第四章(1)
ドクンドクンと脈打つ心臓のリズムは一定に。目を閉じて、肺に空気を取り込む。その取り込んだ空気が体の隅々まで行き渡るようなイメージを思い描く。
それを五分ほど続けたところで、ゆっくりと目を開けた。それがリルアルドの上位騎士、ハイド・シュナーベルの準備運動のための準備である。
そうして精神を安定させると、次に体の筋肉を解す。できるだけ丁寧に、満遍なく。
それを終えるとようやく訓練を開始する。
ハイドは一般の騎士とは違い、剣のような武器を使わない。格闘術、それも蹴り技を主体とした珍しいタイプだ。腕も決して使わないわけではないが、その役割は主に防御にあてがわれる。
鍛冶屋に作らせた専用の武器はそれに合わせたガントレット、膝から下を覆うグリーブ、そして鉄板の埋め込まれた靴だ。
その武器に合った動きを一つ一つ確認するように体を動かすハイド。さらに速度を一段階一段階上げていく。出せる風を切る音が一番高くなったところをキープし、ハイドはそのまま三十分ほどその場――王城の片隅で体を動かし続けた。
周囲の芝生がなくなり、地面が無防備になったところでハイドはようやく止まり、「ふぅ」と息を吐き出した。息はほとんど乱れていない。心臓の鼓動の間隔もあまり変化はない。
それを確認したところで、パチパチと手を叩く音が聞こえてきた。ハイドはそちらに目を向け、すぐに膝をつくが、その拍手の人物は「よせよせ」とうんざりした声で言った。
「ここにいるのは俺とおまえだけだぞ。公的な立場なんて忘れろよ」
「しかし、陛下。そういうわけにも……」
依然として顔を上げようとしないハイドに、ユーゼスはこれ見よがしに盛大なため息を吐いた。
「前々から言ってるだろ。私的な場の時は友人として接しろって。俺が王位を継ぐ前からな。それどころかつい三日前も同じことを言ったはずだが?」
これは会うたびにお約束となりつつあるやり取りだった。その恒例のやり取りを終えて、ようやくハイドは立ち上がった。ズボンに付いた土を軽く手で払い、ハイドとユーゼスは同じ目線に立った。お互いに笑みを交わす。
「おまえのその堅物なところはいつになったら直るんだろうな」
ユーゼスが水筒を差し出し、それを受け取るハイド。
「性分だから治る見込みは少ないかもな。騎士学校の教官なんて立場をやってると、この性格で救われることも多いから直すつもりもないけどな」
先ほどとは違う地の口調で答えてからハイドは水筒に口を付けた。ただの水かと思ったが、中身は程よく冷えた紅茶だ。
「その性分が訓練の理由か? 教官としての仕事も騎士としての仕事も忙しいだろうに」
「それもあるだろうけどな。単純に日課だからだろう。いつも朝と夜に訓練してるんだけど、今日はできなかったからな」
ハイドは口元を拭って答えた。現在の時刻は昼前。本来ならば騎士学校で教鞭を振るっているはずの時間帯だ。この時間帯にハイドが城にいることは異例である。
無論、サボっているわけではない。ハイドは騎士学校の教官である前に、このリルアルドの上位騎士だ。今回はその立場が優先されたということである。
その立場が優先された理由は、侵入した『銀』にある。その対策会議が先ほどまで行われていたのだ。先日の一件もあり、その対策会議は極めて重要性の高いものになっていた。騎士学校の方は別の教官に任せ、ハイドは上位騎士としてそちらの会議に参加していた。
その会議は朝から行われていたので、日課である朝の訓練ができずに今の時間にこうして体を動かしているのである。
「朝から会議室に閉じこもってたからな。気分転換って意味合いの方が強いのかもしれないけどな」
「気分転換に修行って……。堅物過ぎるのも考え物だぞ、ハイド。アインみたいを少しを見習ったらどうだ?」
「……あれをか?」
ハイドはアインの会議中の醜態を思い浮かべて、苦々しく言った。
「二日酔いで会議中、ずっと頭を押さえてる騎士なんて前代未聞だろ。酒臭くて全員から微妙に距離を取られてたことに気付いてたんだろうか?」
「わからんが、気付いてたとしても、それであのアル中が酒を断てるような殊勝な性格をしてるとは思えん。ったく、俺の取っておいた酒をほとんど一人で空にしやがって……」
昨夜のアインの所業に唇を尖らせるユーゼス。ハイドは下戸なのでよくわからないが、国王秘蔵のワインだけあり、相当にうまかったようだ。その代わりに度数も高かったようで、その結果がアインの会議中のあの態度だったわけだが。
「そのアインは?」
「ヴェルの店。せっかく騎士学校休みになったんだから、迎え酒するんだと……」
ユーゼスは引きつった笑みを浮かべてそう言い、ハイドは頭を抱えた。
「あいつ、本当に病院で診てもらった方がいいレベルのアル中じゃないのか? 騎士としての自覚もなさそうだし。上位騎士としての権利は剥奪した方がいいような気もするんだが」
「確かに騎士としての品性は皆無だが、強さはぴか一だからな。それにいざとなったら頼りにもなる。さすがは音に聞こえた『血風』ってところだな」
それはクロムガルドでアインに与えられた二つ名だ。騎士団長として戦場を駆け抜けた経験と実力は確かなものであり、有事の際は頼りになるのは間違いないだろう。もっとも、それがわかっていながらも、あの醜態を幾度となく目撃している身としては騎士の資質に疑問を感じざるを得ないのだが。
「騎士というか、野党のボスってのが一番しっくりくるな」
「ハハ。荒くれ者なのは間違いないからな。――っと」
ユーゼスは笑うのを止め、城の方に視線を向けた。城の中からはユーゼスを探し回る声。ユーゼスはそれを聞いて、後頭部を掻きながら苦笑した。
「どうやらもう自由時間は終了みたいだな。昼飯食ったら、公務が待ってるのか。しかも、会議のせいでできなかった午前中の分も上乗せされてるんだろうな……。まったく、本当に迷惑な奴らだな、『銀』って。ところで、昼飯でも一緒にどうだ?」
「ありがたい申し出だけど、アインと打ち合わせをしておかないとな。警備の交代について」
ハイドはユーゼスの背後に駆け寄ってくるメイドの姿を確認する。
「それでは陛下。失礼いたします」
ハイドは恭しく一礼して去る。相手は国王。人前であんな気安い態度を見せるわけにはいかない。
汗を流すと、ハイドは王都に出る。慣れ親しんだ町の匂い。昼飯時なので、美味しそうな食べ物の香りがそれに加えられる。その空気を全身に浴びながら、ハイドは城門の前で軽く伸びをした。
このリルアルドにやってきたのは、まだ成人もしていない子供の頃のことだった。あれから十年が経ち、ハイドは今や上位騎士の一人である。
ハイドはこの国に返しても返し切れない恩がある。そして、それ以上にこの国を愛していた。だからこそ、この国を支え、守れるような人間になりたいと成人する前から考えていた。騎士という職業はまさにうってつけだったと言える。
大通りを歩く。普段は騎士学校に詰めているで、平日のこの時間帯に大通りを歩くのは何となく慣れない。やはりユーゼスの指摘通り堅物な部分が影響しているのだろう。あるいは小心者なだけのようにも感じられる。
そういう意味ではこの女騎士は本当に大物なのだろう。もしくは、ただ単にいい加減なのかもしれない。
「よ、ハーイド。あんたも一杯やりに来たの?」
大通りに面した酒場。店主の趣味なのか、古今東西様々な酒が並ぶ店の中。だが、今は昼飯時なので酒の香りよりも、料理の匂いの方が勝る。この店は種類の豊富な酒もだが、料理が上手いことでも有名なので、昼食時は夜と違った顔ぶれで賑わいを見せる。
そんな中、カウンター席の一角を陣取っている女性が一人。上位騎士のアインである。その片手には昼間にもかかわらず、エールが注がれた大ジョッキが握られている。
『銀』が入り込んでおり、いつ騎士としての任務があるかわからないこの状況での飲酒にハイドは苦い顔をするが、これがアインという女性だ。そして、それに慣れつつある自分にハイドはわずかに恐怖を感じる。
「おまえな、少しは自重しろよ。会議中、ずっと『頭痛い』って言ってたくせに」
「だからこうして迎え酒してるんじゃない。二日酔いにはこれが一番よ」
一人で静かに食事を楽しむのが好きなハイド。本来ならば、何かと騒がしいこの女性の隣になんて座りたくないのだが仕方がない。ハイドは渋々彼女の隣の席に腰を下ろした。
ハイドは店主のヴェルに魚料理を頼み、ついでに注文したオレンジジュースを一口飲んだ。それから話を切り出す。
「で、夜の警備体制のことなんだが……」
昨日の墓荒らしのことは情報屋辺りが掴んでいるかもしれないが、機密事項には変わりないので小声で話す。すると、アインはあからさまに不満そうな表情を浮かべた。
「あんたねー、真面目過ぎるのも考えものよ。食事時ぐらい仕事以外の話をしたらどうなの?」
「俺としては食事時ぐらいおまえに仕事の話をして欲しいんだが?」
「そっけないわねー。まだあたしのこと嫌ってるわけ?」
「……別にそういうわけじゃない」
そう答えはしたが、正直に言うとハイドはアインのことがあまり好きではなかった。
だが、ユーゼスの言う通り騎士として頼りになるのは間違いない。その辺りのことは、当然認めていた。
アインもそんな質問をしたものの、別にハイドにどう思われていようと関係ないようで、特に気にした様子もなくつまみの唐揚げを一つ摘まんだ。
それを咀嚼しながら、アインは懐に手を伸ばす。
「こういう時実感させられるわね。紋章術ってとてつもなく便利なものだって」
そう言ってアインが取り出したのは縦に長い一枚の紙だった。それには落書きのような紋様が所狭しと描かれている。
これは何の変哲もない紙に紋章術が施されたものだった。特性は『通信』。同じ紋様を描かれたものと対になっており、遠くに離れていてもそれを持った人間と会話ができるというものだ。同じ紋様を描くという恐ろしく面倒な予備動作が必要な上に、使える時間は丸一日という欠点はあるが、使いようによってはこれ以上ない利便性を発揮できる紋章術である。
余談だが、この紋章術の使い手は最近騎士になったばかりの若者で、騎士学校時代はアインの小隊に組み込まれていた。
「さてさて、ハイド君の言う通り、少しは真面目に働きますかね。キール、聞こえる?」
対となる紙を持っているのは、現在もアインの部下をやっているキールだ。
四六時中、通信の特性は発揮されるわけではない。その紙に向かって話しかけると、特性が発揮される。その特性が表に出された瞬間、返事の代わりに言葉とは言えない声と水が地面を叩く音が聞こえてきた。経験則からかその音の正体にすぐに行き当たったようで、アインは顔をしかめた。
「あんたね、今吐いてるでしょ。汚いわね。こっちは食事中なのよ。もう少し気を使わないとモテないわよ」
『そっちから連絡してきて、ずいぶんと勝手なことを言いますね……』
至極ごもっとな意見が紙から発せられた。キールの声だ。
『大体誰のせいだと……。あんなに飲ませておいて、ここまで早馬で行けって……。誰だって吐きますよ……』
キールは息を弾ませながらそう言った。ハイドは酒を飲まないのでいまいちピンと来ないのだが、昨日ほぼ無理矢理にしこたま飲まされて、激しく揺れる馬に乗れば、誰だって気持ち悪くなるだろう。その証拠に「うぷ……」という胃の奥から声が漏れると同時に、固形物を含むような水音が紙から聞こえてきた。
アインは顔をしかめてから、ハイドにその紙を渡した。心底勝手な女だと思いつつも、ハイドはそれを受け取る。キールが息を吐くのを聞いてから、ハイドはその紙に向かって話しかけた。
「カウンティ、大丈夫か?」
『え? あ、ハイド教官ですか?』
「そうだ。……おまえも大変な上司を持ったものだな。心の底から同情する」
『まあ、これぐらいは日常茶飯事ですけどね。遠征に行けば、もっと大変な目に遭うこともありますから』
その答えを聞いて、ハイドはさらにキールを哀れに思った。アインが睨んでくるのを無視して、ハイドは本題に入る。
「カウンティ、もう到着したのか?」
『ええ。予定よりはちょっと遅れましたけど』
キールが今いる場所は王都からほど近い『サン』というリルアルドで一番大きな港町だ。小さな漁船も多いが、他国との交流が盛んな場所で大きな船の行き来もある町である。
彼がその町に向かった理由は『銀』の捜索だった。
『団長』なんて大物が最初からリルアルドにいたわけがないので、彼らは本国からやってきたのだろう。そうなると、今回の奴らの動きは相当に迅速なものだと考えられる。一日一便しか往復しない正規の船を使うとは考えにくい。
だとすれば、潜入は秘密裏だったはずだ。いくら色んな訓練を積んでいる『銀』と言えども、さすがに泳いでここまではやってきていないはずなので、海を渡れる大きな船で近くまで来てここにやってきたと考えるのが妥当である。そうなると、小型の船のような痕跡が残されているはずだ。
その確認、あるいは移動手段の破壊がキールに与えられた任務だ。
キールは元『銀』。彼らの痕跡を探すのにこれ以上ない適任者だろう。無論、まだ騎士見習いの彼を単独で使うということは色々と問題があるのだが、今回はその重要性を鑑み、例外とされることになっている。そのため、イヴと同じく騎士学校を公認で休んで、任務に励んでいるというわけである。
『それで痕跡を見つけるか、破壊できれば、これで連絡すればいいんですね?』
「ああ。それで問題ない。念のため言っておくが、単独で接触しようなんて思うなよ。おまえの経歴上、あらぬ疑いをかけられても不思議じゃないんだからな」
『わかってます。そちらも教官のおもり頼みますよ』
ハイドはクスリと笑みをこぼしたが、その含み笑いが発せられる前に、その紙がハイドの手から消えた。アインが掠め取ったためだ。どうやらキールの『おもり』発言が気に食わなかったようで、アインは紙を通してキールに文句を言う。
アインが文句を言っている間にヴェルが注文した料理を運んできた。ハイドはおしぼりで手を拭き、ナイフとフォークで料理を切り分ける。その一切れを口に運んだところで、アインはその紋章術が施された紙を懐に戻した。
「まったく。段々と生意気になっていくわね」
唇を尖らせながら、ぐびぐびと喉を鳴らしてエールを流し込むアイン。
「俺はカウンティの言うことが正しいと思うがな。酔い潰れたおまえを見た回数は数え切れないし、介抱したことも何度もある。『おもり』という言葉は何も間違っちゃいない。もう年を重ねたら、『介護』になるぞ」
「……ずいぶんと容赦なく言ってくれるじゃない。あんた、やっぱりあたしのこと嫌ってるんでしょ。クロムガルドの騎士団長なんてやってたから」
ハイドは一瞬押し黙った。
ハイドがアインのことを嫌っている第一の理由。それはクロムガルドの人間だからである。
ハイドがリルアルドにやってきたのは十年前。それ以前はロンダルシアという王国に住んでいた。その国は今、地図上に存在しない。いや、正確には残されている。ロンダルシア『州』という形で。
併合されたのだ。しかも、武力を背景に置いた事実上の占領である。
ロンダルシア王国は別名『水の都』と呼ばれるほど、豊富な水源のある国だった。『オルファンス湖』。大陸の七大絶景に数えられるほど美しいその湖が有名な国。その国の領土内にクロムガルドが侵攻し、後に『ロンダルシア戦争』と呼ばれる戦いが三か月ほど繰り広げられたのである。
結果としてロンダルシア王国はその戦争に負け、数か月後にはクロムガルドに吸収されてしまった。その最中にハイドはロンダルシア王国から連れ出され、リルアルドに身を寄せることになったのである。
故郷を奪われたハイド。クロムガルドを憎むのも仕方のないことだった。
もちろん、クロムガルドにいる人たちや騎士たちが全て悪人だとは思っていない。それでも、ハイドはクロムガルド出身というだけで心のどこかに壁を作ってしまうのを自覚していた。理解はしていても、心の中まではどうすることもできない。
特にアインの場合はあの『赤』の騎士団長を務めた人物だ。あの戦争に直接かかわっていないとしても、その嫌悪感はひとしおだった。
「でも、付き合いも長くなりつつあるからな。その辺りのことはいい加減、気持ちに整理を付けてるさ。……まあ、騎士としての品性は疑ってるし、年々疑問は重なる一方なんだけどな」
「その辺りは性分なんでしょうね。騎士団長やってた時も部下に言われてたわ」
楽しそうに笑い、ジョッキを一気に空にするアイン。この豪快さも含めて彼女の魅力なのだろう。不思議なカリスマ性はおそらくそういうところにあるとハイドは感じる。
「気持ちに整理を付けたなんて言うけどさ、あんた、まだ憎しみは捨て切れてないでしょう?」
つまみを一つ食べて、アインは唐突にそんなことを言われた。その見透かしたような言葉にハイドは嘘は無駄だと観念して、「まあな」と呟いた。
「そりゃそうよね。あんたの生い立ちを考えれば、その憎しみも人一倍強いんだろうし」
ハイドの特殊な事情を知る数少ない人物の一人であるアイン。誰が聞いているかわからない公衆の場で話す内容ではないので、それ以上をアインが喋るのを止めようとするハイド。だが、彼女の言葉を止めたのはハイドではなかった。
アインが何か気付いたような顔をして、再び懐に手を伸ばした。そして、先ほどと同じように紙を取り出したが、それはキールのものとは違う紋様が描かれている別の紙だった。そこから聞こえる声もキールのものではない。聞き慣れたものではなかったが、聞き覚えのある声だった。
『教官――じゃなかった。アインさん、聞こえますか!?』
切羽詰まった男の声。これはアインの元部下で、この紙に施された紋章術の使い手のものだ。
この声が聞こえてきた時点でハイドはその先の報告に何が待ち受けているのか予測し、ナイフとフォークをテーブルの上に置いた。アインもハイドと同じくある程度予想しているのだろう。いつもとは違い、軽さを感じさせない声でそれに答えた。
「聞こえてるわよ。どうしたの?」
アインの声が聞こえると、紋章師は『ああ、よかった……』と安堵の声を漏らした。
『報告します! 例の連中が城の地下を襲撃し、死体を奪ったそうです!』
やはり、とハイドは思った。夜に動く可能性が高いという結論が出ていたが、裏をかかれたようだ。
しかし、その可能性も考慮していなかったわけではない。アインはその報告を聞いても、特に慌てた様子も見せずに椅子から立ち上がった。それから、傍らにあった剣を手に取る。
「ハイド、行くわよ」
アインの言葉にハイドは「ああ」と頷いた。アインと同じようにいつ戦闘になってもいいように準備はしてある。
今から行われるのは私怨ではない。あくまでもリルアルドを守る騎士としての務めだ。そう自分を戒めつつも、ハイドは自分の心にどす黒い感情が渦巻くのを感じていた。




