第二十九話 盗賊の親玉 ローディー
ちょっと短いかな?
「え~っと。ここが親玉の部屋、出会ってるんだよな?」
《はい。この洞窟内でマスターを除いた一番強いものの反応は、この先の部屋より感知しています》
神鬼は先を見ると、確かに部屋があるのを確認した。
他の部屋とは違って、入口のところに天井から、のれんのような布が下がっていた。
「よし、そんじゃあ近づくか。あ、ウィズはもう解除するぞ」
《わかりました》
ウィズの言葉に安心した神鬼は、本の状態である【世界樹の叡智】を解除すると、息を殺しながら部屋へと近づいて行った。
部屋まであと十歩ほどという距離まで来たとき、神鬼は何かが起きるのを感じ取り、すぐそこの壁のくぼみに身を隠した。
「おい!誰かいねぇか!!」
部屋の奥から、野太い男の声が響く。
その声には、苛立ちが混じっているのが感じられた。
「ったく。なんで誰も返事しねぇんだよ。」
その布の向こう側から、大柄な男が出てきた。
目も髪も黒色。身長は180ほど。
太っているとは言えないが、標準よりは少し太いと言える体形をしている。
腰には(男の手のサイズを考えれば)ちょうどいい感じの片手で持てるような斧をぶら下げていた。
男はのしり、のしりと歩きながら神鬼の方へ向かっていたが、いきなりピタリと止まった。
「・・・おい、そこに誰かいるな?少なくとも、下っ端どもじゃねぇような奴が」
神鬼は男がそこまで言い切った時、ゆっくりとその場から離れ、男の前に姿を現した。
「へぇ、若えじゃねぇか。その年でそこまでの実力を持つとは、お前、何もんだ?」
男は尋ねながら、腰に下げた2本のトマホークに両手を伸ばす。
神鬼も、何時でも攻撃できるよう、臨戦態勢をとる。
「俺の名前は哭動神鬼。お前を殺しに来た」
「へぇ・・・。俺の名前はローディーだ」
男ーーローディーが言い終わった瞬間、神鬼は男に向かって走り出した。
ローディーも神鬼が動き出した瞬間、2本のトマホークを素早く手に取り、神鬼の拳を受け止める。
「なかなかのスピードだな。やはり、哭動の血は凄まじいな」
ローディーが『哭動』と口にした瞬間、神鬼は一瞬動きが止まった。
ローディーはその隙を逃さず、2本のトマホークを交差させながら切りかかった。
すぐさま反応して避けたが、若干かすってしまったのか、神鬼の着ている服の腹の辺りが少し切れた。
「おい。お前まさか・・・」
「あぁ。ご想像の通り、転生者さ」
ローディーの言葉に、神鬼は改めて驚いた。
自分たち以外に異世界から来ている者がいるのか、という事に。
(まてよ。確かこの盗賊団の名前は・・・!!)
その時、神鬼の頭にとあることがよぎり、それを明確に思い出した瞬間、神鬼はローディーに明確な殺意を向けた。
「おいてめぇ。俺が小学一年だったころ、俺が通っていた学校を占領してきたテログループ、『貪狼の牙』のものか?」
神鬼は今にも飛びかかりそうな体を理性で押さえつけながら、ローディーに問いかける。
その神鬼の問いかけに、ローディーは口角を吊り上げながら、答えた。
「クックック。あぁそうさ。俺はてめぇに崩壊させられたテログループ、『貪狼の牙』のリーダーさ!ヒャヒャヒャヒャヒャ!!」
ローディーはそう告げると、狂ったような笑い声を出し始めた。
「クク、あの時はびっくりしたぜ?今にも殺せそうだと思っていたガキが、いきなり姿が変わったかと思えば、俺たちの事を殺して回り始めたんだからよぉ?」
ローディーはトマホークの先端を神鬼に向けながら、話を続ける。
「死んだと思ったら、神様とかいうやつが俺をこの世界に生き返らせたのさ。まったく、捨てる神あらば拾う神ありとは、まさにこのことだな!!」
ローディーはまた、狂気的な笑い声をあげる。
神鬼は、その様子をじっと見つめ、そして、口を開く。
「・・・言いたいことは、それだけか?」
「・・・あぁ?」
ローディーは、その時はじめて気づいた。
神鬼は、理性で感情を押さえているのだと。
神鬼は、静かに怒り狂っているのだと。
神鬼は、自分を殺そうとしているのだと。
「俺はてめぇに、情けなんて一切かけない。外道にかけてやる情けなんて、少しも持ち合わせちゃいねぇからなぁ!!」
洞窟が震えるほどの大声で叫ぶと、神鬼は周囲にオーラを現し始めた。
その光景を見て、ローディーは不敵な笑みをうかべる。
「ほぉ。お前も気が使えるのか」
そういうと、ローディーも自分の周囲に灰色の粒子が舞い始める。
「まさか俺以外に使える奴がいるなんてな。ククク」
ローディーは尚も、気味の悪い笑い声を発する。
「無駄口たたいてんじゃねぇよ」
神鬼は呟くと、一瞬でローディーへと肉薄した。
「ッ!!」
突然だったためか。今度は先ほどのようにはいかず、トマホークで防ぎきることができず、後ろへ2メートルほど下がってしまった。
「て、てめぇ・・・!」
「どうした?子供に吹き飛ばされて悔しいか?まぁ前世で一回、吹き飛ばされるどころか殺されてるからな。どうってことないだろ?」
「クソがぁぁぁぁぁ!!」
ローディーは怒鳴りながら神鬼へ駆けてきたが、神鬼は難なくかわす。
「そういえば気になっていたんだがお前、オーラ、じゃなかった。気を武器に纏わせているが、なぜだ?」
神鬼としては、『オーラで武器を作ればいちいち手入れもしなくていいのに、なんで普通の武器を持っているんだ?』という意味で聞いたのだが、ローディーはどうとらえたのか、君の悪い笑みをまた、発し始めた。
「クククク。まさかおめぇ、【纏武】も知らねぇのか?」
「【纏武】?」
「あぁ。【纏武】は武器に自身のオーラを纏わせることで、絶大な破壊力を手に入れられる。そんなことも知らねぇのか?」
嘲るような笑みを向けてくるローディーに、神鬼は何とも納得がいかないといった表情で、ローディーを見ていた。
「いや。オーラを『纏わせる』なんて面倒なことして、オーラで『武器を作る』にしないのはなんでなんだ?」
「は?」
「え?」
・・・二人の間に、微妙な空気が流れた。
「う、うるせぇ!とにかく、てめぇを殺ればいいんだよぉ!!」
「ッ!!」
ローディーは大声をあげながら、神鬼へ突撃する。
神鬼は自分の拳にオーラをこめながら、ローディーのトマホークを受け止める。
そして、神鬼とローディーの戦いが、今、本格化したーー。
すいません!!
今日の午後には記念話上げます。
許してつかぁさい!!




