⑫矢印魔法
無謀企画やってます
《某食堂・スロー視点》
お店の邪魔になるから場所を移動した。
2人の権限で貸し切りになる。
何故かアルデンテギルドマスターとガバメント店主は別のテーブルで揉めている。
二人とも自分の仕事をほったらかしでよいのだろうか?
「スローは、魔法知識とかスゴイな!俺の魔法はギルドで意味不明と言われたんだが、考えてくれないか?」
「詳しくないですけど、話を聞けば推測できますよ。
どう言う魔法で使った経験を教えてくれますか?」
「【矢印魔法】といってピンチな場面で使うと正しい道を選択する感じだ。
魔力消費が大きいから普段は使わない、切り札なんだ。」
「うーん、未来予知系の魔法だと思いますよ。
魔力消費が大きいのは命を掛かった場面だと思いますよ。」
「マジか!?俺の魔法そんなにすごいのか!」
「今聞いた話から推察ですから、試さないと分からないですけどね。」
お店から空のカップを3つ借りて一つにコインを入れてシャッフルしてイーノさんの前に出す。
「ベテラン冒険者をなめるなよ、魔法使わなくても真ん中だろ!」
カップを持ち上げるとコインがありました。
「イーノさんの魔法の試しなのに魔法使わないでどうするんですか!」
「確かに!」
「今度は後ろ向いて耳を塞いで下さい。」
そのスキにカップを増やしてコインを入れた。
良いですよと肩に触れる。
「うお!カップが増えているし!!だが【矢印魔法】!!
コイン2つ入ってないか?」
「正解です!魔力消費はどうですか?」
「いつもより少ない。スローはスゴイな!!」
「イメージした事の正しいルートを選ぶのだと思いますよ、色々試してみるよ良いですよ。」
「おうよ!」
「ギャンブルには使わない方がいいですよ」
「え? なんでだ? 当たるんなら最高じゃねえか」
「魔力消費が激しいんでしょ? 1回の試行に全魔力を注ぎ込むような使い方は、効率が悪すぎます。それなら、もっと日常的で、かつ『失敗しても大したことない場面』で使って経験値を積むべきです」
「……経験値?」
「今の僕の実験みたいに、カップの中身を当てるくらいの低コストな試行を繰り返して、脳と魔力の同期速度を上げるんです。そうすれば、いずれは『魔力消費の少ない、自分に最適なルート選定』が直感でできるようになるはずですから」
「……お前、冒険者を何年やっているんだ?」
イーノさんはポカンと口を開けていたけれど、僕はただ、自分のスキル習得の経験則を話しただけだ。
すると、隣のテーブルで揉めていたはずの二人が、いつの間にか僕たちの会話を食い入るように聞いていた。
「……なるほどな。魔法とは『力』ではなく『最適化』のプロセスか」
とガバメント店主
「魔法ギルドの連中が『意味不明』と切り捨てた魔法を、いとも簡単に論理化するとは……スロー、お前、何者なのだ?」
アルデンテギルドマスター
……あ、しまった。
また、妙な人たちを感心させてしまったみたいだ。
「ちょっと考えたらわかりますよ。」
「スローは天才なのじゃ!」
この考えは前世に基づくものだから、天から与えられた才能と簡単に言ってほしくない。
「検証も努力もしています!簡単な言葉で表さないで下さい!」
「悪かったのじゃ!」
「謝ってくれるなら、良いです。で話し合いはどうしましたか?」
「うむ、スローの二つ名【最弱技神】【強心臓】2つともお似合いと結論が出たのじゃ!」
「何の話し合いしているの!ボクと話す順番じゃないの!?」
「そっちか?それはガバメントに譲ることにしたのじゃ。」
「坊主、いやスローちょっと【皮むき機】の事で話し合いをしよう?」
店の隅にドナドナされて、特許申請とその技術を使う権利についての契約の話だった。
この世界にも特許がある。話を聞く限りボクよりも前世の記憶がある人物が定着させたものみたい。
特許料も支払われるらしく、屋台資金の足しになるかもと内心ニッコリしていた。
解放されるとイーノさんの【矢印魔法】の検証を皆で和気あいあいとしていた。
「長かったな【魔法ギルド】の話をしていたのか?」(イーノ)
余計な話をした為、興味を持ったアルデンテギルドマスターとガバメント店主にボク達は長い間拘束される羽目になる。
二人とも魔法ギルドには思うところがあり、ボクの行動に興味津々のようだ。
★
《魔法ギルド・ギルドマスター室》
私は頭を抱えたくなるのを抑え、威厳を保ちながら報告を聞く。
昨夜の決闘で彗星のように現れたスロー少年。色々調べていると【不殺】と言う不遇とされるユニークスキルの持ち主だった。
薬師ギルドのアルデンテが興味を示しているから、ただの不遇スキルではないのは明白だ。
魔法とスキルの探求者として少年とコンタクトをどう取るか考えていたのに、愚か者共は何してくれるのだ!
「報告は以上です。どう対処しますか?」
ロビーの責任者の報告が終わり、私の決断を待っている。
「アットは謹慎させ、反省文を書かせろ!ロビーにいた職員には報告書だ!」
「あの冒険者には無いのですか?」
「報告を聞く限り、落ち度はこちらにあるのに対処するって何様なのだ?
少年の発言は正しいし、言葉は違えど改める用にと私は伝えていただろ!」
魔法ギルドの総合的な売上は悪くないが、ロビーでの売上は極端に低い.愚か者共の歪んだエリート思考が傲慢な態度になっているからだ。
「現場責任者のお前の責任問題でもあるのだぞ、発言には気を付けろ!
悔しさ紛れにロビーで攻撃魔法を仕掛けようとするなどあるまじき行為だ!
お前も含めて1ヶ月の減給と研究所への配置構えは当面ないと伝えよ!」
「⋯⋯わかりました。」
「少年の言葉を深く考えるのだ、知識の探求者としてな、行け!」
部下を退室させ。
部屋に1人残され考える。
逆に言えば、少年に謝罪と言う大義名分が得たのだ、悪いことだけではないし、魔法ギルドに新たな変化になるきっかけなのだからな。
私は書類整理の仕事に戻った。
お読み頂きありがとうございます!
スパイダーマンブランニューデイが来月ですね。
私は東映スパイダーマンで育った世代だったのでスパイダーマンは日本のものと思ってました(笑)




