⑳なすり付け
無謀企画やってます
「貫けドリル!!」
昨日は吐いていたのに、嬉々として【ドリル魔法】でゾンビを攻撃するユア。
「駄目だよ!ユアお姉ちゃん、顔を攻撃したらお金にならないよ。」
「ごめん、顔がキモいからつい⋯⋯。」
「覚えたてなんだし、的の大きい体を狙えよな」
つい最近魔法を覚えたてのジェイ&マリーに注意されるユア⋯⋯シュールです。
一方ボクはコルトに武器の使い方を指導していた。彼はアイテムバッグに自作の様々な武器を持ってきていたので基本的な扱いを教えた。
普段から槌を振るっているから振り下ろしの攻撃は、どの武器でも申し分がないが突く、横に振る動作はぎごちない。
ドワーフは短足で動きながら動作をしてなかったからだと思われる。
「せっかくの義足があるのに脚を意識して!腰を捻るのも忘れないで!」
「そうだよな、意識してみる。」
コルトさんは職人だから基本の大切さが身に染みているから、歳下のボクの指導に文句も言わず従っている。
普通は少し覚えたら攻撃したくなるのにね。
親父を越えるという高い目標があるからだろうね。
※ドワーフは人族の2倍以上の寿命でコルトは32歳、人間で換算すると同い年。
コルトさんは自主的に練習をさせるとして、ボクはアルデンテギルドマスターの依頼をこなす為、森に入ろうとした。
すると森から冒険者達が飛び出してきて。
「ついてるぜ!なすり付けて逃げるぞ!」
と仲間の一人が躓いてコケたのを無視して逃げ出した。
冒険者の後からゴブリンが数匹飛び出してきた。様子がおかしいなと思ったら【ビッグボア(大猪)】という魔物が現れた。
おそらく、冒険者とゴブリンの戦闘で何かの影響で怒ったようだ。
「皆!腕試しのチャンスだ!ジェイとマリーはゴブリンを相手にして!
ユアはボクの前にいっぱい穴を開けて!
コルトは大斧でタイミングを伺って!」
それぞれの返事をすると戦闘態勢になる。
ジェイは移動時は、移動時は体重を軽く攻撃は重くすることで攻防一体の戦法を編み出していた。
マリーは小柄な体型を生かして、ゴブリンの背後を取り振動系の拳を叩き込む!
「リーダー、ドリルで攻撃したら駄目なの?」
文句を言いながらもボクの前方5メートルに直径40センチの穴を開けまくる。
「ユアの魔法は攻撃力高すぎるから、食べる所減るでしょ?」
「ガハハハ、それは勿体ないな!
自分が一撃で首を落として全部美味しく食べるとしよう(笑)」
ビッグボアはボクを見ると突進してくる。
レベル1なのを本能的に察知したんだと思う。
無数の穴に当然ハマりつんのめる。
コルトさんの渾身の一撃で終わりだ。
マリーの方を見ると森へ手を翳し、そこにジェイが飛び込んでいった。
ジェイが森から魔物を引きずってくると【ゴブリンメイジ】でマリーが魔法をキャンセルさせてトドメをジェイとしたみたいだ。
「これが初心者の連携!?」
自分で指示を出したけど、こんなにも思い通りに行くとは考えてなくて驚いた。
「スローの指示が完璧だったからな!」
ボクの背中をバンバン叩く。
「それ止めてと言ったよね(笑)」
初戦の快勝にボク達は笑顔で笑った。
★
《冒険者ギルド》
逃げ出した冒険者達は自分達の都合の良いストーリーを妄想して報告していた。
【死体漁り(したいあさり)】(スローの蔑称)が森で無茶をしてビッグボアを怒らせて襲われている!
トレントは話を聞いて、そんなわけがないだろと思いつつも自ら救出に向うべく指示を出す。
コイツをどう処分してやろうかと考えながら⋯⋯。
★
《ジェイ視点》
スローとコルトがビッグボアを解体しているのでオレとマリー、ユアの三人は薬効のある草を探して森の中へ。
ユアは【小鑑定】があるからで、オレたちはその護衛だ。
因みに冒険者に見捨てられた奴は、気絶していて起きないので放置した。
場所だけ確認したらスローを後で採取するそうだ。
【不殺】でレベルが上がらないけど、こういった使い道があるんだな。
「ユアお姉ちゃんは昨日と別人なの〜!」
「ゾンビ見てゲーゲー吐いていた人間とは思えない(笑)」
「その事は忘れてよ〜!
⋯⋯じゃないと頭にドリルして記憶消すよ(笑)」
「それ命消えるから!」
「それよりもリーダー凄すぎない?」
「アイツからしたら俺たちが天才だからと言うけどね。」
「マリーは天才〜!」
ユアはマリーの頭を撫でて微笑む。
「今日魔法を使ったワタシと最近魔法を知った2人を適切に指示するって難しいはずよ。
彼は何者?」
「師匠が居るとは聞いたけど、詳しくは聞いていない。出会って数日だし。
一つ言えるのは、スローはメッチャいい奴だ!自分がバカにされても怒らないけど、オレとマリーがバカにされたら正論でボコボコするんだぜ。」
「あの時のスローくんは難しい話で怖いの!」
「その話を詳しく教えて!」
「いいぜ、じゃあ話すよ【魔法ギルドを出禁になったかも知れない話】をね。」
「ま、魔法ギルド!?そこで誰をボコボコにしたのよ!?」
「スローくんはギルドとお友達になるかボコボコしかないの!」
「マリー、それは違うぞ少なくてもボコボコにしたのは魔法ギルドだけで、冒険者ギルドと薬師ギルド、多分鍛冶ギルドとは仲良いはずだぞ。」
「あれれ?商業ギルドは〜?」
「近い将来スローにボコられるとは思うけど今は接触してないよ。」
「確定なのね?」(ユア)
そんな話をしながらもユアは薬効のある奴を記憶していきます。
ある程度数が揃ったところで戻るとたくさんの冒険者に囲まれるスローとコルト。
その中には先程逃げた冒険者もいる。
「スローにボコボコにされるの〜」
「多分そうなるね(笑)」
ユアはうんうんと頷いた。
★
《コルト視点》
スローとビッグボアの解体をしているとたくさんの冒険者が現れた。
その中には副ギルドマスターまでいる。
魔物の解体は得意だと思っていたが、スローは料理人だけあって上手く学ぶ所が多く楽しかったが水を差された気分だ。
「やあスローくん、この辺りに出ないビッグボアが現れたと聞いてやって来たんだけど無駄足だったかな?」
ニコリと笑うが目の奥は笑っていない、何か企んでいる?
「どうもです、トレントさん。解体続けたままでも大丈夫ですか?」
「もちろんだよ。解体は手早くやるのが基本だからね。しかし立派なビッグボアだね!ギルドに卸して貰えるのかな?」
「コルトさんは欲しい素材とかありますか?」
戦闘では呼び捨てだったのに、またさん付けかよ。少し淋しいぜ。
「特にないな」
「お肉の良い部位は駄目ですけど、他は良いですよ。」
「それはありがたいね。ところでどういう経緯でビッグボアと戦ったんだね?
スローくんの強さは知ってはいるが新人で倒すには無謀に思えるのだが?」
スローは冒険者の中にいる逃げた冒険者を指差し
「その人達になすりつけられました。
ビッグボアは興奮していたし逃げられないと判断して迎え撃ちました。
ボクの仲間⋯⋯【道化師の食卓】のメンバーなら出来ると思ったので!」
どこか誇らしげな口調なのを聞き誇らしく感じた。
「あとゴブリン数体とゴブリンメイジも討伐しましたけど耳を提出したら報酬出ますか?」
「それはスゴイね!ランクアップも検討しないとね(笑)
⋯⋯でどういう事かな?キミ達の言い分と待つ全く違うのだが?」
副ギルドマスターの雰囲気が変わる。
「そいつらがビッグボアを怒らせたけど結局倒せただけの話だろ!」
「貴方方が見捨てた彼に聞けばわかることなのに、すぐバレる嘘を吐くんですか?」
「彼は生きているのかね?」
「呼吸はしてますよ。ボク達に魔物をなすりつける冒険者の仲間ですから、目覚めたら何をされるか分からないので介抱はせずに拘束していますよ
。」
「賢明な判断だ。
⋯⋯誤報告に魔物のなすりつけ、仲間を見捨てる、冒険者ギルドが禁止している事を3つもしているわけだが何か言い分はあるかね?」
4人のクズ冒険者は青くなったがリーダー格と思われる奴が口を開いた。
「ゾンビしか倒せない【死体漁り】の癖に何で生きているんだよ!ここは黙って死んで報告の手柄になれよ!!」
スローを死体漁りとか抜かしやがったな!
「この野郎!テメーがクソみたいな行為をしといて死ねばよかっただと!?
【道化師の食卓】のリーダーを舐めてんじゃねえぞ!」
こいつボコボコにしたいぜ!
でも、こいつら犯罪奴隷落ちで全財産奪われるしな⋯⋯悔しいぜ!
「決闘なの!」
「冒険者は舐められたら、おしまいなんだろ?
うちのスローを舐めたんだ落とし前はつけないとな!」
いつの間に戻ってきた、マリーの発言とジェイの発言に
「マリーは天才かよ!」(コルト)
「それは知っているの!(笑)」
「気絶している人を含めると丁度良いし良いんじゃないですか?」(ユア)
お前らも同じ気持ちかよ!パーティメンバーは最高すぎだろ!
「決闘は副ギルドマスターの権限で認めてもよいが5対5は認められない。
気絶している彼は、君たちに何もしていないし被害者でもあるからね。
事情を知って彼らと共に戦うとは思えない。」
「どうせ犯罪奴隷に決定だろ!受けるメリットがねえよ!」
「君達が勝利するなら冒険者資格の剥奪だけで済ませよう。」
「マジか!?なら【死体漁り】が出ないのなら受けてやってもいいぜ!」
また言いやがったな!殺さない程度に殺してやるよ!
お読み頂きありがとうございます!
なんでこんな企画しているんだろう?




