第二十八話 オリジナルスキル【色欲】
今回、タイトルのくせにちゃんとスキルを使用するわけではありません。
「にしても、ほんと入り組んでるな。何とかいっぺんに調べる方法は・・・!」
ふと頭によぎったことを実行するため、神鬼は【世界樹の叡智】を起動した。
《お呼びでしょうか?マスター》
「ウィズ。この洞窟の内部を、ソナーのようなことで調査することはできるか?」
《少々お待ちください・・・。できました。脳内にて閲覧しますか?それとも、手元で本に表示するようにしましょうか?》
「頭の中に直接映し出す、ねぇ・・・。うん、手元に本で」
《かしこまりました》
ウィズがそう告げると、すぐさま神鬼の手元に一冊の本が現れる。
そして本はひとりでに開くと、空白だったページに次々と、洞窟の内部の情報が記載されていく。
どんどん書き上げられていく本を眺めていると、神鬼は一つ気になることができた。
「なぁウィズ。この、赤とか青とかの点はなんだ?」
《それは生命体の情報を表しています。黒点はマスター。赤点は敵意を持った生命体。青点は敵意の無い生命体。あと、ここには記載されていませんが、黄点は中立、あるいはいまだ会っていない生命体です》
「おぉ。そこら辺の判別もしてくれんのか。サンキュ」
《マスターのお役に立てて、何よりです》
その後、神鬼は地図を見ながら先を進んでいった。
そして、途中でいきなり立ち止まった。
「・・・いま付近には何もいない。という事は、アレを試すチャンスなんじゃ・・・?」
ポツリとつぶやいた神鬼は、ステータス欄を開いた。
******************
名:ジンキ・コクドウ(16)(全)(ランク:F)
性:男
種族:人族、神族、魔族、龍族、鬼族
天職:英雄(LV.10)、神帝(LV.1)、魔神(LV.2)、龍王(LV.1)、鬼皇(LV.10)
職業:勇者(Lv.10)、魔術師(LV.10)、錬金術士(LV.10)、
【ステータス】
MP:1500000
筋力:700000
防御:600000
敏瞬:600000
魔力:600000
魔防:550000
【ノーマルスキル】
・低級魔術(LV.10)
・中級魔術(LV.10)
・上級魔術(LV.10)
・低位錬金術(LV.10)
・中位錬金術(LV.10)
・上位錬金術(LV.10)
etc…
【ユニークスキル】
・英雄覚醒
・神帝の神威
・魔神が『魔神』たる所以
・龍王変化
・鬼皇の百鬼夜行
・哭動流剣術
・哭動流槍術
・哭動流拳術
・哭動流体術
・哭動流斧術
・哭動流弓術
・哭動流鎚術
etc…
【オリジナルスキル】
・世界樹の叡智
・連なる魂
・限界破壊
・神魔法
・龍魔法
・鬼術
・色欲(new)
→上位魔術【幻惑】よりも高位な幻覚を見せる。
物体の『認識』を変えるだけでなく、その物体の『存在』に働きかける事も可能。
・異空間武器庫
etc…
【加護】
・創造神の加護(全ステータス上昇率UP)
・武神達の加護(筋力、防御上昇率UP)
・魔術神達の加護(MP、魔力、魔防上昇率UP)
・速神達の加護(敏瞬上昇率UP)
etc…
【称号】
・転生した最強の魂
・覚醒せし英雄
・神の頂点に立つ者
・全てを滅ぼす悪しき神
・史上最強の龍族
・全ての鬼を超越する鬼
・色欲の罪を負いしもの(new)
etc…
【状態】
普通
******************
「この【色欲】っていうスキル。うかつに使っちゃやべぇ気がしてたから使わなかったけど・・・」
そういいながら、神鬼はステータス欄をしまい、ゆっくりと目を閉じた。
「試すのには、うってつけの場所だもんな」
そして、息を大きく吸い、頭の中でイメージを駆け巡らせる。
(さて、そんじゃあ【色欲】をーー?!!)
いきなり、世界が、塗り替えられた。
「なっ・・・?!」
神鬼は驚きながらも、周囲の警戒を再開する。
「さっきまでいた洞窟じゃない・・・。という事は、スキルを使った反動か・・・?」
ふと前を見ると、何かが見え始めた。
『あんたみたいなブ男、誰か一人でも相手すると思ってんの?』
地面に転がされた、丸々と太った男が、きれいなドレスを身にまとった女に蹴られていた。
男はすすり泣きながらも、女の蹴りに必死に耐えていた。
「これは・・・記憶?」
そう。そこに現れ始めてきていたのは、記憶であった。
おそらく、目の前にある映像の中にいる、男の記憶なのだろう。
男の心の声が、聞こえ始めてきた。
『なんで・・・なんで俺は、こんな姿に生まれたんだ』
『なんで俺は、こんなに蹴られなきゃいけないんだ』
『どうして俺は・・・こんなにも、醜く、生まれたんだ・・・』
男がそう呟いた後、映像の中の景色が一転した。
「今度はなんだ・・・?」
先ほどまで蹴られていた男が、今度は草原に一人、突っ立っていた。
『俺は、この醜い俺が、嫌いだ』
男は語るように、ポツポツと、しゃべり始めた。
『俺は、変われない俺が、嫌だ』
その映像は、少しづつ、周りの空間へと侵食し始める。
『だから、俺は・・・』
そこまで男が言うと、突然、周りの風景が、完全に映像に侵食された。
『お前という、俺じゃない俺に、俺は変わる』
映像の中にいた男が、神鬼の方へと手を伸ばし始めた。
神鬼は、動かない。
動こうと、しない。
「・・・なるほど。これが、【色欲】の、正体か」
神鬼がそういうと、男の伸ばしていた手が止まった。
「【色欲】を発動すると、これが見させられる、ってわけか」
そう言い、うっすらと目を開ける。
「大方、【色欲】の始まりとなった存在、だろ?お前からの干渉を防げなければ、【色欲】の魔王となってしまう・・・」
男の伸ばしていた手を掴み、それを握りしめる。
「っていう事は、おめぇからの干渉を、完全に突っぱねればいいんだよなぁ?」
不敵な笑みをうかべながら、神鬼は男の手をねじりあげる。
『グ・・・グァ、アアアアアァァァァ!!』
「へぇ。精神体のようなものかと思ってたんだけどな。いや、この場合だと、俺も精神体になってる、って感じかな?」
神鬼は容赦なく、男の腕をねじっていく。
だんだん、男の腕もぼろ雑巾のようになっていく。
「俺は魔王になんてなんねぇよ。魔王なんかになっちまったら・・・」
(あいつらの事、救いにいけねぇじゃねか?)
バキィィィィン!!
ガラスが砕けるような硬質な音を残して、男は消え去った。
それと同時に周りの風景も消え去り、元の洞窟の中の風景へと戻っていった。
「っと、戻ってこれたか。ウィズ、俺がスキルを使用してから何分経った?」
《3分46秒です》
「細かっ!?」
ウィズのちょっとズレた返答に少し戸惑いながらも、神鬼はスキルを確認した。
「これで、普通に使えるのかな?ま。まだ使うことは無いと思うけど・・・」
そういいながら、神鬼はスキルの確認を終えた。
《いま、スキルの発動をしてみますか?》
「いや、いい。この一件が終わってから、もしくはこれをこの戦いで必要としたときにでも使うさ」
そして、神鬼はウィズの作ったマップを見ながら、親玉の部屋へと歩いて行った。




