特別話 IFな世界の神鬼さん
えっと、まずはいろいろ謝罪させて下さい。
一週間も開けたのに本編進んでません!
さらに投稿する時ミスって今の時間になっちゃいました!
本当にごめんなさい許してください悪気はなかったんです!
・・・ふぅ。謝罪はこれくらいにして、と。
今回は1日遅れのエイプリルフールということで、ifの物語を書きました。途中に出てくる術は本編では使いませんので、ネタバレにはなっておりません・・・多分。
それでは、今話も楽しんでください!
どうぞー!
*4/2 誤字修正しました。
何もない、ただただ何もない空間に、それはあった。
水晶のように内部を少し濁らせた球状の物で、ふわふわと浮かび、一定の間隔で空間の底に近づいたり遠ざかったりを繰り返していた。
それがある空間に、突如として変化が訪れた。
「ん?ねぇねぇ、これなんだろ?」
その正体は、人の形をした二人の少女だった。
一人は黒く長い髪と黒い着物のような服を身に纏い、もう一人はその少女とは対照的に、白く長い髪と白い着物を纏っていた。
「はて、私はこれについて何も知らないのですが・・・ん?」
白い少女はそれに近づき中身を見ると、怪訝そうな表情を浮かべた。
「・・・どういうことですか。なぜ『あの方』が、違う世界にいるのですか」
「へ?・・・ありゃ、ほんとだ。なんでだろ?」
白と黒の少女がのぞく先には、とある一人の少年が見えていた。
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バキッ!
「ぎゃっ!!」
とある学校の校舎裏、一人の少年の周りで数人の少年が転がっているという、少し異様な光景がそこにあった。
「はぁ、これでお前らの気はすんだか?ならとっと消えてくれ、俺はただ、平穏に暮らしたいだけだからな」
ただ一人立っていた少年ーー哭動神鬼はそういうと、その場を後にして自分の教室へと向かった。
少し近寄りがたい雰囲気を纏わせているそんな神鬼に、近づいて行く一人の少年の姿があった。
「よぉ、神鬼。今日は何人ぐらい来たんだ?」
「・・・雨宮か。今日は確か十人ぐらいだったはずだぞ」
「うわぁ・・・まだ神鬼の力が分かってねぇ奴がそんなに居んのか?てか、お前と白河達のいつもの感じを見てれば、諦めもすぐにつくだろうに・・・」
「さあな。大方、そんな俺がうらやましかったとかじゃねぇの?」
「はははっ、言えてんな」
神鬼は雨宮と笑い合いながら教室へと向かっていった。
その光景を、周りの者たちは異質なのものを見るような眼で見つめていた。
ガラガラッ
「あっ、おはようジン君!」
「おはようジン君。今日もケンカしてきたのかしら?」
「おはよ~ジンく~ん」
神鬼が教室に入ると、三人の女子が声をかけてきた。
上から順に、白河明美、多香美雪音、天海鈴果である。
「おはよう、三人とも。にしても、なんで多香美先輩はここにいるんですか?ここ一年の教室ですよ?」
「実は二人に相談があってね、自分からこっちに赴いてきた、ってわけなの」
「そうだったんすか・・・まぁ、授業には間に合うようにして「兄様~、お弁当を届けに来ました~」・・・あれ、弁当バックの中に入ってねぇ。ありがとな、優里」
神鬼の教室の戸を開け、教室の中に入ってきた少女ーー不動優里は弁当を持ちながらやってきた。
神鬼は優里の事ーーというよりその手にある弁当ーーを視認すると、礼を言いながら弁当を受け取ろうとしたーーその時だった。
教室の床に、突如として光り輝く何かが現れた。
「な、なんだこれ!」
「え、きゃあ!!」
教室の中にいるほかのクラスメイト達も、いきなりの事に慌てふためいている。
「よくわかんねぇけど、とりあえず何かにつかまっておけ!」
神鬼は自分の近くにいる者たちに素早く声をかけると、だんだん強さを増す床の光に耐えるように目を瞑った。
「ようこそおいでくださいました、勇者様方」
極光と言えるほどの光に包まれた後、神鬼は少し遠くから聞こえた声に気付き目を開けた。
そして、目の前に広がる光景に、神鬼は驚きを隠せなかった。
石造りの壁、色とりどりのステンドグラス、教会によくある十字架。
少なくとも、先ほどまでいた教室とはまるで違う場所であることは確かだと、神鬼はそう思った。
「いきなりこの世界に呼び寄せてしまい、誠に申し訳ございません。私はこの国、アルバレス王国の第三王女のルミナス・ミラ・アルバレスと申します」
神鬼たちの前で自己紹介をした女性ーールミナスはそう自己紹介をしてからお辞儀をした。
すると突然、神鬼たちの後方から声がした。
「ちょっと待て!呼び寄せたって、どういう意味だよ!それに、ここは俺たちのいた所じゃねぇのかよ?!」
その声をあげた少年は怒ったような、しかし恐怖や戸惑いと言った感情が混ざったような声で、ルミナスを責め立てた。
「え、えっと・・・呼び寄せた、というのは私たちの世界へとあなた方を召喚するようなものでして・・・ここは、あなた方がいた世界とは全く違うところです」
ルミナスが少しおびえながら言うと、先ほどまで声をあげていた少年は膝をついて黙った。
「すいません、一つだけ聞いてもいいですか?」
神鬼が声をあげると、周りの生徒たちは少し緊張感を高めた視線で神鬼を見た。
ルミナスも先ほどの事があったからなのか、周りの生徒と同じように緊張した面持ちで神鬼を見ている。
「な、何でしょうか?」
「俺たちはもとの世界に帰ることはできますか?絶対に嘘とかつかないでくださいよ?」
神鬼がそういうと、ルミナスは申し訳なさそうな表情をした後、決心した様子で神鬼に言った。
「・・・元の世界に変える方法は、ありません。あなた方の両親や友人方などとは、もう会うことができません」
ルミナスが告げた瞬間クラスメイト達は、泣きそうになる者や、怒ろうとする者、いまだに現実だと認められないものなどで分かれていた。
しかしそんな中、神鬼だけは何か違った雰囲気を醸し出していた。
(・・・もう、あの世界に帰れない?)
(父さんや母さん、優里の両親、白河、多香美先輩、天海達の両親、哭動流の門下生たちに、もう一生、合う事ができなくなる?)
(・・・嫌だ)
(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ)
「・・・あぁ。ならこんな世界なんか逃げ出して、元の世界に帰ればいいんだ」
神鬼は、天を仰ぎながらポツリとつぶやいた。
そんな神鬼を見ていて、なおかつ神鬼のつぶやきが聞こえていたのか、ルミナスが悲しそうな表情で話しかけてきた。
「あの、大丈夫ですか?・・・家族や親友に会えなくなってしまうのは悲しいと思いますが、何卒、この世界を救っていただけないでしょうか・・・?」
ルミナスはなおも神鬼に話しかけるが、神鬼はずっと上の空だった。
そして、さすがに何も反応を返さない神鬼に不信感を覚えたのか、ルミナスは神鬼に近づいた。
するとーー
「神魔法、【万象摂理は我が手の中に】。龍魔法、【全穿龍怒】」
神鬼が何かを口にした、その瞬間。
バグォォォォォォン!!
突如、異質な音が鳴り響いた。
その音に、その場にいた神鬼とその友以外の者たちすべてが耳を塞いだ。
そして誰か一人がようやく耳が慣れた頃、その者は目の前の光景に驚愕した。
そこにあったのは、虚無。
何もなく、何ものもいることはできない、果てしない虚無が広がっていた。
さらにその者は、その虚無の先が、少しづつ色付き始めるのを見て、どこかの風景へと変わっていっているのを悟った。
そしてそのものと同じように耳が慣れてようやく前を向いた神鬼と同じクラスの少年が、その先の光景に驚いた。
「あ、あれって・・・俺たちの、世界?」
少年がポツリと呟くと、それが聞こえた周りの生徒たちも、ぞろぞろと前を向き、そこにある光景に驚いた。
そしてそんなことを感じているクラスメイトの反応はどうでもいいという風にしながら、神鬼は自分の後ろにいる全員を見ながら、
「優里、白河、天海、多香美先輩、雨宮、あとクラスのみんなーー帰ろうぜ」
そう、優しく声をかけた。
「な、なぁ哭動。あそこは本当に・・・俺たちの世界につながってるのか?」
一人の少年は、今にも声を上げて喜びそうな感情を抑えながら、神鬼に尋ねた。
その少年の問いに、神鬼は少し笑いながら
「あぁ。俺の中にある力を使ったら、なんかこの世界から帰れそうな力があってな・・・とにかく、帰ろうぜ?」
そう返した。
先ほど尋ねた少年は、もう我慢できないとばかりにその虚無へと駆け出した。
その少年が駆け出すのを見て、他の生徒も我先にと駆け出し、虚無へと入った。
やがて神鬼は自分以外の全員を返すと、ルミナスたちの方を見た。
そして、先ほどの少年に向けていた表情を消しーー
「さて、それではあなた方を含めーーこの世界を、壊させてもらいましょう」
殺意に染まった、狂気の笑みを浮かべた。
『っ!!!!』
その瞬間、この場にいた全員が思った。『この存在は、自分達を殺そうとしている』と。
「おやおや、今になってようやくわかったのですか?」
神鬼は先ほどまでの普通の少年のような話し方をやめ、少し丁寧なように聞こえる話し方をしていた。
しかしその話し方は、ルミナスたちにとっては神鬼の存在をよりおぞましいものへと変えているようにしか思えなかった。
「しょうがないですね。なら、何故私があなたを・・・いえ、あなた方を殺そうと思ったのか、その理由を教えて差し上げますよ」
神鬼はそこまで言うと、指を二本立てたあと、片方の指を折った。
「まず一つ、あなた方は私たちを元の世界に返すあてもないまま、ただ自分たちを助けて欲しいからという理由で私たちを呼び寄せたこと。まぁ、これをあげる意味は二つ目の理由と重なるので、二つ目の理由へと移りましょう」
神鬼はそう言うと、先ほど挙げていた指をあげた。
「二つめは、あなたが私に言った言葉です。『家族や親友に会えなくなるのは悲しい』?・・・ふざけるな」
神鬼は声のトーンを下げ、相手がより恐怖するような恐ろしい声で話し続けた。
「お前らに何がわかる?ただ少しの間大切な人たちと会うことができないのではなく、もう一生会うことができなくなったというのに、言うにことかいて『悲しい』だ?
てめぇらに何がわかる!楽しんだり快感を得るためにやったわけではないが、それでも人を殺してしまった俺に対して、励ましてくれたり支えてくれたり、慰めてくれたりした両親たちにもう会えなくなってしまったことを、たった『悲しい』なんていう一言で済ませられるようなものだと思われたことが、どれだけのものだと思ってやがる!!」
神鬼は大声で、怒鳴りつけるように言っていたことを言い終えると、少し間を開けたあとに宣告した。
「ーーだから俺は、この世界を壊す。俺みたいな思いをする人を出さないために。何より、こんなことを起こしたこのくそったれな世界のために!!」
そして、神鬼が入った瞬間、世界は様々な色の何かに飲まれ、壊されていったーー
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「・・・いやー、こんな可能性の世界もあったんだね」
「・・・えぇ。あの方の考え方が今と少し違うだけで、全てを破壊し尽くす存在へとなってしまわれるとは・・・」
黒と白の少女は、それぞれが思ったことを素直に口に出していた。
そして両者が全て言い終えた時、黒い少女は少し悲しい顔をしていた。
「・・・どうしたのですか?」
「いやさぁ・・・あの人も自分がなぜあの世界に呼ばれたのかを知って、もしかしたら元の世界へ帰れなくなるかもしれなかったことを聞いたら、あんな感じになっちゃうのかなぁ・・・って思って、さ・・・」
黒い少女はそう言うと、いつの間にか俯いていた。
白い少女は黒い少女のそんな姿を見て、優しく頭を撫でながら話した。
「大丈夫ですよ。そんなことになったとしても、それを止めるために私たちがいるのですから」
「・・・うん、そうだね。よ〜しそれじゃあ、これからも毎日がんばろー!」
黒い少女はそう返すと、すくっと立ち上がって笑みを見せた。
「えぇ、私たちは私たちのできることを、しっかりとやっていくわよ!」
白い少女もその笑みにつられるように笑い、そのままどこかへと歩き始めた。
黒い少女は白い少女を追いかけながら、手の上で未だふわふわと浮かんでいる水晶を眺めながらつぶやいた。
「・・・絶対、神鬼様をこんなことにはさせない。絶対に・・・」
いかがでしたか?
感想・批判、どんどんやっちゃってください!
いやーにしても、やっとあの少女たちがたちが言っていた『あの方』の正体が分かりましたね。
・・・え?もう前から気づいてた?
・・・シ、シラナイナー




