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チート勇者の異世界冒険記  作者: 松竹梅
第一章 消える封印見ゆる真実
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第九話 学園生活6 魂の声

ちょっとだけ長くしました。

なるべく維持できるように頑張ります。

『お前は、力が欲しいか?(・・・・・・・)


 突如、そんな声が聞こえた。空耳だろうか?


『おーい。聞こえてるだろ?』


 いや。確かに聞こえている。俺の頭の中に(・・・・・・)


『どうやら聞こえてるみてぇだな。よかったよかった。あ、ちなみに今はその世界の時は止まってるから(・・・・・・・)安心しな』


 ほんとだ。頭に響く声の言うとうり、時間が止まっているのが分かる。


『あ、自己紹介が遅れたな。俺はーー』

『はいはいはいはい、ストップストップ。名前はまだ言っちゃダメだって、あの人(・・・)が言ってたでしょ』

『まったく、忘れちゃだめだよ。なるべく俺たちの意思が入らないようにしてるんだから』


 何を言っているのかは皆目見当がつかない。


『えーと、まずは初めまして、だね。俺らは君の魂の中に存在してる者(・・・・・・・・・・)達だ』


 魂の中?なにを言っているんだろう?


『まー理解しづらいだろうね。ま、それはどうでもいいんだ。それよりもーー』


 先ほどから話しかけてきていた声は、一度言葉を切った。


『力。欲しいのかい?』


 その言葉を聞いた瞬間、俺の心がドクンッっとなった気がした。


(・・・欲しい・・・力が・・・欲しい・・・!)


『ふふっ。君()やっぱり、力を求めたね』

『それも、大切な何かのために(・・・・・・・・・)

『やっぱり、君は僕たちと同じだね』


(どうすれば・・・『力』は手に入る・・・?)


『あ~。それはとっても簡単だよ。とってもとっても簡単。簡単に見えるけど・・・君からすれば、ちょっと難しいかもね~』


(・・・?)


『それはね・・・


君が本当の名前を(・・・・・・)言えばいい(・・・・・)だけだよ』


(ッ!!!)


 この声が、俺に対して「簡単だけど、難しい」と言っていた意味が分かった。


 俺がこの名前を使い始めたのは、あまり周りと争いたくなかったからだ。


 自分の本当の姿を見せ続ければ、だれも俺のそばに近寄ろうと思わなくなってしまう。ずっと、ずっとそう考えていた。


 でも、今は違う。今は、優里もいるし、白河に多香美に天海、それに雨宮だっている。


 だから、俺はもう、未来におびえない。


(わかった)


『おぉ。結構決断早かったね。何か理由でも?』


(俺の平穏をなくすだけで、あいつら全員助けられるなら、安いもんさ)


『・・・』


俺の言葉に、数瞬の沈黙が生まれた。そして、魂達は、口々に言葉を発した。


『アッハッハ!君はとことん、僕たちと一緒だね〜』

『あぁ、俺たちと何ら変わらない理由で、簡単に人を辞めることが出来る』


言われて初めて思った。


これから俺がするのは、俺が人を辞める行為だ(・・・・・・・・)ということを。


『最後になったけど、聞いておくね。


君は・・・人を、辞めるかい(・・・・・・・・)?』


そんなの決まりきっている。勿論ーー


(”YES”だ)


俺は、そう答えた。


『よし!わかった。それじゃあ、時がまた動き始める。準備しなよ』

『幸運を・・・祈らなくても、大丈夫だろ』

『君の力で、この世の『不条理』を、ぶち壊してきな!』


魂達からエールを貰い、俺は現実世界に意識を向けた。


徐々に、徐々に、時が動き出すのが分かる。


そして、時が、動き始めたーー


********************


「箕田、頼んだぞ!」

「えっ?って、とっとと変われとさっきから言っていた・・だ・・ろ・・・」


箕田の言葉が、だんだん尻すぼみーー


「あれ?進藤、どこに行ったんだ?」


そんなことを言っていた。


********************


 勝てるとは完全に思ってないが、箕田にミノテリウスにを任せた俺は、教官たちの戦っているところに走り出した。


「クソッ!らちがあかねぇ!」

「くらえ!【雷(ヘチャ・デ・ロス)斧】(・トゥルーノス)!」


 教官や先生は、自分たちの体力や魔力を駆使して白河達やほかの生徒たちを助けようとしていた。しかし、先生も魔力が少なくなってきて、教官もだんだん動きが鈍ってきていた。


 そして、教官と先生に魔物たちがずんずんと近寄ってきた。


(やるとしたら、ここしかねぇ!)


「先生!教官!あとほんの少し(・・・・・・・)おねがいします!」


 神鬼はそう伝えると、静かに目を閉じた。


『我、今までに至りて付けし、偽の名による楔を無くさん』


 そして、自分があの日、偽の名を背負っていくと決めたあの日に、覚えておけと言われた、あの言葉を、ゆっくりと紡いでいく。


「だめですっ!兄様!それだけは!」


 遠くから、優里の悲痛な叫びが聞こえる。


それ(・・)をやったら、もう二度と偽名を語ることはできません!」


 わかっている。でもーー


「力を出せば何とかなるときに、力を隠しておく事なんてーー


できるわけねぇだろ?」


 神鬼は微笑むと、目を閉じて、またゆっくりと、言葉を紡ぎ始めた。


『我、今この場において、偽の名を捨て、真名を語り、それを名乗ってゆくことを約束せん』


 そして、目を見開き、最後の言葉を口にするーー


『我が真名は【哭動神鬼】(こくどうじんき)!鬼たちの神を、宿らせるものなり!』


 最後の言葉を告げた瞬間、神鬼の体が極光に包まれるーー。



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