閑話1-1 回想〜あの日の事件〜(神鬼サイド)
タイトルどうり、神鬼の過去が語られます。
あ、こっちは神鬼、二話目の方は優里さん目線で語られますよ~
王国から旅立ち始めて数時間ほど経ち、大体二十キロほど離れた頃、先ほどまで世間話をしていたアルが神妙な面持ちで、神鬼の方を向いてきた。
「?何だい?」
「あの・・・できれば、なのですが、ジン様がお名前を偽っておられたのは、なにゆえなのでしょうか?」
神鬼はその言葉を聞いた瞬間、ほんの少しだけ眉をひそめた。
「・・・いえ、すいません。今の事は忘れてください」
「いや、いいよ。気にしないでくれ。そうだな・・・これから一緒に旅をするわけなんだから、話しといたほうがいいな。俺が『力』を求めた理由であり、『力』を持つことを恐れた原因である、あの事件の事をーー」
神鬼はそう前置きすると、少しづつ語り始めたーー。
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あれは俺が、まだ小学一年生だった時だ。・・・?あぁ、初等教育って言えばアルもわかるかな?
まぁ、俺はそこで勉強したり、遊んだりしながら成長していったんだ。
俺はその時はまだ、『哭動』の名前を名乗っていたんだよ。
あの時は今とは違って、自分が『哭動』の者であるというのが、とても誇らしかったんだ。『自分がみんなを守ることができる!』ってな。
一応、当時から俺は戦闘訓練をしていたし、高等教育レベルの勉強も良くこなしていた。
だからこそ、俺は『自分の力でなんでも出来る!』なんて、思い上がっていたんだろうなぁ・・・
そんなある日、俺の通っていた学校に銃や刃物を持った集団が押しかけてきた。目的は金だったようだ。
俺の通っていたあの学校は、全国に存在する、いわゆる『富豪』や『権力者』の子供達がたくさん集まっていた学校だったんだ。この世界で言えば『貴族』だな。
そんな奴らばっかだから、身代金を大量に請求できると踏んだんだろう。
俺の小学校は六年生までいたが、全ての学年の全クラスが占拠されたみたいだった。
当然、外と連絡することもできなかったから、生徒や先生はみんな混乱してたよ。
だからかな。俺は『自分がこの状況をなんとかしなくちゃ』とか思ったんだよ。
俺は犯人の目を盗んで抜け出した。
さすがに小学一年生がどうかできるとは思っていなかったんだろう、警戒はとっても手薄だった。
まぁいろいろやってたんだけど、結果的に捕まっちまった。そのあと体育館に連れて行かれた。他のみんなもそこに集められていた。
それで、『こいつみたいなやつがもう一度出てきたら』と思った犯人達は、俺を殺す事にしたんだよ。
拳銃ーー俺の元いた世界にあった武器でな。手のひらサイズの大砲とでも考えてくれ。それを向けられてな、さすがに死ぬと思った。
でも、撃たれる直前、誰かにおもいっきり押されたんだ。
俺を押したそいつは、撃たれちまった。
俺はそれを見た瞬間、とんでもない絶望と、上限の無い怒りを感じた。そしてその瞬間、俺の中の何かがきれた気がしたんだ。
でもその瞬間、俺は意識を失ったんだ。
次に目を覚ました時、俺は体育館で仰向けに倒れていた。
体を起こしてみたら、なんだか手に冷たい何かが触れていたんだ。
よく見てみたら、それは血だった。
手についていた血に驚いていた時、ふと周囲から視線を感じとれた。その視線を追っていったら、そこにいたのは、クラスメイトや先生たちだったんだ。
周囲からかんじた視線には、恐怖や畏怖、まとめて言えば、化け物を見る目だった。
俺は怖くなったよ。『周りからあんな目で見られるほどの何かを、自分はしてしまったのか』ってね。
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「・・・それで、そのあとはどうなったのですか?」
「・・・俺はその学校にいることはもうできないと思ってな。次の日に学校はやめた。違う学校に通うことにしたんだ。前の学校にとっても遠い学校に」
「・・・ちなみに、その撃たれた少女はどうなったのですか?」
「あぁ、その少女だったら、俺が意識を取り戻したときになぜか生き返っていて、泣いて喜んでくれたよ。」
生き返った、という言葉を聞いた瞬間、アルの表情が暗い雰囲気からただただ驚いたような表情へと変わった。
「生き返っていた、のですか?!」
「あぁ。多分、意識を失っている間に俺が何かしたんだろうな。あ、死んだって言ったけど、今思い返すと『死にそうだった』って感じだな。そんで、その死にかけだった少女が天海なんだよ」
「なんと・・・」
アルは驚きすぎて、もう何と言っていいかわからない、というような感じだった。
「まぁ、死にかけの人間を治せたり、何人もの大人を殺したりできるような俺に、天海はなんでなついたのかは今もわかんないんだけどな」
そういって、神鬼は自虐的に笑った。
(・・・血に濡れていたとしても、命を救ってくれた人に対して感謝の念を抱かない人ではないと、私は思ったんですけどね)
しかし、神鬼はアルの心の声に気付くはずもなく、アルの方を向かずに道を歩き続けていた。




