閑話 勇者達は勉強中
キーンコーンカーンコーン・・・
「あ~。やっと学校が終わったぁ~」
蓄積した疲れを和らげるために思いきり伸びをしながら、天海はつぶやいた。
「そんなに疲れることしてないじゃないですか・・・」
先輩とは思えないほどの威厳の無い姿に、優里は思わず、ため息をついてしまった。
「なんでよ~。朝から三キロランニングして、そのすぐ後に剣振って、お昼まで勉強して、午後は魔術の勉強と実践やったんだよ~?そりゃ疲れちゃうって~」
「兄様は毎朝、だいたい十キロぐらい走ってますし、そのすぐ後に何百回と素振りしてますし、学校の授業を受けながら同時に何か勉強してますし、家に帰った後は、何か魔法チックなものをやってましたよ?」
ぶつくさと文句を垂れる天海に、優里はしれっというと・・・
「・・・ほんとに?」
普段の口調が消えた声で、天海は聴き返した。
「えぇ、ほんとですよ。これを兄様は、あの日からずっと続けてます」
「・・・そっかぁ~。それもやっぱり、私のせい・・・なのかな?」
優里が『あの日』というと、天海はいつものにこやかな笑みに少し陰りを見せながら、優里に尋ねた。
「そんなことないですよ。確かに、天海先輩に一切の原因がないかというと、そうではないですね」
優里が話すうちに、天海は少しづつうつむいていく。
でも、と。話すのをいったん止めた優里は、天海を真っ直ぐに見ながら、そのまま続けた。
「でも、兄様だったら、『誰かを救えるようになるために』、自分からあんな特訓を始めたと思いますよ」
優里の言葉に、天海はハッと前を見上げる。
「ま。いつまでもぐちぐちとしてないで、早く自室に戻りましょう?明日だって大変なんですし、兄様に今度会った時、成長した姿を見せたいでしょう?」
「・・・たしかに、そうだね。よしっ、それじゃあさっそく部屋に戻ろ~」
「ちょ、ちょっと。引っ張らないで下さいよ!」
優里の抗議もむなしく、天海は優里の腕をぐいぐい引っ張りながら自室へと走っていった。
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次の日・・・
「疲れたよ~・・・」
「昨日の今日で、これですか・・・」
そこには、朝のランニングと素振りを終えてくたくたになっている天海と、あきれた目で天海を見つめる
優里がいた。
「あら?優里ちゃんに鈴果ちゃんじゃない。どうしたの?」
天海がゼーハー荒い息をしている間に、自分の練習を終えた多香美がやってきた。
「せ、先輩・・・。ちょ、ちょっと疲れちゃって・・・」
「多香美先輩はとても息が穏やかですけど、三十分ぐらい前にでも終わったんですか?」
「まさか。私が終わったのは今さっきよ?」
「えぇ~~?!!」
その日、朝早くからグラウンドでは、とある女生徒の嘆きの声が響き渡ったとか・・・。
・・・やべぇ。あんま勉強してる感出てねぇ・・・。
ちなみにコンセプトは、『ほのぼの』です。




