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チート勇者の異世界冒険記  作者: 松竹梅
第二章 いとも悪しきは人の欲
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第二十九話 盗賊の親玉 ローディー

ちょっと短いかな?

「え~っと。ここが親玉の部屋、出会ってるんだよな?」


《はい。この洞窟内でマスターを除いた一番強いものの反応は、この先の部屋より感知しています》


 神鬼は先を見ると、確かに部屋があるのを確認した。

 

 他の部屋とは違って、入口のところに天井から、のれんのような布が下がっていた。


「よし、そんじゃあ近づくか。あ、ウィズはもう解除するぞ」


《わかりました》


 ウィズの言葉に安心した神鬼は、本の状態である【世界樹の叡智(ウィズダム・オブ・ユグドラシル)】を解除すると、息を殺しながら部屋へと近づいて行った。


 部屋まであと十歩ほどという距離まで来たとき、神鬼は何か(・・)が起きるのを感じ取り、すぐそこの壁のくぼみに身を隠した。


「おい!誰かいねぇか!!」


 部屋の奥から、野太い男の声が響く。

 その声には、苛立ちが混じっているのが感じられた。


「ったく。なんで誰も返事しねぇんだよ。」


その布の向こう側から、大柄な男が出てきた。


 目も髪も黒色。身長は180ほど。

 太っているとは言えないが、標準よりは少し太いと言える体形をしている。

 腰には(男の手のサイズを考えれば)ちょうどいい感じの片手で持てるような斧をぶら下げていた。

 

 男はのしり、のしりと歩きながら神鬼の方へ向かっていたが、いきなりピタリと止まった。


「・・・おい、そこに誰かいるな?少なくとも、下っ端どもじゃねぇような奴が」


 神鬼は男がそこまで言い切った時、ゆっくりとその場から離れ、男の前に姿を現した。


「へぇ、若えじゃねぇか。その年でそこまでの実力を持つとは、お前、何もんだ?」


 男は尋ねながら、腰に下げた2本のトマホークに両手を伸ばす。

 神鬼も、何時でも攻撃できるよう、臨戦態勢をとる。


「俺の名前は哭動神鬼。お前を殺しに来た」


「へぇ・・・。俺の名前はローディーだ」


 男ーーローディーが言い終わった瞬間、神鬼は男に向かって走り出した。

 ローディーも神鬼が動き出した瞬間、2本のトマホークを素早く手に取り、神鬼の拳を受け止める。


「なかなかのスピードだな。やはり、哭動の血は凄まじいな(・・・・・・・・・・)


 ローディーが『哭動』と口にした瞬間、神鬼は一瞬動きが止まった。

 ローディーはその隙を逃さず、2本のトマホークを交差させながら切りかかった。


 すぐさま反応して避けたが、若干かすってしまったのか、神鬼の着ている服の腹の辺りが少し切れた。


「おい。お前まさか・・・」


「あぁ。ご想像の通り、転生者さ(・・・・)


 ローディーの言葉に、神鬼は改めて驚いた。

 自分たち以外に異世界から来ている者がいるのか、という事に。


(まてよ。確かこの盗賊団の名前は・・・!!)


 その時、神鬼の頭にとあることがよぎり、それを明確に思い出した瞬間、神鬼はローディーに明確な殺意を向けた。


「おいてめぇ。俺が小学一年だったころ、俺が通っていた学校を占領してきたテログループ、『貪狼の牙』のものか?」


 神鬼は今にも飛びかかりそうな体を理性で押さえつけながら、ローディーに問いかける。

 その神鬼の問いかけに、ローディーは口角を吊り上げながら、答えた。


「クックック。あぁそうさ。俺はてめぇに崩壊させられたテログループ、『貪狼の牙』のリーダーさ!ヒャヒャヒャヒャヒャ!!」


 ローディーはそう告げると、狂ったような笑い声を出し始めた。


「クク、あの時はびっくりしたぜ?今にも殺せそうだと思っていたガキが、いきなり姿が変わったかと思えば、俺たちの事を殺して回り始めたんだからよぉ?」


 ローディーはトマホークの先端を神鬼に向けながら、話を続ける。


「死んだと思ったら、神様とかいうやつが俺をこの世界に生き返らせたのさ。まったく、捨てる神あらば拾う神ありとは、まさにこのことだな!!」


 ローディーはまた、狂気的な笑い声をあげる。

 神鬼は、その様子をじっと見つめ、そして、口を開く。


「・・・言いたいことは、それだけか?」


「・・・あぁ?」


 ローディーは、その時はじめて気づいた。



 神鬼は、理性で感情を押さえているのだと。

 神鬼は、静かに怒り狂っているのだと。

 神鬼は、自分(ローディー)を殺そうとしているのだと。



「俺はてめぇに、情けなんて一切かけない。外道にかけてやる情けなんて、少しも持ち合わせちゃいねぇからなぁ!!」


 洞窟が震えるほどの大声で叫ぶと、神鬼は周囲にオーラを現し始めた。


 その光景を見て、ローディーは不敵な笑みをうかべる。


「ほぉ。お前も()が使えるのか」


 そういうと、ローディーも自分の周囲に灰色の粒子(・・・・・)が舞い始める。


「まさか俺以外に使える奴がいるなんてな。ククク」


ローディーは尚も、気味の悪い笑い声を発する。


「無駄口たたいてんじゃねぇよ」


神鬼は呟くと、一瞬でローディーへと肉薄した。


「ッ!!」

 

突然だったためか。今度は先ほどのようにはいかず、トマホークで防ぎきることができず、後ろへ2メートルほど下がってしまった。


「て、てめぇ・・・!」


「どうした?子供に吹き飛ばされて悔しいか?まぁ前世で一回、吹き飛ばされるどころか殺されてるからな。どうってことないだろ?」


「クソがぁぁぁぁぁ!!」


 ローディーは怒鳴りながら神鬼へ駆けてきたが、神鬼は難なくかわす。


「そういえば気になっていたんだがお前、オーラ、じゃなかった。()を武器に纏わせているが、なぜだ?」


 神鬼としては、『オーラで武器を作ればいちいち手入れもしなくていいのに、なんで普通の武器を持っているんだ?』という意味で聞いたのだが、ローディーはどうとらえたのか、君の悪い笑みをまた、発し始めた。


「クククク。まさかおめぇ、【纏武(てんぶ)】も知らねぇのか?」


「【纏武(てんぶ)】?」


「あぁ。【纏武(てんぶ)】は武器に自身のオーラを纏わせることで、絶大な破壊力を手に入れられる。そんなことも知らねぇのか?」


 嘲るような笑みを向けてくるローディーに、神鬼は何とも納得がいかないといった表情で、ローディーを見ていた。


「いや。オーラを『纏わせる』なんて面倒なことして、オーラで『武器を作る』にしないのはなんでなんだ?」


「は?」


「え?」


・・・二人の間に、微妙な空気が流れた。


「う、うるせぇ!とにかく、てめぇを()ればいいんだよぉ!!」


「ッ!!」


 ローディーは大声をあげながら、神鬼へ突撃する。

 神鬼は自分の拳にオーラをこめながら、ローディーのトマホークを受け止める。


 そして、神鬼とローディーの戦いが、今、本格化したーー。


すいません!!

今日の午後には記念話上げます。


許してつかぁさい!!

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