怠けて待つ女神
かっこよくお城から出て、王都の空を飛んで、魔物の森と呼ばれるところまで飛んできた。ここは、ゲームでもレベル上げに何度もお世話になっていた森だ。森に降りると、魔物の森というだけあって、魔力が満ちている。その魔力の影響か。植物や生き物が変質している。虎などの大型動物、馬鹿でかい鳥、角が生えた兎のようなものまでいる。
さて何するか?どうせ、魔神が復活するのは5年後なんだし、焦る必要もないか?
勇者パーティーはあれからどうしただろうか?
真面目な主人公だから、もしかしたら、真面目に勇者するのか?
5年間何をしようか考えていると、ゲームでやった時の学園生活を思い出す。勇者パーティーは修行のため各国を回るのだが、隣国に訪問した時、勇者パーティーが学園の生徒に臨時講師として、剣や魔法を生徒に教えていた。
あの時に、勇者が教えていた女生徒達、かわいかったよなぁ
そうだ。俺、学校に行こう。そうすればかわいい女子たちと一緒にいても!
いいねぇ!よし決めた。俺、隣国の学園に通おう。
たしか、実力試験で上位の生徒は授業料やその他もろもろが免除になるんだったかな
そうと、思い出せば善は急げ、まずは今の自分の姿、人から見れば、18~22歳くらいだろう。女神に歳がどうのこうというつもりはないが?無限の命があるから寿命は関係ない。目をつむり、身体を幼くしようと願うと、身体が縮んでいく。気が付くと、幼稚園生くらいの身体になっていた。
「これは、小さくなりすぎだわ」
今度は、大きくなるように願うと、身体が大きくなっていく。そして、15歳くらいの年に見えるくらいの身体になるよう頑張る。
「よし、こんなものか?」
ちょうど、これから1か月後が、隣国の学園の入学式だ。
何しようか?魔物を倒してもレベル上げにはならないし。
自炊するか?でも女神だから腹減らないし
どうしましょ?
適当に森の中をブラブラと散歩する。仕事も責任も義務もなく、ただ何も考えずに歩く……ああ、何と解放的な事だろう。佐々木だった頃のことを思い出す。時間という有限で貴重なものを無意味に浪費するという最高の贅沢。それを堪能しながら歩いていると木陰から鹿や兎、元の世界にはいないよく分からない動物などが出てきて女神の周囲にまとわりつき出した。
襲ってこないなぁ?
女神だからかなわないと本能でわかるのか?
まぁ、無意味な殺生はしたくないし
とりあえず最初に説得を試みた。その結果、何故か上手くいった。自らの感情を少しだけ魔力に乗せて意思を伝えようと試みてみたり、逆に空気中の魔力に流れ出した彼等の感情を読み取ったりして、色々とやった結果、少しくらいならば意思の疎通が出来るようになった。意思疎通をしてみた所、助けを求められたり食べ物をせがまれたりしたので要望に応えてやった結果、こうして懐かれた。
木を背もたれにして座った俺に、熊……いや、やっぱ熊サイズのパンダもどきがゴロゴロと喉を鳴らしながら頭を擦り付ける。
おお、ゴロゴロいっとる……すげえ変な音……
かわいくはないが、まぁ、いいか
巨大パンダもどきの喉を撫でながら、俺はこの時間を楽しんでいた。
◇
女神だからなのか、時間の感覚がおかしいと感じながら、気が付けば学園の入学試験が明日に迫っていた。
「やばい、着替えどうしよう。流石にこの純白のドレスだった服を着ていくわけにはいかない。洗っていないからなぁ」
一か月、ずっと同じ服を着ていたから、純白からだいぶ汚れたドレスになっている。しかも学園に行くため、小さき服が必要だ。新しい服を用意しようと思った俺は森でとれる鉱石をギルドで買い取ってもらおうと考えた。女神が降臨した国ではちょっと無理と思ったから、隣国のギルドに向かう。もちろん大人の姿で、
「すいません。ギルドで買取をしてほしいのですが」
俺が入ってくると中の人が全員驚く。あるものは女神の顔に、あるものは女神の身体に、そして汚れているドレスに、気にすることなく、むしろ注目を受けて気分がいい、俺は堂々と歩いていく。
「これ、買い取っていただけませんか」
「これ、まさか?ミスリル鉱石ですか」
「はい、よろしくお願いします」
しばらくして、買取係が金貨の入った袋を俺に渡してきた。
「金貨100枚になります」
まぁ、妥当なところか、ゲームでもミスリル鉱石の価格はこのくらいだったし。
「ありがとう」
俺がにこりとギルドの店員に微笑みかけると、全員が頬を赤くする。俺がギルドを出た後もしばらくは無言の時が流れた。お金もはいり、次は服屋で明日着る庶民風の服を買って店を出る。服屋の店員は、さっきのギルドの店員とおなじ反応だった。
◇
魔物の森に飛んで帰った俺は、15歳の身体になり、ドレスを脱いで、服屋で買った庶民風の服を着ようとする。実はこの服、本当は高い服で金貨50枚もする。日本円で50万円。安い服ではない。流石に女神に銀貨5枚の服、日本円にして5千円の服というのもないだろうと思い。見た目は庶民風だが実は高いという服を着てい行く。着替えるとき、女神の胸をもんだりしたのだが、自分の身体のためか、興奮はしなかった。
元の世界で、写真とかとってSNSにあげたら、バズリまくりだろう
ちょっと悲しいかな、いや、むなしいのか?
考えるのをやめ、着替え終わった女神の周りに魔物たちが集まりだし、幻想的な光景を作り出していく。
「よし寝るか」
俺は明日のために、寝るのだった。
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