第三十七話 蹂躙とさらなる脅威
すいません、またちょっと短いかもです・・・。
あと、とちゅうですこし説明入りまーす。
ーー神鬼たちがアルデルハから説明を受け、ナヘルタ王国へ向かっている最中も、ナヘルタ王国はなおもフィルダンテ王国から攻撃を受けていた。
畑は荒らされ、家は焼かれ、民は物陰でおびえていた。
そんななか、国の中心部にある城の城壁の内側で、百人ほどの男性たちを前に、彼らを鼓舞する馬に乗った青年がいた。
「みんなっ!何としても、父上たちが逃げる時間を稼ぐのだ!!」
『はいっ!!』
青年の名は『エルラダ・ルイド・ナヘルタ』。アルデルハの息子で、次期国王となる者である。
「よし、いくぞぉぉぉぉぉ!!」
『オオオォォォォォ!!』
エルラダが声を張り上げ馬を走らせると、後ろの男性たちも駆け出した。
「ハハハハ!おい見ろよ、またあいつら攻めてきやがったぞ!!」
「返り討ちにしてやらぁ!」
城壁から離れたところで待機していたフィルダンテ王国の兵が、ゲラゲラと笑いながら身構える。
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ナヘルタ王国の兵とフィルダンテ王国の兵との距離が、だんだんと狭くなる。
エルラダは馬上で剣を構え、後ろの男性たちも槍や剣など各々の武器を構えた。
フィルダンテ王国の兵も、笑いながらも油断なくすぐに攻撃できるようにしている。
両者が激突するまであと5メートルほど・・・となった瞬間。
ズガァァァァァァァン!!!
両者の間の地面が、まるで爆撃を受けたかのようなありさまとなった。
「な、何だ一体?!」
エルラダは今ので興奮してしまった馬をなだめながら、後ろの兵に尋ねる。
「わ、わかりません。ですが、奴らがやったことではないようです」
応えた兵は、向こう側でこちらと同じように慌てている敵兵を見ていた。
そこへ突然、一人の男がやってきた。
歳はおよそ16,7。肩ほどまで伸びている白髪に、水晶のような碧い瞳をした容姿の青年だった。
「あなたがエルラダ・ルイド・ナヘルタ様ですか?」
「あ、あぁ。そうだが・・・君は?」
「あ、申し遅れました。私は哭動神鬼と申します。あなたの父君から事情を聴き、あなたたちを加勢してほしいと言われたため、やってまいりました」
「父上が?という事は・・・!」
「はい、あなたの父君や母君、妹様は無事ですよ」
神鬼の言葉を聞いて、エルラダは頬を緩ませた。
しかしすぐさま、その表情を厳しいものにした。
「いや、まずはあいつらを討たなければ・・・!」
「それならば、私にお任せくださいませんか?」
「え?」
「私があなたの父君から任された理由と、あなたたちから信用を得るためですよ」
神鬼はそこまで言うと、フィルダンテ王国兵の方を向いた。
「あまり時間をかけていられないし、素早く終わらさせてもらうーー『豪炎よ、暴れよ、無を作れ、汝が力、神をも殺す』」
神鬼が呪文を唱える。周囲の人たちは、まったく聞いたことのない呪文に何が起きるのか警戒している。するとーー
いきなり、フィルダンテ王国の兵を囲むように炎が現れた。
『うわぁぁぁぁぁぁ!!』
「なんと!魔術の操作があそこまでできるとは・・・!!」
魔術に詳しい兵士が、神鬼の魔術の腕前に感嘆の声をあげる。
「とどめだーー『火炎よ、猛り、荒れ狂え、我が宿敵は、無へと帰らん』」
神鬼はフィルダンテ王国兵が悶えているのも気にせず、新たな魔術を放った。
周囲は、今度も聞いたことがない呪文だったため警戒を強くしていた。
そして、発動した魔術の形状に、更なる驚きの声が上がった。
神鬼が発動した魔術は、先ほど発動した炎の中から新たに炎の槍を発現させていたからだ。
『ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!』
「ななっ!確かに槍の形をした炎を作ることはできるかもしれないが、それを先ほど発現させた炎の中ですることでイメージよりも威力を高めるとは・・・!!」
先ほどとは違う兵士が、神鬼の魔術を興奮混じりに分析していた。
神鬼が行った魔術にある普通ではない所。それはもう一つは『前に発動した魔術を次の魔術に利用する』というところである。
『発動したときの形』、これはまず、一般的な魔術師の場合、『空洞の無い立体の物』を基として考えることが多い。そのため、大体の魔術師は球や立方体などの形をとっていることが一般的だ。
今回の神鬼のやり方は、この基として考えている形が全く違う。
神鬼が基とした形は、『中心に穴の開いた輪』である。
この形にすることで退路を無くすことができ、どこかに抜けられるところができないような形にできる。
さらに、属性が【火】であるため地面に少なからず生えている草にも燃え移り、何もしなくとも包囲を狭めることができる、という利点もある。
次に、『前に発動した魔術を次の魔術に利用する』というところ。これは一般的な魔術師は、まったくと言っていいほど行わない。
なぜかというと、これには魔術によって発現させたものに必ずある性質が関係している。
魔術で発現させた物は、『込められた魔力の量の差』によってほかの魔術と干渉されないようになっている。正確には、内包されている魔力の量が高いほう、つまり魔術の密度が高い方が低い方に干渉されない、というものである。
なので、普通の魔術師は二回の魔術に込める魔力を完全に同じにすることはできないため、やろうとしないのである。
一方神鬼はと言うと。
最初に行った『足止めするための輪状の炎』の魔力量と、『槍の形をした炎』の魔力量を完全に一緒にすることで、足止めするために生まれた炎を少量でも足しながら、槍の形をした炎を敵兵にはなったのである。
これをすることによって、一回に使う魔力を減らすことができる上に、火の勢いをあげたり性質の違う炎を混ぜ合わせることができるのである。
と、そんなことも全く知らずに、神鬼がただフィルダンテ王国兵を蹂躙していくのを、エルラダたちは何もできずにじっと見ていた。
そんな時、エルラダは今もなお蹂躙されている敵兵のさらに向こうからくる多数の気配に気が付き、神鬼と配下の男たちに声をかけた。
「そいつらのさらに後方から、そいつらの援軍が来ている!数は、数え切れんほどだ!!」
『な、なんですと?!!』
男たちが驚愕と怯えの混じった声をあげ、あたふたとしていると、神鬼が何かを考えたようにした後にエルラダに声をかけた。
「エルラダ殿、ここは私に任せていただけませんか?」
「なっ?!父上たちの恩人を一人最前線に送るなど、できません!!」
「大丈夫です。私には、秘策がありますので」
「秘策・・・?」
神鬼はエルラダの言葉には何も返さず、敵の方へと向かっていった。
・・・その右腕から黒いオーラを、左腕から透明に近い白の魔力を纏わせながら・・・
物語が・・・進めらんない・・・




