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音間さんは天才? 4

 ホール内の席は既に六割くらい埋まっていた。まだ開始まで五十分以上あるのに、やはりあの天才・音間麗美の研究について聞けるとなれば、それくらい早くから人が集まるものなのだろう。


 音間さんのことは、大学に入る数年前から知っていた。高校生だった時期から大学で行うような研究分野に足を踏み入れていたらしい。


 高校に通いながら大学で研究もするという、多忙な生活を送っているのだと、マスコミにこれでもかとアピールされていたものだ。そういう特別な研究奨励制度? があったらしい。


 一般人はもちろんのこと、同じ大学の同学年であるはずの自分から見ても、雲の上の人間だ。さっきまでは楽しく談笑していたが、ここに集まっている人数が、その事実を再認識させてきた。



 ホール出入口付近、ステージ向かってやや右側の席で、俺はひたすら講演開始を待っていた。


 開始時刻になると、会場全体が薄暗くなり、ステージ脇から音間さんが登場した。スーツに着替え、無表情だがどこか緊張を感じさせる様相を呈していた。


 巨大なスクリーンに、講演用スライドが投影され始める。


『EL・ELN技術によるデータ送受信の活用法』というタイトルだ。なんだか本格的なように見える⋯⋯。パンフレットには『一般の方にもわかりやすい発表です』と書いてあったが、なんだか学会発表みたいな雰囲気だ。


「みなさん、本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。早速ですが、自己紹介から始めたいと思います」


 音間さんの声は落ち着いていた。自分は誰で、どういう人間で、なんの研究をしているのか。簡潔だが丁寧な自己紹介だった。


「本題に入りますが⋯⋯。みなさんはEL技術についてどのくらいの知識を持っているのでしょうか。最近はニュースでもよく見かける名前ですから、ある程度どういう物なのかのイメージくらいはあると思います。

 ⋯⋯基本的なところから説明しますと、ELというのはElectroencephalographic Linkの略で、直訳すると脳波交信とか、脳波通信といった意味になります。その名の通り、脳波による情報通信の技術のことです。

 そしてELを用いて複数人で相互的に情報通信を行う通信網のことをElectroencephalographic Link Network、略してELNと言うわけです」


 ⋯⋯音間さん、全然噛まないなぁ。すごい。


「EL技術の基本は、脳波を電気信号に置き換える行為です。

 これまでも、例えば義手に用いられているような、肉体の動きを電気信号に変換する技術は盛んに研究され、現在でもあらゆる分野で用いられています。

 そのような既存の技術とELの決定的な違いは、頭の中で考えたことを、そのまま出力できる点にあります。

 ──例えば『こんにちは』と考えたら、そのままの文字列を出力して、txtファイルに変換する⋯⋯というようなことが可能になります」


 それってめちゃくちゃ凄いことなんだけど、音間さんはその研究の最前線で活躍しているんだよな⋯⋯。


「さて、話してばかりなのも退屈でしょうから、この辺りで一度実践してみようと思います」


 そう言うと音間さんはステージ脇から台車を押してきた。その上には巨大な箱のようなコンピューターと、ヘルメットのようなデバイスが用意されている。


 二つの機械は太いケーブルの束によって繋がれ、鈍い駆動音を響かせている。


 これから音間さんは、こんな最新技術を使う様子を実際に披露してくれるらしい。

これ実際できたらすごいと思う。

次回で講演終わるので、もうちょっとお付き合いください。

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