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深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
再戦

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テスタロッサ家の因縁

 夕食の後、コージとミミとセリナの三人で中庭に出た。


 城の中は相変わらず慌ただしいが、中庭だけは不思議と静かだった。石造りのベンチに腰を下ろして、しばらく三人とも黙っていた。ミミが先ほどの手記の話をセリナにもしたからか、空気が少ししんみりとしている。


「ねぇコージ」


 ミミが石畳に視線を落としたまま言った。


「テスタロッサの家の事、少し心配で」

「うん」

「ミミがあのミミだって、向こうは知ってると思う。だから表には出てこれないけど、何か言ってくるかもしれないって」


 コージは少し考えてから、ベンチの背もたれに体を預けた。


「まあ、心配しなくてもいいと思ってるけどね」


 そう言って、苦笑しながら肩をすくめた。


「王の印の問題が少しずつ片付いていけば、いろんなものが変わっていくから。その流れの中で、テスタロッサ家が取れる手はそんなに多くないと思う」

「それでも、何か言ってくるかもしれない」

「言ってきたら、その時に考えるよ。ミミには僕たちがいるんだから」


 ミミが顔を上げてコージを見た。

 コージは空を見たまま、さらりと続けた。


「押し切れるものでもないしね、向こうも」


 断言するでもなく、ぽつりと言った。でもその言葉の奥に、迷いがないのはミミにも分かった。


 セリナが静かに口を開く。


「下手に刺激しない方が良いというのは同感です。こちらが構えれば構えるほど、向こうも意地になりますから」

「うん、そんな感じ」


 コージが頷いた。それ以上は言わなかった。


 ミミはしばらく黙っていた。石畳を見つめて、何かを考えている顔だった。コージは急かさなかった。セリナも黙って待っていた。


「ミミね、テスタロッサ家の事、ずっとどこかで怖かったんだ。また何か言ってくるんじゃないかって」

「うん」

「でも、コージがそう言うなら、大丈夫な気がする」


 コージがミミの頭に手を置く。


「うん、大丈夫だよ」


  


 セリナが静かに立ち上がって、夜空を見上げた。


「星が出てきましたね」


 二人も顔を上げた。城壁の向こうに、星が一つ二つと見え始めていた。


「あのさ」


 コージが空を見ながら言った。


「テスタロッサ家の初代の人って、こういう夜に手記を書いたりしてたのかな」


 ミミは少し考えてから、首を傾けた。


「どうだろ。でも、夜に書いてそうな気はする」

「なんで?」

「なんとなく、夜の人な気がするから」


 コージが笑った。小さな笑いだったが、透き通っていた。


「なんとなく分かる気がする」


 三人でしばらく、星を見ていた。

 テスタロッサ家の事は、もう初代の人で上書きされた。


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