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⑲ドリルは楽しいよ

無謀企画実行中!

《ユア視点》


 昨日家に帰ったあと【穴掘り師】の事も【ドリル魔法】の事も家族には話せなかった。

 【魔法ギルド】のギルドマスターである祖父にも尋ねなかった。

 ようやく見えた魔法を使える事に水を差されると考えたからだ。

 両親に聞かれた最初だから上手くいかなかったと答えたけどワクワクを押し殺せたかは自信がない。

 未知の【ドリル魔法】への期待を抑えるのにワタシは幼すぎる。

 その夜なかなか眠れず朝を迎えた。

 家の者に何も伝えず若手冒険者のキャンプ地に向う。

 到着してから気がついたけど、どこで寝泊まりしているかわからないから入り口で待つしかない。

 ふと見るとワタシと同じなのか大柄の男性が入り口で大いびきで寝ていた。

 いつものワタシなら、うるさいとか下品と考えたけどワクワクを抑えるBGMには丁度良いと考えていた。


 しばらくするとリーダーとジェイ・マリーが現れた。マリーは少し眠そうでカワイイ♡

 声を掛けようとしたら大柄の男が目覚めていて、カバンから不思議な形の道具を見せて興奮してリーダーに話しかけていた。

 ワタシは声を掛けられず見守るしかなかった。


「おはよう、ユアお姉ちゃん!」

「おはよう、ユア」


「おはよう、二人とも!あの人は誰?」


「マリーは知らないよ〜」

「多分、ドワーフじゃないかな?昨日ドリルの事相談すると言っていたし。」


 ドワーフ?かなり大きいのだけど本当にドワーフ?髪は後ろで束ねていて、髭は無精髭くらいの長さで通常のイメージとは違いすぎる。

 ドワーフ(?)が手にする不思議な道具がドリルなのだろうか?

 ワタシはオズオズと声を賭けた。


「おはよう、リーダー。その方は?」


 本当はドリルについて聞きたいけど、彼とは初対面だし礼儀は大切だから我慢した。 


「おはよう、ユアさん、彼は鍛冶職人のコルトさん、彼にドリルの事相談していたんだ。」


「オッス、コルトだ!お前さんにはコイツが必要なんだろ?」


 手に持つ不思議な形のものを渡してくれた。

 △に棒が付いていてハンドルも付いている。


「ありがとうございます、おはようございます、ユアです。」


 持った瞬間高揚して、礼儀がよくわからなくなった。


「使い方はここを持って右回りにハンドルを回すんだ!」


「これが【ドリル】!ワタシの魔法⋯⋯」


 クルクル回転させながら、静かに感動していた。


「なあスロー、ドリルはもっと種類あるんだ?

全部教えろよな!」


「まだあるんですか!?」


 ワタシは興奮して大声を出してしまった。はしたない。


「大きく分けて2つしか知らないよ?」


「2つも!楽しみだぜ!!」

「本当に楽しみ!」


 コルトさんもワタシも顔が輝いている。


「自分は約束を果たしたから、次はスローが果たす番だぜ!」


「その前にその脚は?竹馬を教えたのに何で義足になっているのさ?」


「作って試したけど、中々修練が必要だしな。戦うのには少し向かないから義足にした!」


「あれは移動手段で戦闘は別プランを考えていたんだよ?」


「ガハハハ、そうなのか?」


 リーダーの背中をバンバン叩く。


「ボクはレベル1だから体力減るからやめてくれる?」


「おう、悪い悪い!」


「レベル1?」


 リーダーは固有スキル【不殺】の事を教えてくれた。

 そして、属性魔法の適性が無いことも。

 ワタシと似ているね。だから親身になってくれたのかなと?心が温かくなった。


「ねえねえ、マリーもクルクルしたいよ〜」


 マリーにドリルを渡した。


「皆、今日から【道化師の食卓】に参加するコルトさんだよ、ヨロシクね!」


「鍛冶師のコルトだ!武器のメンテは任せろよな!」


 マリーとドリルを回しながら楽しくなりそうだと思った。



《スロー視点》


 ギルドに行くと掲示板を見て依頼を吟味する。

 ボク達が狙うのは、人気のないやつなので吟味して選ぶ。

 

『薪に使う森の枯れ木を三束求む。60デン

※多ければ追加報酬あり』


 こう言う依頼は薪が嵩張るから人気がない.ボクの場合はアイテムバッグがあるから大丈夫だけどね。


「討伐の依頼は残ってないんだな。」(コルト)


「討伐系は激戦だからね、仕方が無いよ。

ボク達は初心者ばかりだから、ゾンビで試すのがよいと思う。」


 幸いな事にうちのパーティメンバーはお金に困ってないので、背伸びして討伐を依頼をするより基礎技術を上げたほうが良い。


「受付で『パーティ登録』もするからコルトさんは付き合ってね。」


 昨日、常時依頼『ゾンビ退治』の報告の際にパーティ【道化師の食卓】の登録はしてある。

 並んでいると、いつもなら何かしら絡んでくる奴も居なくて快適だった。

 コルトさんがイカツイからかな?

 義足の上げ底だけど(笑)


「おはよう、スローくん。

君には指名依頼入っているけど受けますか?」


「おはようございます、ビビさん、どんな依頼ですか?」


 彼女はビビさん、猫の獣人でトレントさんがいない時に担当することが多い。

※この世界の獣人は顔が獣タイプ


 指名依頼は通常の依頼料より高めだけど、失敗すると信用も失うリスクもある。

 内容も聞かず返事は出来ない。


「薬師ギルドから薬草以外の薬効のあるものを種類多く採取して欲しいと書いてあるわね。

報酬は薬師ギルドで鑑定して通常の2倍で買い取るとなっているわ。」


 アルデンテギルドマスターは薬草以外も栽培する気なのかな?


「なあ、姉ちゃんレアな薬効ある奴も2倍なのか?」


「おそらく、でもスローくん限定ですからね。

コルトさんがどこかで買ったのを提出しても駄目ですからね。」


「ウケますよ、あとコルトさんを【道化師の食卓】に登録お願います。」


「話進めるなよ、何でスロー限定か聞いてないぞ。」


「後で話すから登録をしようよ。」


 【不殺】の事をここで話すとまた絡まれて面倒だからね。



 スローは絡まれなくて安堵していたが彼の知らないところで批判の種は、静かに開花を待っていた。

お読み頂きありがとうございます!


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