にいない。
「屋台は自分で買うよ?貸してくれるだけの話でしよ?」
「それは存じております。
我がオットー商会は【ロブ】に来たばかりで唸るほどお金はあっても、貸し出せる屋台などは無いので買うしかないのです。」
「新しい屋台は貰えないよ?」
「あくまで屋台は貸し出し、その屋台で販売したらレシピを提供して頂ければこちらにも理があることなのです。」
ボクがプロデュースした屋台を管理するって話かな?オットーのことだから契約とかもして損をしない、やり方をするとは思うけど。
「そんなのオットーが損するんじゃない?
唸るほどって、いつそんなに稼いだのさ?」
「男子3日も会わねば何とやらですよ、オットー様ならば目を離した隙に大金稼ぐこともあり得ます。」
「悪いことして稼いだお金なら断るけど。」
「ご安心して下さい、今回は真っ当な方法で悪徳商人から巻き上げました(笑)」
「今回はって!怖くて詳細聞けないよ!」
「詳細は【企業秘密】で、お話は出来ませんが違って違法なことではありません。
ゲイブ達も久々にスロー様の食事を食べれると仕事を張り切っているのですから。」
ゲイブさんは裏社会のボスと言われても納得する容姿をしているが意外と礼儀正しく、曲がったことをしない人物だ。
元々特殊な職人を取り仕切る仕事をしていたらしい。
「めぼしい屋台は見つけていますので、参りましょう。」
ルドさんは穏やかな口調なのに、強引に屋台のある場所に案内した。
「少々年季はありますが手直しすれば十分使えますよ。」
「十分使えるところか、営業中じゃん!」
「もちろんです、スロー様のレシピを扱う人間も必要ですから人ごと屋台を買うのは、自然なことでしょう。
ご安心下さい、既に話は付けてあります。」
「何も安心できないよね?ボクが断ったらどうするのさ!」
「まあまあ、タラレバの話は今しても仕方がないでしょう。
ニギア、この方が貴女の上司になるスロー様です。神に仕えるつもりで励みなさい。」
「どんな紹介の仕方!?」
「ニギアは腕は確かですが商売ベタなのでスロー様のご指導に期待していますよ。
因みに未亡人でお子さんが2人います。」
「淡々と話を進めるし、断りにくいエピソードもぶっ込んだ!」
「⋯店長、子供の為に頑張りますのでヨロシクお願いしない!」
「こんなガキ!と思ったけど、空気を読んだ発言は高ポイントですよ!」
「スロー様に、そんな感情を!?この場から消えてもらいましょうか?」
ルドの殺気混じりの冗談に、ニギアは凍りついた。スローは慌てて彼女を庇う。
「そんな、殺し屋みたいな事言うからニギアさんびっくりしてますよ。」
オットーを含めてオットー商会の面々は、ボクを少しでもバカにされると怖くなるときがある。
前に理由を聞いたら、ボクの言葉でオットーが立ち直らなければ、ヤバい奴らに殺されていたそうで、命の恩人と思われているらしい。
真実なのかは、わからない。
「安心してください、ニギア。昔は兎も角今は命までは取りませんよ(笑)
スロー様の料理を食べれば、考えはかわりますしね。」
ルドさんの過去は何なのか、聞きたい気もするけど、知らないほうがよい気もした。
ニギアの屋台では、肉野菜炒めだった。
大きな笹の葉を皿代わりにして提供する料理だ。
味は悪くないが深みが無い、皿ではないからソースが垂れて服を汚す。
決闘の開催ははっきりしていないが、全く違う料理では時間が足りないと思ったので、ニギアの料理をベースに味を調整し食べやすさを重視することにした。
小麦で皮を作り、肉野菜炒めを包む。春巻きみたいなものにしてみた。
2人に提供すると
「流石はスロー様!前のも美味しかったですがパリパリの皮の食感と肉野菜炒めがよく会いますね!」
「服も汚れにくいですし、移動しながら食べれるのが最高です!」
大絶賛された。
「これなら【技神の食卓】は繁盛間違いなしですな!」
オットーが【最弱技神】というボクの二つ名が気に入ったらしく、店の名前にしたそうだ。
屋台を借りている立場だし、店の名前は別に気にしない。
もっと美味しくできるかを考えながら料理をしているとニギアの双子の兄妹アルとエルがやって来たので試食してもらうと、何故か「パパ」と呼ばれた。
ゲイブさん達は「唐揚げじゃないのか⋯」とガッカリしたが食べると夜食にするから何個か作ってくれと頼まれた。
オットーもやってきたので食べさすと
「ニギア、作り方は大丈夫か?安定して生産できるか?」
いつものようなチャラけた顔ではなく商売品の顔だった。
「小麦の皮付づくりに、慣れさえすれば大丈夫です。」
「決闘は2日後に決まったから、それまで励め。」
「2日後?随分早くに決まったんだね。」
「商業ギルドが賭けの胴元するのを渋って条件を付けていたから、決まらなかっただけで代わりが見つかれば早いさ(笑)
私は少し忙しくなるからルドに何でも指示していいからね。」
そうか2日後か、仲間達は大丈夫かな?
そう考えたけど、ボクの仲間は才能ある人ばかりだから悩むだけムダだと思い、料理の改良に集中した。
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