第十七話 学園生活14 魔王を継ぐ者
「・・・なんだ?いまの。ウィズ、なんかわかるか?」
よくわからない声が聞こえてきたので、ウィズに尋ねることにした。
《はい、マスター。先ほど頭に響いてきたのは、この世界でスキルや職業のレベルが上がったり、入手した際に聞こえてくるものです》
ウィズの説明によると、さっきの声はスキルの入手によるものなんだそうだ。
(っていう事はまさか・・・?!)
《はい。マスターの持つ天職『魔神』が本来持っていたはずのスキル【色欲】がマスターの物となりました。おそらく、この世界に来た時すでに、天職の『魔神』に存在するスキルを持つ者がいたために使えなかったんだと思われます》
(ってことは、俺の天職の『魔神』には、この世界にいる魔王の持っているスキルと同じものが入っている。ってことなのか?)
《はい。そして、スキルを持っている者が消滅すると、それにあたるスキルがマスターは使えるようになる。という仕組みですね》
(マジかよ・・・。待てよ?さっき出てきた奴は【色欲】。ってことは、これは七つの大罪に当たるスキルで、あと六体はいることになるんじゃねぇのか?)
《はい》
(マジかよ・・・)
《なお、スキルが解放されたためマスターの天職『魔神』のレベルが上がりました。おめでとうございます》
(あ、あぁ・・・ありがと・・・)
《ちなみに、このスキルを持ったことによって、マスターは『魔王』として見られるかもしれませんね》
(さらっとやべぇこというなよ!!??)
そんな風に、ウィズと頭の中でやり取りをしているとーー
「兄様ぁぁぁぁ!!」
優里が少し涙目で駆け寄ってきた。
「おっと・・・!」
この世界に来て二度目の抱擁(タックル?)なので、今度はよろめくことなく受け止める。
「うぅ・・・兄様、【鬼纏】使うのは、初めて、だから、できるかとっても、心配だったんですよ?!」
ところどころしゃくりあげながらも、優里は自分の気持ちを伝えていった。
「はははっ。ごめんな優里。確かにまだ完全には慣れてないけど、【鬼纏】のコツはつかめたからな。これからは完全にできるさ」
「相も変わらず自信家だなぁ。ま、それよりも、そろそろ【鬼纏】を解除しても大丈夫じゃないかい?その姿の君は結構目立つんだし」
ちょっと空気を読んで黙っていたアーラが、そう告げてきた。
「確かに、この姿のままだと皆に威圧がかかっちゃうかもだし、そろそろ解除するとするか」
神鬼がつぶやくと、神鬼の体が少しづつ光に包まれていって、額から伸びていた角も引っ込んでいった。
ちょうど神鬼が【鬼纏】を解除した瞬間、広場につながる道と道の間に、大きな音を響かせながら新たな道ができ始めた。
「ジン君!大丈夫だった?!って、あの道なんだろ?」
「まさか、あんな化け物を倒すなんて・・・。さすが、哭動家の期待の星ね」
「大丈夫だった、ジン君~?あんなでっかい奴にも勝っちゃうなんて、やっぱりすごいね~!」
「にしても、あれって魔王なんだよな?お前、まだ慣れてない力で挑むとか見てる方がつらいからマジ止めてくれよ」
ほかのみんなも、こっちに来て色々と言ってきた。
「まぁ、戦い方云々は置いておいて、あの道について調べに行こう。俺の予想が当たれば・・・」
言いながら道に向かうと、白河達もついてきて、それにほかの奴らもついてくる、という構図が出来上がった。
あとついでに、のびていた箕田も今頃起きたのかついてきた。
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一応注意しながら進んでいくとその先には、不思議な空間が存在していた。
半透明な水晶のようなものが上や横から生えていたり、なんだか玉座のようなものがあったりしていた。
その中で一際異彩を放っているのが、この空間の真ん中に置かれている『宝箱』と表現したくなるような物である。
「おぉ!これは魔王を討伐した僕へのご褒美なんだな!!さっそく開けてみよう!」
・・・箕田の頭の中では、魔王を討伐したのは自分になっているようだ。思いっきり壁にめり込んでたのに。
「む?あかないぞ?ふん!むん!ぬおぉぉぉ~!!!」
箕田が宝箱を懸命に引っ張っています。それでもかb・・・じゃなかった、宝箱は開きません。
そして、だれも手伝おうとはしませんでした。
このままだとらちが明かないと思った神鬼は、まだ踏ん張っている箕田のところに歩いていきました。
「ん?なんだ、『雑魚』の進藤君じゃないか、ってあれ?なんか雰囲気変わったようだね。まぁどうでもいい。そんなことより、これは僕の宝だ。君みたいなやつが触れていいようなものじゃない。とっとと離れたまえ」
(いや、お前のびてただけだろ。しかも、魔王倒したの進藤、じゃなかった、哭動だろ)
クラス全員、完全に心が一致しました。ちなみに、山田というあの咬ませ犬(笑)も、あの実力を見せられた後ではさすがに認める気になったようだ。
神鬼はそんな妄言を吐く箕田を完全に無視して、宝箱に近づいた。
なんだか箕田がぎゃあぎゃあ騒いでるけど、無視して宝箱の縁を掴む。
ギギギギ・・・
・・・結構すんなり開いたな。箕田はなんであんなに大変そうにしてたんだ?
《マスター。その宝箱は魔王を討伐したものしか開けられません。なので、そこのアホには開けられませんでした》
・・・アホって・・・酷くね?
《当然の評価です》
・・・あっそ。
まぁとにかく、中身を確認するか。
「おぉ・・・」
宝箱を大きく開けて、中を見た瞬間に誰かが感嘆の声をあげた。
そこには、一本の黒い槍が入っていた。
余計な装飾など入っていない、完全に『戦うための武器』という感じがする。
そして、俺はこの槍に見覚えがあった。魔王が持っていた、あの槍と全く持って一緒だ。
「う~ん・・・。僕という魔王を倒したものに対する褒美としては、なんだか貧相な槍だなぁ」
箕田がつぶやいた瞬間槍が少し震えたように見え、次の瞬間、宙に浮いた。
「うわっ?!」
驚きの声をあげる箕田、そして、その声がした方へ槍の穂先は向きーー
箕田が思いっきり吹き飛ばされた・・・。
「あれ~?なにか、文字を書いているように見えるよ~?」
天海のつぶやきが聞こえた為、もう一度槍の方を見た。するとそこにはーー
[私の名前はタナトス。これからあなたの槍となる者です。我が主を倒した者よ、これからよろしくお願いします]
と、書かれていた。
あれ?なんか中途半端になってる・・・




