第二十四話 盗賊団『貪狼の牙』
前半はアル視点。後半からはいつもどうりの感じになります。
*3/4 一部訂正しました。
「おめぇら!まずは村人を捕らえろ!女子供以外は皆殺しだ!!」
『へぇい!!!』
ジン様が集会所に向かわれてから少し経った頃、私が村から少し離れたところで畑仕事をしていたら、何やら村の方から騒ぎ声がしたため行ってみたところ、そこは大変な騒ぎが起こっていました。
年若い女が見つかれば即座に捕まえられ、何か金目のものが奪いわれ、抵抗するものがいれば次々と殺されていました。
「な、なんてことを・・・!」
そして私の後方から音がしたため振り返ってみると、ニタニタと笑っている男たちが近づいてきました。
「うっひょ~!かなりの上玉じゃねぇか!!」
「おぉ!こりゃあ、たかくうれるぜ~?」
「リーダーんとこ持ってく前に、俺らで味見しちまおうぜ?」
男たちは下品な笑い声をあげると、少しづつ、また少しづつ、私へと歩み寄ってきました。
「気持ち悪い!こっちに来ないで!!」
私はそう叫ぶと、一目散に駆けだした。
正確には、ジン様が向かわれた集会所と同じ方向へ。
「ケッヘッヘ。どこにいくんだ~?」
しかし、男たちは一瞬で私に近づくと、腕をつかみ転ばせ、身動きの取れないように上からのしかかってきました。
「うへへへへ・・・。なーに、痛いようにはしねぇさ」
「けひゃひゃ!なにいってんだか!お前、嫌がる女を無理やりってのが一番いいくせによ!」
「まぁとにかく、俺らにも回してくれよ?」
男たちがゲタゲタ笑いながら話していた時、私は心の中で願っていたことをおもわず口に出していました。
「どうか・・・どうかお助け下さい、ジン様!!」
そう私が叫んだ瞬間ーー
「おまたせ、アル」
私の上にのしかかっていた男は消え、代わりにジン様に私は抱えられていました。
「ごめんな、待たせちまって。怖い思いをさせたかもしんない」
そこでジン様は言葉をきり、私の頭をなでながら、言葉を続けました。
「だけど心配すんな。もう俺が来た。だから全部俺に任せて、ゆっくりしててくれ」
ジン様はそういうと、私の眉のあたりに手をやり、そっと目を閉じさせました。
私も緊張していたためか、そうされた瞬間に意識が遠のいていきました・・・。
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村が襲われ、アルが危ない状況に陥る少し前。
集会所では、突然の悪い知らせに集会所内はざわざわとしていた。
「落ち着け!お前らそれでも冒険者かぁ!!」
集会所にいた者たちは報告を受けた時とても戸惑っていたが、カウンターの奥から出てきた男の一声で騒ぎはおさまった。
「ギ、ギルド長?!」
「まったく、盗賊ごときでここまで騒ぐな。それで、今被害はどれぐらいなんだ?」
「は、はい!」
ギルド長と言われた男が促すと、飛び込んできた男は急いで報告を始めた。
「えっと・・・。まず、今被害を受けている村が三つありまして、『アド』と『ウナ』、そして『ミルド』です」
「うわ!お前、何そんな急いでーー」
報告しに来た男が『ミルド』と言った瞬間、神鬼は近くにいた男を押しのけながら集会所から飛び出して飛び出していこうとした。がーー
「おいこら待て!勝手に行くな!」
ギルド長の一声で、その場にとどまることになった。今すぐ向かいたい心を押さえながら、神鬼はギルド長の方を向くことにした。
「なんだ?」
「なんだじゃねぇ。お前、一人でどうしようってんだ」
「どうしようも何も、俺は俺の『大切なもの』を守るためだけに動く。それを変えることは絶対にない」
神鬼は苛立たし気に言葉を返すと、もう用はないとばかりに歩き出した。
しかし、その行動はまたしても遮られた。
「馬鹿野郎!!それでもおめぇ冒険者か!!」
「何も俺は誰か一人を救うなんて言ってない。
俺が救うのは、今攻め込まれている村全て、だ」
神鬼が揺るがぬ決意を込めながら発した言葉に、壁にもたれかかっていた一人の冒険者が笑った。
「ハッ。たった一人で何ができるってんだよ。どうせ『俺は冒険者だから何でもできる』とでもーーっ!!」
男がしゃべりつつけていると、少しづつ神鬼から殺意が漏れ出してきた。
「俺はこんなくだらないことに時間を割く気はない。それと、そこのお前。『俺が冒険者だから』と言ったか?」
神鬼は今度こそ出ようと扉に手をかけたとき、先ほど笑ってきた男に対して答えた。
「『冒険者だから』じゃねぇ。『俺だから』だ」
神鬼はそういい、扉を大きくあけ放った瞬間大きく蹴りだし、一瞬で高速移動をし始めた。
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そしてその後アルの今いる村へと向かい、アルが襲われている姿を見つけた。
「チッ。ヤバそうだ・・・」
神鬼は現状を視認すると、【異空間武器庫】から出していた【飛刀・天駆馬】を鞘から抜き放ち目の前に掲げ、祈るように言った。
「頼むぜ天駆馬。『汝が力は風。追いを生みて、間を殺せ』!」
神鬼が唱えた瞬間、神鬼の足元でいきなり爆風がうまれ、神鬼の進行速度を極限まで高めた。
そしてアルの上に乗っかっていた男を天駆馬の力で吹っ飛ばすと、アルを地面から救い上げるように浮かせてから抱え、優しく声をかけた。
「おまたせ、アル」
アルに声をかけると、とても疲れた様子だった。
たった一瞬とはいえ、怖い思いをしたのだから当然とも言える。
「ごめんな、待たせちまって。怖い思いをさせたかもしんない」
神鬼は先ほどのように優しい声で囁き、頭を撫でた。
「だけど心配すんな。もう俺が来た。だから全部俺に任せて、ゆっくりしててくれ」
そういいながら神鬼はアルの目を閉じさせ、アルの身に何かされてないか確認したのち、盗賊たちの方に向き直った。
「よくも俺のメイドにちょっかい掛けてくれたなぁ?
・・・てめぇら全員、覚悟しろよ!!」




